しんちゃんは「人生の道しるべ」
──渡邉さんは大人になってから「クレヨンしんちゃん」にハマったそうですね。
そうなんです。たまたまサブスクのオススメに出てきた「嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」を観たのがきっかけです。ちょうど仕事に追われて疲れ果てていて「もう何も考えたくない」っていう精神状態だったので、とても刺さったんです。それから周りの人にオススメを教えてもらったりして、気がつけば映画は全作品をコンプリートしていました。
──それまではまったく観たことがなかったんですか?
いえ、たぶん2本くらいはどこかで観ていた気がします。埼玉出身なので馴染みもあったはずなんですけど、ちゃんと向き合ったことはなかったという感じですね。高校時代、他校の文化祭を見に春日部に行ったときも「ここがしんちゃんたちがいる街か」とボンヤリと思ったくらいでした。ハマった今から振り返ると「しんちゃんの街を訪れて何をボンヤリしてるんだ!」って思いますけど(笑)。
──大人になった渡邉さんが思う、しんちゃん映画の最大の魅力ってどこにありますか?
精神的にちょっと落ちていたときに出会って救ってもらった気もするので、人生の道しるべと言ったら大げさかもしれませんけど、私にとっては大切な存在です。今でも何かつらいこととかがあると、映画の名シーンを思い浮かべるとがんばれたりもしますし、また癒されたりもするんです。そんなふうに、子供から大人までいろいろな受け止め方ができる懐の深さというのが一番の魅力かなと思います。
──先ほどボーちゃん推しというお話がありましたが、ボーちゃん以外に好きなキャラクターはいますか?
シロです。あんなに賢いワンちゃんなんてどこにもいないし、何よりもしんちゃんの一番の相棒っていう感じが好きなんですよね。家にもシロのフィギュアもありますし、お風呂場にはシロの入浴剤(「びっくらたまご クレヨンしんちゃん シロがいっぱい入浴剤」)も大量に並んでます。
──グッズ系も集めているんですね。
集めちゃいますね。コップもありますし、冷蔵庫の扉はしんちゃんたちのマグネットでいっぱいだし。最近で言うと、サンリオキャラクターとカスカベ防衛隊のコラボグッズがあって、それがあまりにかわいくて注ぎ込みましたね。
──ガシャポンの「スペシャルラバーマスコット」ですね。
そうそう! しんちゃんはハローキティ、ネネちゃんはマイメロディってそれぞれがコンビになっているんですけど、ボーちゃんは、これまた私の大好きなポムポムプリンとコンビを組んでいて、私的にはもう最高の組み合わせなんですよ。ただガシャポンなのでなかなか出てくれなくて、結局8000円くらい使ってようやくゲットしました。
こんなところまで見せちゃっていいんですか?
──渡邉さんには今回、「Blu-ray特装限定版」に収録される特典映像と封入ブックレットを事前にご覧いただきました。ブックレットにはアニメーション制作を担当した白組が制作について語るインタビュー、映像特典には2019年に制作されたパイロットフィルム、ビデオコンテクリップなどが収録されていますが、率直にいかがでしたか?
