痩せたい気持ちも、太りたい気持ちも、どちらも経験したことがある
──そして「私を笑わないで」ですが、こちらはガラッと変わってシリアスな話で、お互いを思いやり、支えあってきたひかりと愛莉という親友の2人が「体重」に縛られて苦しんでいく、女同士の友情とコンプレックスをテーマにした物語ですね。
これは読んでいて本当につらかったです。ぼくはどちらの気持ちも経験したことがあるので、助けてあげたいって思っちゃいました。愛莉の「痩せたいのに痩せれないし、食べることでしか自分の気持ちを紛らわすことができない。でも食べれば当然太っていって、今度はそんな自分を責めるようになる」っていうのも経験があるし、逆にひかりの「食べたくても食べ物が喉を通らなくて、どんどん痩せていくつらさ」も経験があるからすごくわかるんです。
──では、かなり感情移入されたのでは。
特にひかりには共感しちゃいました。最初はひかりも痩せたことで、自分が醜くなっていることに気付いてなくて……でも十分痩せたと気付いたときには歯止めが効かなくなって、取り返しがつかない体型になってしまう。まさにぼくが経験したことなんですが、去年食べたくても食べれないっていう時期があったんです。食べられない苦しさってなかなか理解してもらえないんですよね。食べ物を見てもまったく食欲がわかないし、がんばって作ってもひと口しか食べれない、無理に食べてもお腹を壊しちゃったり吐きそうになったりするから、残りは捨てなきゃいけない……めちゃくちゃつらかったです。今は通常に戻ってきてるんですけど、すごく痩せてたときは肋骨とかもめっちゃ浮いて、ほっぺもこけて酷い顔だったんですよ。だから「痩せたね」って言われても全然うれしくなくって、痩せたイコール醜くなったのかなって落ち込んでしまうこともありました。
──体型の悩みというのは、女の子だったら誰しも似た経験がありそうですよね。
そうですね。だから特に若い女の子に読んでほしい作品だなと思います。ダイエットしなきゃとか細くならなきゃって思う若い子は多いと思うんですけど、そういう子にはすごく響く作品なんじゃないかな。拒食症とか過食症寸前なのに、自分はそんな病気じゃない、認めたくないっていう気持ちとか。そういった心境がリアルに描かれているなって思いました。
──コンプレックスに加えて、女の子の友情についても描かれている作品だなと思います。
女同士の友情って難しいですよね。ぼくが今、唯一と言っていいほど仲良くしている子は、中学生のときにぼくのことをいじめてた子なんです。卒業した後、その子がなぜかすごく丸くなって和解して(笑)。でもそのときに思ったのが、相手のいいところだけじゃなく、悪い部分もわかった上で、それでも一緒にいたいって思える相手かどうかが大事なんだなって。今の社会って、上辺だけで付き合う人がすごく多いと思うんですよ。相手を傷つけたくない、自分が嫌われたくない、だから本音を伝え合うことをしない。ひかりと愛莉も、まだそういう関係なんだと思います。仲良く暮らしてるのに、悩みを相談したり弱みを見せることができてない。
──女同士って、つい見栄を張ったり競い合ったりしがちですよね。
そうですね。もし2人とも太ってたらすぐにわかり合えると思うんですけど、どっちかが細くてどっちがか太ってるとなると、そこで女と女の戦いが始まるんでしょうね。特に体型とか容姿に関して気になってしまうのは、女子特有だなと思います。なかなか解決するのが難しいと思うんですけど、「私を笑わないで」ではなんとか解決してほしいです。2人がこのまま仲違いしたままなのは悲しいので。
父と娘がお互いのファンみたいな関係、すごくいいな
──最後の「井地さんちは素直になれない」は高校進学を機に、別居していた父娘が再び同居を始めるというコメディです。表面的には無関心を装いつつも実はお互い大好きという……。
すごい新鮮な設定ですよね。ありそうでなかったというか。お互い本人の前ではクールな素振りをするのに、裏ではお互いを「かわいい!」って悶えるのとか、とにかく2人のやり取りがかわいらしくて。最初読んだときは、恋愛方面に進んでいくのかなと思ったんですけど、恋愛の好きじゃなくて、ただただ愛おしいというか、ペットを愛するような感覚なんですよね。はるこが「自分が一番嬉しいのはお父さんとお母さんが仲良くしていること」っていうシーンは、すごくいいなって思いました。
──父と娘の両片思いといいますか。
お互いがお互いのファンみたいな感じですよね(笑)。6年間別居してたからっていうのもあるんでしょうけど、離れた間に気持ちを高ぶらせて溢れてしまったみたいな。でもたまにいますよね、本当にお父さん大好きな子。
──もがさん自身は、お父さんとはどんな関係でしたか?
