コミックナタリー PowerPush - 美少女戦士セーラームーン THE 20TH ANNIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE」

豪華アーティスト陣が「セーラームーン」の名曲をカバー! 今明かされる「乙女のポリシー」誕生秘話

武内直子「美少女戦士セーラームーン」の20周年を記念したトリビュートアルバム「美少女戦士セーラームーン THE 20TH ANNIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE」がリリースされる。ももいろクローバーZ、中川翔子、桃井はるこ、やくしまるえつこ、Tommy heavenly6、堀江美都子など個性豊かなアーティストが集結した。

ナタリー、コミックナタリーではこれを祝して特集記事を企画。参加アーティストの中でもひと際異彩を放つ後藤まりことアヴちゃん(女王蜂)の対談や、人気曲「乙女のポリシー」の生みの親・永井ルイ(誠)へのインタビュー、声優の三石琴乃から寄せられたコメントなど、盛りだくさんでお届けする。

取材・文/岸野恵加 インタビュー撮影/小坂茂雄

永井ルイ(誠)が語る「乙女のポリシー」誕生秘話

最初はもっとゆったりとしたサビだった

──永井さんは「乙女のポリシー」をはじめとして「ルートヴィーナス」「I am セーラームーン」など、「セーラームーン」の人気曲をいくつも手がけていらっしゃいますね。

永井ルイ

はい。当時(日本)コロムビアさんにアニメの学芸部というセクションがあって「ドラゴンボールZ」とかの曲をやらせてもらっていたんですが、その縁で「セーラームーン」にも関わらせていただいた気がします。少しうろ覚えなんですが……。

──「セーラームーン」の中で最初に作ったのは「乙女のポリシー」?

そうだと思います。まず僕が曲を作って、芹沢類さんに歌詞を乗せていただきました。実は最初は、サビのメロディが全然違ったんですよ。

──どんなメロディだったんですか?

もっと譜割りがゆったりとしていました。最初はそれで出したんですけど、「セーラームーン」の無印シリーズを観たり原作を読み込むうちに、うさぎちゃんのお転婆ぶりが入ったほうが面白いのでは、と思い直して。うさぎちゃんたちってシリアスな場面以外は非常にコミカルというか、元気ですよね。オープニングの「ムーンライト伝説」は重厚な雰囲気があるので、エンディングは楽しくて明るいものがいいのかなとも考えまして。畳み掛けるような、走っていくようなイメージで作りました。

──最初はゆっくりと歩いていたうさぎちゃんがどんどん加速して、軽快に走っていくエンディングの映像をよく覚えています。曲と映像がマッチしていて、高揚感がありました。

そうですね。映像を観て曲を作ったわけではないんですが、すべてが良い化学反応を起こしていたと思います。芹沢さんの詞がまた素晴らしくて、とにかく無駄がない。

──無駄がないとは?

子供でも年配の方でも理解ができる、究極的にいうと童謡のようなシンプルさがありますね。強さと弱さがちゃんと入った詞だから誰にでも当てはまると思いますし、最初に観たときから「これは素晴らしい曲になりそうだな」とワクワクしていました。

妥協のないレコーディング

──レコーディングのときのこととか、覚えていらっしゃいますか。

石田よう子さんはこの曲がデビュー曲だったんですよね。当時17、8……高校生かな。だからもうガッチガチでした。しばらくしてから話したら、僕がいたこと覚えてなかった(笑)。

──あはは(笑)。

永井ルイ

当時アニメのディレクターで木村さんという、名物的な方がいらっしゃってですね。非常に歌入れに厳しかったんです。決して声を荒げるような人ではないんですけど、間違った音程とか、気持ちが歌詞に入ってないと絶対に許さない。職人のような方でしたね。

──じゃあ何度も何度もやり直して。

1回じゃ絶対にOKは出なかったですね。ヘトヘトになりながらも、なんとか1日で録り終えてましたけど。

──こんなに明るい歌声ですけど、裏にはかなりの苦労があったと。

ええ(笑)。僕はキャラクターソングもやらせていただいてたんで、三石(琴乃)さんとか深見(梨加)さんの歌入れにも行ったんですけどね、やっぱり木村さんが厳しくて。「声優だろうがなんだろうが、プロだったらちゃんと歌え!」ってすごまれてましたね。

──永井さんから歌う方にアドバイスされたりはしなかったんですか。

そんな、とんでもないです。「まあまあ……」って間に入るくらいしかできなかったですね。でもそれだけ納得いくところまで引っ張ると、できあがった作品はやっぱりすごく素晴らしいものになるんだなと。いい勉強をさせていただいたと思ってます。

V.A.「美少女戦士セーラームーン THE 20TH ANNIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE」 / 2014年1月29日発売 / 3000円 / キングレコード / KICA-3218
V.A.「美少女戦士セーラームーン THE 20TH ANNIVERSARY MEMORIAL TRIBUTE」
収録曲
  1. ムーンライト伝説 / ももいろクローバーZ
  2. HEART MOVING / 中川翔子
  3. プリンセス・ムーン / 福原遥
  4. 乙女のポリシー / やくしまるえつこ
  5. ラ・ソウルジャー(La Soldier) / Tommy heavenly6
  6. 愛の戦士 / 後藤まりこ×アヴちゃん(女王蜂)
  7. タキシード・ミラージュ / ももいろクローバーZ
  8. “らしく”いきましょ / 桃井はるこ
  9. セーラースターソング / 堀江美都子
  10. 風も空もきっと… / 川本真琴

<ボーナストラック>

  • ムーンライト伝説(仏語Ver.) / クレモンティーヌ

特設サイトにて小坂明子インタビュー&三石琴乃メッセージ全編公開中

永井ルイ(ながいるい)

永井ルイ

3歳でピアノを始め、14歳からギターを独学で習得。明星学園卒。ソロ活動や「FOLKROCKS」「ROCKROLLY」などのユニット活動のほか、タンポポやミニモニ。、ももいろクローバーZなどアイドルグループの楽曲、「美少女戦士セーラームーン」「ドラゴンボールZ」「魔法騎士レイアース」ほかアニメの主題歌や劇伴も手がけている。なお、今年の春から「ROLLY&GLIMROCKERS」が始動する。