コミックナタリー PowerPush - 特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」
でんぱ組.incの夢眠ねむ、成瀬瑛美が徹底ナビゲート!
特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」が、9月8日まで東京都現代美術館にて開催中。“マンガの神様”と呼ばれる手塚治虫と、それに呼応してマンガ文化を育てた“マンガの王様”石ノ森章太郎の歩みを、膨大な原画と資料で振り返る展覧会だ。
コミックナタリーでは秋葉原発のアイドルグループ・でんぱ組.incより夢眠ねむ、成瀬瑛美を迎え、この全容と見どころをナビゲート。展示作品から感じた“マンガのちから”を、マンガへ並々ならぬ愛情を注ぐふたりに語ってもらった。鑑賞の様子とインタビューを収めたムービーも公開しているので、併せてお楽しみあれ。
取材・文/岸野恵加 撮影/笹森健一
──ふたりとも、手塚・石ノ森先生の作品って結構読んでるんですか?
成瀬瑛美 小さい頃、学校の図書館にあった手塚先生のマンガをひたすら読んで夢中になってました。中でも「火の鳥」はすごく好きでしたね。
夢眠ねむ 私は叔父が貸本屋をやるのが夢だったぐらいのコレクターだったんです。それで子供の頃から「マンガ家になれ!」って手塚さんとか石ノ森さんとかの時代のマンガをドサッと送ってこられて、変な英才教育を受けてました。だから今日はとても楽しみです!
プロローグ 「ここから はじまり」世界的MANGAブーム、二人の最初期作品
日本のマンガ文化を隆盛させた手塚治虫と石ノ森章太郎、2人の生い立ちや影響されたもの、幼少期の作品を展示する。
成瀬 うわあー! これ見て。手塚先生が小5のときに描いた紙芝居だって、「火星人來る!!」。すごく貴重じゃない?
夢眠 うちのお母さんがさ、こういうふうに私が子供の頃描いてたマンガ、マンガ家になると信じて取ってあるんだよね。ギャグシュール4コマで、完全に杉浦茂風の……(笑)。
成瀬 うちにもその頃描いてた作品いっぱいあるよ。今度「夢眠ねむ×成瀬瑛美 マンガのちから」展、やろうか?(笑)
夢眠 あはは(笑)。へー、手塚先生が初めて描いたマンガ「ピンピン生チャン」って横山隆一の「フクチャン」から影響を受けてるんだ。「フクチャン」、知ってます!
第1部 二人の出会い マンガ誕生 手塚作品に魅せられた新人石ノ森たち
「新寶島」のヒットをきっかけにその名を全国に轟かせた手塚と、彼に憧れた石ノ森。第1部ではふたりの交流と、トキワ荘での日々を辿る。「メトロポリス」の未使用原稿など、初公開となる手塚の原稿も披露されている。
成瀬 「メトロポリス」「一千年后の世界」「有尾人」……、この原稿たち、初公開ってマークが付いてる! 松本零士さんが持ってたんだね。マンガ家って普通、違うマンガ家の原稿を持ってるものなの? すごいなあ。それに朱色とか色が付いてるけど、これって生原稿?
夢眠 まだスクリーントーンがなかったからかな? 墨の色の濃淡で塗り分けてるんだね。
成瀬 見てこれ! 石ノ森先生が作った同人誌だって、「墨汁一滴」。
夢眠 かっこいい! 全然“一滴”じゃないけど(笑)。
成瀬 確かにカラフルだね(笑)。全国から描き手が集まって1冊を作るなんて楽しそう。こういうの、でんぱ組でも作ろうよー!
夢眠 ほかのメンバーは描いてくれないよ……真面目に描くのは、きっとうちらだけ(笑)。
成瀬 うわー!! トキワ荘だ!
夢眠 きゃー! 私ね、トキワ荘って一番の憧れなの。トキワ荘に住みたい、って保育園のときお母さんに言い続けてたなあ。「トキワ荘の青春」って映画を観まくって、もちろん「まんが道」に「ハムサラダくん」も、何度も何度も読んだ。手塚先生の手紙がきっかけで少年が上京してきて、先生がおごってくれたラーメンが思い出、とかすごく憧れたなあ……。
成瀬 ねむきゅん、本当にすごいトキワ荘に詳しいよね。
夢眠 うん。作品そのものよりこの時代のマンガ家のあり方にすごく興味があって。テラさん(寺田ヒロオ)の描いたマンガを読んでも、そのマンガの内容が入ってこなくて、「このマンガをテラさんが描いたんだなあ」って想像して泣けてきちゃったりするの。
成瀬 へえー。マンガ家だらけの共同生活ってどんな感じだったんだろう? 手塚先生が失踪しちゃったときにトキワ荘の人たちが代わりに手塚先生の原稿を描いたっていうのもすごいエピソードだよね。いまだったらどの業界でも代筆なんて許されないと思う。
夢眠 手塚先生だから許された……のかな?
夢眠 ふたりが住んでた部屋も再現されてるんだ。机が低い……ここでマンガ描いてたら首が痛くなりそう。石ノ森先生の部屋は本とかレコードがいっぱいある!
成瀬 手塚先生のお部屋は、すごくシンプル! 物が少ないね。
夢眠 私、トキワ荘でどこの位置に誰が住んでたのかも大体わかるよ。ああ、いいなあ……。同じおかっぱ頭だし、どうにか水野英子さんのポジションになれないかなあ(笑)。
- 特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」
- 特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」
会期:2013年6月29日(土)~9月8日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F
休館日:月曜日(ただし7/15は開館)、7月16日
時間:10:00~18:00 ※ただし7/19、26、8/2、9、16、23、30、9/6は10:00~21:00(入場は閉館の30分前まで)
料金:一般1200円、大学生・65歳以上900円、中高生700円、小学生以下無料 ※小学生以下は保護者の同伴が必要
でんぱ組.inc(でんぱぐみいんく)
古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、最上もが、藤咲彩音の6人組ユニットで、TOY'S FACTORY×もふくちゃんのレーベルMEME TOKYO所属。メンバーはもともとアニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクでもある。近年は東京コレクションへの参加、ミキオサカベをはじめとするさまざまなクリエイターとのコラボレーションなどを活発に展開。国内のみならず海外からも注目を集め、ジャカルタでのファッションイベント出演や台北での単独公演も成功させた。2013年1月には「W.W.D / 冬へと走りだすお!」で、オリコン10位を獲得。同年5月には各メンバーをフィーチャーした“メンバー盤”を含む計9種類でシングル「でんでんぱっしょん」をリリースし、6位を獲得した。7月からはテレビアニメ「にゅるにゅる!!KAKUSENくん」のオープニングテーマを担当。さらに9月21日には主演映画「白魔女学園」の劇場公開が決定している。
- でんぱ組.inc 配信限定シングル「ノットボッチ…夏」2013年7月16日発売 / 250円 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
- 「ノットボッチ…夏」