ぼくは、思春期はもろに「お父さんヤダ!」みたいなタイプでしたね(笑)。特に中学生ぐらいの頃は、迎えに来てもらっても一緒に歩くのが恥ずかしいって思ってましたし。授業参観も「来なくていい!」って言うぐらい突っぱねてました。でも大人になってからは仲良くなりました。2人でよくご飯食べに行きますし、家にお父さんが泊まりに来たら一緒のベッドで寝れますし(笑)。お父さんが送ってくるLINEがかわいいので、友達やファンの子にときどき見せてるんです。
Webマンガを何話か読んでスッキリして寝るのが、日課みたいな感じ
──もともとマンガはよく読まれてるんでしょうか。
好きですね。子供のころからよく読んでました。
──Webマンガに限らず、これまで読んだ中で一番好きな作品を挙げるとしたらなんでしょう。
難しい質問だなあ(笑)。うーん、でもぱっと思い浮かぶのは、中学生ぐらいの頃に読んだ、渡辺祥智先生の「銀の勇者」です。王道のファンタジーマンガなんですけど、主人公の勇者に魔法使いの親友がいて、2人で「いつか魔王を倒そう」って約束したのに、再会したときに親友が魔王の味方になっていて、っていうお話で。主人公は「魔族は悪」と思い込んでいるけど、果たして本当に悪いのは魔族なのだろうか、人間が正しいと言えるのかというテーマもあって、子供ながらにすごく考えさせられました。まさかファンタジーマンガでそんな気持ちを抱くことになるとは思わなかったので、印象深い作品になってますね。何年かに1回は読み返すマンガですし、いつ読んでも色あせないなって思います。
──Webマンガを読み始めたのは最近ですか?
そうですね、ずっと単行本派で、紙で買わなきゃって思っていて。音源もダウンロードじゃなくてCDを買いたいって思っていたんです。でもだんだん家に置けなくなっちゃって、電子書籍・Webマンガデビューしたら楽で楽で……手軽さに負けました(笑)。
──今回読んでいただいた作品以外に、好きなWebマンガはありますか?
ネトゲユーザーなので「ネト充のススメ」は楽しく読んでますね。普通にネトゲあるあるに共感しつつ、でも途中から超リア充展開になっていくので「こんなこと絶対ないからな!」って思いながら(笑)。あと最近好きで読んでいるのは、comicoで連載してる「ダメOLとお酒 ~イケメンを添えて~」っていうギャグマンガですね。お酒大好きなOLさんが主人公の、お酒を擬人化したお話です。特別な湯呑みにお酒を注ぐと、イケメンのお酒の精霊が出てくるっていう(笑)。ビールの精霊とか日本酒の精霊とかが出てきて、一緒に住むことになるんです。最近は恋愛方面に話が展開してて、それはそれで楽しくて読んでます。
──Webでマンガを読むよさってなんでしょうか。
リラックスして、何も考えずに読めることですかね。Webマンガを夜に何話か読んでスッキリして寝る、というのが日課みたいな感じになってます。最近は恋愛ものを読むことが多いんですが、20代後半から30代前半ぐらいの独身の女の子が、20歳ぐらいの男の子と出会って恋愛する、みたいな話が多いんですよね(笑)。なんでこんな似た設定の話ばかり読んでるんだろうと思いつつ、でも妙にリアリティがあって引き込まれちゃって。ぼくももうそろそろ、そんな年齢だから気になるのかな、とか思いつつ読んでます(笑)。
- 最上もが(モガミモガ)
- 2月25日生まれ、東京都出身。2011年12月から2017年8月までアイドルユニット・でんぱ組.incのメンバーとして活躍する。またソロ活動としてグラビア、ドラマ、映画などでも活躍。主な出演作にはドラマ「ウルトラマンギンガS」「重版出来!」、映画「闇金ウシジマくん Part3」「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」など。2月22日には2nd写真集「MOGAMI」も発売される。
- 最上もが 2nd写真集「MOGAMI」
- 2018年2月22日発売 / 集英社
-
2376円
B5判 / 144P / ソフトカバー
撮影 / 桑島智輝
- ヘアメイク:澤西由美花
スタイリスト:ヨシダミホ
ワンピース:¥50,000(SHIROMA)
サンダル:¥39,000(ARIELLE DE PINTO / LVMM)
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2019年5月16日更新