コミックナタリー PowerPush - 特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」

でんぱ組.incの夢眠ねむ、成瀬瑛美が徹底ナビゲート!

──これですべての展示を観終わりました。いかがでしたか?

夢眠 私は読むより描きたいほうだったから、手塚先生がマンガ家になった成り立ちだとか、それを見てほかのマンガ家が成長していくっていう流れに、創作意欲がすごく掻き立てられました。何か伝えたいことに対して、命を注ぎ込んで向き合ってたことがビシバシ伝わってきて。いまは私はマンガを描くとかではないけど、でんぱ組の活動とかを、そういうふうにがんばりたいなって思いました。

成瀬瑛美

成瀬 マンガが戦後から流行ってきたとか、手塚さんが紙芝居からマンガを描くようになったとか、知らなかった歴史がいっぱい知れてめっちゃハッスルしました。美術館だから静かに観なきゃいけないんですけど、ここが防音室だったら興奮して「いやーー! これはあああ!」って叫んでたと思います(笑)。

夢眠 あはは。今日もちょっと叫んでたよ(笑)。

成瀬 あとトリビュート作品を見てて、受け継がれていくものがあるんだなって思いました。ふたりに影響を受けた人がいて、またさらにその人に影響を受ける人がいて、っていう。私は普段、(週刊少年)ジャンプとかりぼん(ともに集英社)でやってるような最近のマンガをよく読んでるんですけど、そういう作品も手塚さんや石ノ森さんの影響をすごい受けてるんだなって、ルーツが感じられてすごくよかったです。

夢眠 うんうん。“マンガのちから”を受けた人口って結構多いんじゃないかなと思うんです。 “美術のちから”とか“文章のちから”とか、色んな“ちから”があるんだと思うけど、マンガって結構誰しもが通る道だから、すごく平等に、幅広い層に何かを残してる感じがする。

成瀬 それは昨日まで行ってた(フランス・パリの)「JAPAN EXPO」でもすごく感じました。みんな、すごい熱狂的だったんです。オタクのあり方も日本とよく似てた。

夢眠ねむ

夢眠 「ONE PIECE」とかメジャーな作品だけが出展されてるのかと思ってたけど、マイナーな作品まで網羅されてたよね。日本人と海外の人の感覚って違うって勝手に思い込んでたけど、その場にいるすべての人が仲良しに見えたんです。ひとつのものが好きってだけでこんなに人って繋がれるんだなあ、って。なんか「人間って一緒なんだな」って、世界平和を感じました。あとコスプレも二次創作の同人誌もクオリティが高くて、ちょっと悔しくもなったんですよ。

成瀬 負けらんない! って思ったよね。

夢眠 うん。もっと勉強しなきゃ、がんばらなきゃ、って燃えてきた。

──最後に、ふたりにとっての“マンガのちから”とは何か、お聞きできますか。

成瀬 私にとっては、すべての行動の入口かな。例えば歴史を勉強したいってなったらまず歴史マンガを買うし、テニスに興味を持ったらテニスマンガを買うし……。最近もねむちゃんに「歌舞伎って面白いんだよ」って言われて「國崎出雲の事情」をチェックしました。“マンガのちから”は完全に自分の中に染み込んでいて、間違いなく日々生きる上での私の軸になってます。

夢眠 私は自分が表現をするときの創造力の源が、自分にとってマンガなんだと思います。あとは子供の頃にクラスの中でマンガ連載したりして、マンガがあったから人とコミュニケーションを取れてたっていう面もあったかも。

成瀬 私もクラスで描いてた。マンガが上手だと「瑛美ちゃんすごい上手い!私も描いて!」ってヒーロー扱いで、それがすごく気持ちよかったよね。実は私いまも描いてて、りぼんに投稿してるんです。

夢眠 しりあがり(寿)先生に「ガロに出したほうがいい」って言われたんだよね(笑)。

成瀬 うん、しりあがり先生に原稿見せたら「これは少女マンガ無理だよ」って(笑)。りぼんではいま最高記録がAクラス(りぼん漫画スクールにおいて、入賞に達しなかった作品は上位からA、B、Cクラスに振り分けられる)なんですけど、マンガ家になる夢、まだ諦めてないですよ! 本当にこれまでマンガのお陰でアイデンティティを保ってきたし、それででんぱ組にも入れたので、マンガがなかったらどんな人生になってたか想像もつかないです。これからもずっとマンガを読み続けます!

左から夢眠ねむ、成瀬瑛美。

インタビュー動画

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特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」
特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」

会期:2013年6月29日(土)~9月8日(日)

会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F

休館日:月曜日(ただし7/15は開館)、7月16日

時間:10:00~18:00 ※ただし7/19、26、8/2、9、16、23、30、9/6は10:00~21:00(入場は閉館の30分前まで)

料金:一般1200円、大学生・65歳以上900円、中高生700円、小学生以下無料 ※小学生以下は保護者の同伴が必要

でんぱ組.inc(でんぱぐみいんく)

でんぱ組.inc

古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音の6人組ユニットで、TOY'S FACTORY×もふくちゃんのレーベルMEME TOKYO所属。メンバーはもともとアニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクでもある。近年は東京コレクションへの参加、ミキオサカベをはじめとするさまざまなクリエイターとのコラボレーションなどを活発に展開。国内のみならず海外からも注目を集め、ジャカルタでのファッションイベント出演や台北での単独公演も成功させた。2013年1月には「W.W.D / 冬へと走りだすお!」で、オリコン10位を獲得。同年5月には各メンバーをフィーチャーした“メンバー盤”を含む計9種類でシングル「でんでんぱっしょん」をリリースし、6位を獲得した。7月からはテレビアニメ「にゅるにゅる!!KAKUSENくん」のオープニングテーマを担当。さらに9月21日には主演映画「白魔女学園」の劇場公開が決定している。

でんぱ組.inc 配信限定シングル「ノットボッチ…夏」2013年7月16日発売 / 250円 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
「ノットボッチ…夏」