テレビアニメ「魔法使いの嫁」の最終回が、いよいよ3月24日に放送。前日の3月23日にはTOKYO MX、AT-X、Abema TVにて先行放送及び先行配信が実施される。
コミックナタリーは、最終回となる第24話のアフレコを終えたばかりの種﨑敦美と竹内良太、そしてそんな2人を見守っていた原作者のヤマザキコレによる鼎談をセッティング。それぞれの視点から「魔法使いの嫁」の世界を振り返ってもらった。
取材・文 / 熊瀬哲子
アニメ最終話のアフレコを終えて……
──ついにアニメの最終回となる第24話のアフレコが先ほど終了しました。種﨑さん、竹内さんに今の心境をお伺いできればと思います。
竹内良太 今は「終わってしまった」という気持ちが強いですね。ドラマCDを含めると足掛け3年以上やってきて。第1話のアフレコも昨日のことのように思い出される中、とうとう終わってしまったというか。寂しい気持ちも大いにありますし、まだ続けたいなという気持ちもあり。余韻が残る感じですね。
種﨑敦美 私たちは第1話のアフレコが始まったときから「始まったら終わる」っていう話をしていたんですよ。
竹内 そうそう(笑)。テレビアニメ化が発表されたときのコメントから「始まれば必ず終わりがある」と言ってましたからね(参照:「魔法使いの嫁」TVアニメ化!10月から2クールで放送、原画展も開催)。
種﨑 第1話のアフレコが始まったそのときの気持ちのまま、最終話まで来てしまった感じですね。収録を重ねるたびに「あと何話で終わる」と考えている日々でした。でも、最終回とは言いつつも終わったという実感はすぐに湧かないんだろうなって思ってたんです。早いよっていう感じなんですけど、昨日「明日、最終回だな……」と思ってVチェック(リハーサルビデオのチェック)をしながらひと通り泣いてきました。
ヤマザキコレ ああ……。
種﨑 ここで出しておかないと、明日何もできないと思ったので。小一時間くらいかけて全部出してきました。実感が湧いたとしても最終回のオンエアが終わったあとくらいなのかなって思ってたんですけど、意外と早くにしっかりと湧くものなんだなって思いました。終わっちゃった……。
竹内 終わっちゃいましたね。
ヤマザキ 終わっちゃったんですよね。
──いつか来る終わりのことをずっと考えていたから、思いがこみ上げてくるのも早かった?
種﨑 かもしれません。始まった瞬間から終わりのことを考えていたのは、人生で初めてでしたね。
──ドラマCDのあとにOAD「星待つひと」の3部作が公開され、テレビアニメも2クールという長期間で展開されてきました。今までチセとエリアスを演じてきたおふたりに、ヤマザキさんはどんな言葉をかけたいですか?
ヤマザキ そうですね……。私の中では、もうチセとエリアスの声は種﨑さんと竹内さんの声で固定されているので、「まほよめ」を描いてる限りはずっと竹内さんと種﨑さんと一緒に仕事をしている気分になれるんだなと思ってます。なので私はどちらかというと寂しくはないです。
竹内 ……(静かに拍手)。
種﨑 ……(涙が流れる動作)。
──おふたりとも言葉を発せなくなってしまいました(笑)。
ヤマザキ だって「まほよめ」を描いてきた間の3分の2は、ずっと種﨑さんと竹内さんの声と一緒にいたわけですからね。普段マンガを描いているときは、脳内にいるキャラクターには声がつかないので、ドラマCDとアニメが始まってから、本当に役者さんの力はすごいなって実感しました。「君たちはこういう声でしゃべってたんだね」って。最近は物語の構成を考えてるときも、「このセリフ、種﨑さんと竹内さんだったらこういうふうに言うだろうな」って感じることがあるんですよ。「あ、チセとエリアスの声が聴こえる!」ってことが。それはおふたりだけではなく、関わってくれた皆さん全員がそうです。だからアニメは終わってしまいますが、寂しくはないです。
竹内 素晴らしいお言葉ですよ。
種﨑 ……(静かに頷く)。
ヤマザキ 本当にありがとうございます。うちの難しい、しゃべりたがらないあの2人を演じてくださって。
読み返して「これって解釈違いなのでは?」と思うことも
──アニメの中で、ヤマザキさんにとって印象深かったシーンはありますか。
ヤマザキ やっぱり人の解釈は千差万別というか、「私はこう解釈したけど、声優さんはこう解釈してくれてるんだ」と感じることがありました。それは絵についても同じで。「これをこうやって絵にしてくれたんだ」とか、想像していたものとは違うけど、こういうセリフの発し方もアリだなとか。人の解釈はさまざまで面白いなというのをすごく感じました。なので印象深いところというと、全部が印象深いです。
