コミックナタリー Power Push - 「都会のトム&ソーヤ」

はやみねかおるが書く「マチトム」 フクシマハルカが描く「マチトム」

小説に出てきたアイテムはひと通り作る(フクシマ)

──サバイバル技術も見どころですが、この知識はどこから?

はやみね 自分のばあちゃんからがほとんどですが、小学生をキャンプに連れて行くときに勉強したこともありますね。牛乳パックを使った道具では、描写の面でかなりご迷惑をおかけしたみたいで。

マンガ版「都会のトム&ソーヤ」より。

フクシマ マンガを描くときに、資料のために小説に出てきたアイテムをひと通り作るので、まあいろいろ起こりますよね(笑)。そういえば内人がケースを切断するために、潰したご飯を靴紐にくっつけて棒を作る場面がありますよね。その棒を作るときに安いおにぎりを買ってきてもらったんです。そしたらおかか味で、茶色くなっていって。アシさんが「茶色いきりたんぽができていくよー」って大笑いしてました。いつもわいわい言いながら作っています。

──実際に作っていらっしゃるんですね!

フクシマ アシスタントさんに「想像で描いて」とお願いしたら描けないと言われたので、じゃあみんなで作ろうかと。

──フクシマさんがなかよしで連載していた「伯爵さまは甘い夜がお好き」には、おいしそうなお菓子のレシピがたくさん出てきましたが、これもやはり実際にお作りに?

フクシマ ええ、絵にするときはやっぱり作ったことがある物のほうがわかりやすいし説得力も増すんです。でもこういうサバイバルアイテムはなかなか正解がわかんないですよね(笑)。

内人を救ってくれる女の子を妄想するのが楽しい(フクシマ)

── では、これまでの連載の中で、ご自身として「これは会心の出来!」という場面はありますか?

フクシマ プロローグとして発表した読み切りの冒頭にある「内人が普通だ」って場面ですかね。私と内人は同じ位置にいると思えて、気持ちがいいモノローグだなと思いました。あとは……やっぱり壁ドンかな。最初、壁ドンで盛り上がりすぎて両手壁ドンとかやっちゃって、これでも削ってるんです。そんなことばっかりで……。

はやみね でも私好きですけどねーこの壁ドン(笑)。

フクシマ こういうふざけた場面ほどテンションが上がっちゃうんですよね。

──はやみね先生はかなりご理解をお持ちのようですが、もし自由に描けるとしたらどんなお話を描きたいですか?

マンガ版「都会のトム&ソーヤ」より内人と美晴。

フクシマ もし先生が美晴ちゃんの行く先を書いてくださったら、美晴ちゃんの話を描いてみたいです。やっぱり少女マンガを描いてきたので、恋愛方面が気になりますね。でも小説本編では別の女子キャラも登場してるし、内人とはどうなるんだ、と心配で(笑)。創也と美晴ちゃんはなさそうだけど、くっついたら? くっつかなかったら? あと内人を救ってくれるのは誰なの? って妄想するのも楽しいんです。

はやみね 美晴は内人とはないでしょうね。基本的に内人は女の子にモテない路線なので。というか、モテる内人が想像できないんですよ。

フクシマ 先ほど女性目線について発見があったとおっしゃってくださいましたが、私からすると小説の内人の描写を見て「男子はこう思っているのか」みたいな発見があるんです。そういう部分も面白いですね。

──このコミカライズ経験が少女マンガのほうにフィードバックされることもありそうですか?

フクシマ そうですね。キラキラした男子も好きだけど、隣の席にいそうな、内人みたいな楽しい男子を主人公にした少女マンガを描きたい、描いたら楽しいだろうなとずっと思ってきたんです。こういう感じの男子は、「元気になりすぎるからやめておこう」と編集さんに言われたことがあるんですけど。でも「マチトム」を描いてこれ絶対イケるはず、絶対みんなこういう子が好きだと確信が持てました。ヒーロー役が内人みたいな男子の作品を、いつかなかよしでやってみたいですね。

小説を読んだことがある人ほどマンガも読んでほしい(はやみね)

── 最後におふたりから読者の皆さんに一言お願いします。

はやみね 私が文章で書き切れなかった部分を迫力のある絵でバーンと見せてくださっているので、また印象が違うと思います。ですから小説を読んだことがある人ほどこのマンガも読んでほしいですね。

フクシマ 私はそれこそ逆ですね。最近ラノベを読む前にコミカライズされた作品やアニメを読むんですが、そうするとすごくわかりやすくて設定がより吸収しやすいんですね。なので、この作品もそういう風に利用してもらえれば。小説をより楽しく読むためのアイテムとして読んでいただけたらうれしいです。

──ありがとうございました。

原作:はやみねかおる 漫画:フクシマハルカ「都会のトム&ソーヤ(1)」/ 2016年6月17日発売 / 講談社
「都会のトム&ソーヤ(1)」
670円
Kindle版 / 540円

ごく普通の中学生・内藤内人は、ふとした偶然から、同じクラスの天才御曹司・竜王創也の秘密を知ってしまう。 そしてその日から、思いもかけない、2人の冒険の日々が始まって……!? 累計150万部を超えるはやみねかおるの大人気シリーズを、少年誌初登場のフクシマハルカが全力コミカライズ! 最強(!?)凸凹中学生コンビの青春謎解きRRPG、待望のマンガ版スタート。

はやみねかおる
はやみねかおる

三重県出身。大学卒業後、小学校の教師となり、子供たちを夢中にさせる本を探すうちに、自ら物語を書き始める。「怪盗道化師」で第30回講談社児童文学新人賞佳作入選しデビュー。以降、発表される作品は子供も大人も夢中にさせている。代表作に「名探偵夢水清志郎」「怪盗クイーン」「都会のトム&ソーヤ」シリーズなど。

フクシマハルカ
フクシマハルカ

岡山県出身。大学卒業後、1999年に「さくらんぼ☆キッス」(なかよし増刊なつやすみランド)でデビューし、「おとなにナッツ」「チェリージュース」などなかよしで作品を発表。その後デザートやベツコミ(小学館)にも活躍の場を広げ、マンガ版「都会のトム&ソーヤ」で少年誌にも初登場を果たす。