私、こういう特典って大好きなんですよ! 特に今回の特典はモノづくりの工程を知れる中身になっているので、個人的にもとても楽しかったです。キャラクターの設定資料にはいろいろな角度からのしんちゃんたちが描かれていますし、最終的にどんなふうに調整されたのかも書かれていて。とくにシロの背中にひまわりが乗っている設定画なんか、このコンビが大好きな私からすればもうたまりません! あとはなんと言っても非理谷充くんですよね。第3形態と最終形態の没デザインが載っていて、必見ですね。ただ見比べてみると、やっぱり決定稿のデザインが一番インパクトがあるんですよね。「これにだけは追われたくないな」って本気で思いますもん(笑)。
──スタッフによる座談会も掲載されています。
こちらもすごく楽しく読ませていただきました。特に印象深いのは、アートディレクターの勝又典子さんの「2.7D以上3D未満」というワードですね。もちろん2Dでないのは明確なんですけど、だからと言って3Dかと問われたら、それもちょっと違うような気がしていて。私が知っている3Dのソリッドな感じがまったくなくて、丸くてもっちもちじゃないですか。だからこそ、この言葉を聞いたときは「そうそう! まさにそんな感じ!」って、一発で納得しました。あとは「みさキョン」のシーンが深夜のテンション感から生まれたというのも驚きで、「あ、そういうのもアリなんだ」って(笑)。
──映像特典のほうはいかがでした? パイロットフィルムは割とオーソドックスな特典かもしれませんが、アニメ制作の過程で使用されるビデオコンテクリップというのはかなりレアな特典だと思います。
そうですよね? これってレアですよね?「こんなところまで見せちゃっていいんですか?」って思って(笑)。最初はすごく簡素な絵や3Dで構築されていた世界が、だんだんと精巧になっていく様子は、ファンなら絶対に楽しいと思います。私はそもそも3Dの作品がどうやって作られているのかもあまりよくわかっていなかったので、それが観られてとても感動しました。それと同時に、「これは本当に大変だな」とも思いました。特典として収録されているシーンだけでも膨大な作業が必要なのがわかるじゃないですか。手描きのアニメを作るのは大変な人手と時間がかかるということは知っていましたけど、3Dはそれと同じか、それ以上に手間暇がかかるかもしれないですよね。改めてプロってすごいなと思いましたし、スタッフの皆さんに「ありがたや~」と伝えたくなりました(笑)。
作り手さんへの感謝とリスペクトだけはいつも持ち続けていたい
──最近では多くの作品がオンラインで視聴できる時代になりましたが、渡邉さん自身は好きな作品のBlu-rayなどは買うタイプですか?
買います! 2つ理由があって、1つはしんちゃんファンを増やすためです。誰かにしんちゃん映画を勧めるとき、円盤を渡せばほぼ確実に観てくれるんですよ(笑)。「返す」という行為が発生するので、さすがに観ずには返せないですよね。これが口頭だったら、本当に観てくれるかどうかかなり怪しいですからね。
──しんちゃんをお友達にまでオススメされているんですね。
してます。SNSでの発信もそうですし、しんちゃんグッズは必ず携帯するようにしています。「美穂ちゃんってしんちゃんが好きなの?」という言葉をいただいてから「そうなんですよ! あ、これとか超オススメですよ」につなげていくカウンター式です(笑)。あと最近では私を応援してくださるファンの方々もけっこう観てくださっていて、グッズまで購入してくださる人も増えてきましたね。あとはしんちゃんのLINEスタンプをとにかく送りまくることとか、細々と活動しています。
──なるほど。それで、もう1つの理由とは?
好きな作品にはちゃんとお金を払いたいという気持ちが強いからです。これだけの熱量で作品を生み出し続けているわけですから、ちゃんと作り手さんたちに還元されて潤ってほしいなって切に思います。
──ファンの鏡ですね。
いえいえ。ファンとして当然のことです。作り手さんへの感謝とリスペクトだけはいつも持ち続けていたいと思っているんです。
──渡邉さんのしんちゃん愛がヒシヒシと伝わってきました。今日はありがとうございました。
私こそ「しんちゃんとの共演」という夢が叶いました。ありがとうございます!すっごくうれしいです!
プロフィール
渡邉美穂(ワタナベミホ)
2000年2月24日生まれ、埼玉県出身。埼玉県出身。埼玉応援団、埼玉バスケットボールアンバサダー、Wリーグアンバサダーを務める。2017年~2022年まで日向坂46で活躍。主な出演作に「SHUT UP」(TX)、「イチケイのカラス スペシャル」(CX)、ミュージカル「SUNNY」、ヒロインを演じた「星になりたかった君と」(NTV)、「グッドモーニング、眠れる獅子」(ひかりTV)など。現在は「熱血バスケ」応援隊(NHK BS)、「BS12 Bリーグ中継」ナレーション、「シネマ・アディクト」(BSテレ東)にてレギュラー出演中。