種﨑 人の解釈は千差万別だと思うんですけど、やっぱり生みの親が思い描いているものが一番正しいというか、正解なのかなって……。
ヤマザキ 私の場合はそんなことないですよ。描いてる私自身も解釈が変わっていきますし。灰ノ目やレンフレッド、アリスとかは本当にそれが顕著でした。描いてるうちに「お前にはこういう過去があったから、こういうふうに考えるんだね」っていうのがだんだんと見えてきて。だから自分でも過去のエピソードを読み返して「これって解釈違いなのでは?」と思うこともありますよ。
種﨑 2クールを通してチセを演じてきて、最初の頃に演じたセリフも、もちろんそのときはそれが正しいであろうと思ってやっていたんですけど、時間が経ってから「あれ、今こう感じるってことはあのときはもっとこういう感情だったのかも」と思うことがあるんです。それに似てるんですかね。
ヤマザキ そうです、そうです。演じていくうちに変わるし、描いてるうちに変わる。キャラクターがまったく予期せぬセリフを言ってきたときに、「なんでこの人はこんなことを言い出したんだろう」って深く考えた結果、「あ、君はこういうことがあったからこういうセリフを言ったのね」と気付くこともあるんです。
種﨑 単行本の8巻で、チセが「猫の国で(自分の命に)はっきりとしたタイムリミットがあるってわかってうれしかった」って言うセリフがありますよね。その「うれしかった」っていう気持ちは、私もそのシーンを読んだときから理解していたつもりだったんですけど、実際にチセが「うれしかった」と言葉にしたときに、わかっていたつもりだったけど、本当は違ったのかもって、すごく思ったんです。そっか、「うれしかったのか」って。
ヤマザキ チセ本人も、自分のことが一番わからないと思います。
種﨑 確かに、チセのことが一番わかるようで、一番わからなかったです。チセ以外のことはわかるのに。
ヤマザキ ですよね、私もです。ステラという存在が現れて、ようやくチセってこういう子だったんだって気づいた部分がたくさんあります。ステラっていう普通の女の子と触れ合ったときに、君はこういうスタンスでものを見てるんだねって。逆に言うと、一番わかるのはエリアスです。
竹内 おおっ。
ヤマザキ エリアスは感情を持ってないわけではないんですけど、それを整理できてない人なんですよね。自分の中に取り込んでいるものはたくさんあるんだけど、「これは悲しいことだ、これはうれしいことだ」っていう名前付けをしてこなかった。子供って、だいたい親から「そうだね、うれしかったね」と言われて「あ、これはうれしいんだ」って感情を知っていくものだと思うんですけど、幼いエリアスにはそれがなかった。感情を持ってはいるけど、それに名前を付けてグループ化することができていないという感じ。でもそれも描いていくうちに生まれてきた解釈なので、皆さんの解釈と別でいいし、読んでる人の解釈とも別でいいんです。作品が世に出てしまった時点で自分の解釈は自分の解釈だけど、読んでる人にはまた別の解釈が出てくるのも当然。なので、種﨑さんのチセであり、竹内さんのエリアスでもある。あなたのものですっていう感じなんです。
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わからないなりに掴みに行こうとした“エリアス像”
- テレビアニメ「魔法使いの嫁」
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- 最終話先行放送
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- TOKYO MX:2018年3月23日(金)19:30~
- AT-X:2018年3月23日(金) 23:00~
- 最終話先行配信
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- AbemaTV:2018年3月23日(金)19:30~
※AbemaTVでは最終話の先行配信にあわせ、キャスト出演による最終回特別番組を放送。
- AbemaTV:2018年3月23日(金)19:30~
- 最終話放送情報
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- TOKYO MX:2018年3月24日(土)25:30~
- MBS:2018年3月24日(土)27:38~
- AT-X:2018年3月25日(日)21:00~
- テレビ愛知:2018年3月26日(月)26:05~
- テレ玉:2018年3月28日(水)23:00~
- チバテレ:2018年3月28日(水)23:00~
- 北海道放送:2018年3月28日(水)26:26~
- BS11:2018年3月28日(水)25:00~
- ※放送日時は変更になる可能性がある。
- 最終話配信情報
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- AbemaTV:2018年3月25日(日)23:00~
- Amazonプライムビデオ:2018年3月26日(月)24:00~
- FOD:2018年3月26日(月)24:00~
- dアニメストア:2018年3月27日(火)12:00~
- バンダイチャンネル:2018年3月27日(火)12:00~
- アニメイトチャンネル:2018年3月27日(火)12:00~
- TSUTAYATV:2018年3月27日(火)12:00~
- HAPPY!動画:2018年3月27日(火)12:00~
- U-NEXT:2018年3月27日(火)12:00~
- アニメ放題:2018年3月27日(火)12:00~
- auビデオパス:2018年3月27日(火)24:00~
- J:COMオンデマンド:2018年3月27日(火)24:00~
- GYAO!:2018年3月29日(木)24:00~
- ニコニコ生放送:2018年3月29日(木)24:00~
- ニコニコチャンネル:2018年3月29日(木)24:30~
- ほか
- スタッフ
- 原作:ヤマザキコレ(マッグガーデン刊)
シリーズ構成・監督:長沼範裕
脚本:高羽彩
キャラクターデザイン:加藤寛崇
音楽:松本淳一
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:WIT STUDIO - キャスト
- 羽鳥チセ:種﨑敦美
エリアス:竹内良太
ルツ:内山昂輝
シルキー:遠藤綾
アンジェリカ:甲斐田裕子
サイモン:森川智之
セス:諏訪部順一
リンデル:浪川大輔
ミハイル・レンフレッド:日野聡
アリス:田村睦心
ティターニア:大原さやか
オベロン:山口勝平
カルタフィルス:村瀬歩
©2017ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁製作委員会
©ヤマザキコレ/マッグガーデン
- アニメ「魔法使いの嫁」Vol.1
- 2017年11月29日発売 / 松竹
-
[Blu-ray Disc2枚組]
19440円 / SHBR-0441 - アニメ「魔法使いの嫁」Vol.2
- 2018年3月21日発売 / 松竹
-
[Blu-ray Disc2枚組]
19440円 / SHBR-0442 - アニメ「魔法使いの嫁」Vol.3
- 2018年5月30日発売 / 松竹
-
[Blu-ray Disc2枚組] 19440円 / SHBR-0443
- アニメ「魔法使いの嫁」Vol.4
- 2018年7月25日発売 / 松竹
-
[Blu-ray Disc2枚組] 19440円 / SHBR-0444
- ヤマザキコレ「魔法使いの嫁⑨」
- 2018年3月24日発売 / マッグガーデン
- ヤマザキコレ
- 北海道生まれ。2013年に月刊コミックブレイド(マッグガーデン)にて「魔法使いの嫁」の連載をスタート。現在はマンガ配信サービス・マンガドアと月刊コミックガーデン(マッグガーデン)にて「魔法使いの嫁」を連載中。
- 種﨑敦美(タネザキアツミ)
- 大分県出身、9月27日生まれ。主な出演作に「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」(西之園萌絵役)、「残響のテロル」(三島リサ役)、「宝石の国」(ネプチュナイト役)など。
- 竹内良太(タケウチリョウタ)
- 兵庫県出身、9月22日生まれ。主な出演作に「ハイキュー!!」シリーズ(牛島若利)、「ナースウィッチ小麦ちゃんR」(ねこP役)、「暗殺教室」(シロ役)など。