おおのこうすけ描き下ろしイラストに「情報量が多すぎる……!」
──つきや先生が「極主夫道」の作者であるおおのこうすけ先生のファンと伺いまして、今回特集を実施するにあたって、おおの先生に描き下ろしのイラストと「組長娘と世話係」へのコメントを頂戴しました。
読者でありファンなので、いただいたイラストを拝見して何も言えなくて。自分が読んでいる大好きなマンガの作者さんに自分の作品を読んでいただいて、感想までいただけたことがすごく光栄なのに、イラストまで描いていただいて……。もちろんうれしいし感動しているんですけど、何よりも信じられない。龍さんと並んだ霧島が見られると思っていなかったので、情報量が多すぎる……! 感想コメントも、こんなお言葉をもらっていいんだろうかと恐れ多いです。何回も読み直して、噛みしめています。
──本当に喜んでいただけたようで何よりです! つきや先生にも霧島と「極主夫道」の主人公の龍を描いていただきました。
一緒に掲載されるのが本当に恐縮です……。「極主夫道」で組長のペットのために服を作るという回がすごく好きで、もしかしたら龍さんがおはぎの服を作ってくれるかもしれない、という妄想を含めて参考にさせていただきました。
──「静かなるドン」や「ごくせん」のような名作も以前からありますが、「組長娘と世話係」や「極主夫道」のような極道とコメディの組み合わせに近年注目が集まっているように感じます。つきや先生が考える、任侠の世界をテーマとするコメディ作品の楽しさはどういうところにあるんでしょうか。
ヤクザがいかにそれっぽくないことをするっていう点ですね。絶対にこんなことしないだろうということをする面白さがあると思います。ですが、極道の世界は自分では知らないことが多いので、それこそ映画などの作品を見て得る情報しかない部分もあります。本当のヤクザはそんなことしないよとかツッコまれるポイントもあると思うんですが、そこについては担当さんとも話していて、現実日本の話だけど「組長娘と世話係」というフィクションの世界として割り切って描いています。
──「組長娘と世話係」を描いてくうえで、影響を受けた作品はありますか?
明確にこの作品っていうのはそんなにありませんが、お嬢と世話係っていう関係性は森本梢子先生の「ごくせん」に影響を受けているかもしれません。主人公の久美子に若頭の京さんがケンカのやり方や、組の人間として生きていくためのいろんなことを教えていくんですが、ケンカも強くて怖い若頭がお嬢に対しては優しく敬語を使うというポイントが好きで、そこから影響を受けている部分があります。
──なるほど。話は変わりますが、「組長娘と世話係」が連載されているレーベル・コミックELMOは今年5月に1周年を迎え、個性的な作品がたくさんラインナップに増えました。コミックライドピクシブから移籍した「組長娘と世話係」はレーベル始動当初からラインナップされており、いわば“コミックELMO1期生”と言うべき作品なのですが、つきや先生はコミックELMOのどういう点を魅力に感じていらっしゃいますか?
ジャンルが統一されていないところだと思います。1つのレーベルでいろんなジャンルのマンガが読めるというのは魅力ですね。
──コミックELMOの連載作品で注目しているものはありますか?
とあこ先生の「腐ってても君が好き」が好きです。お話のテンポやセリフ回しが好きで、読んでいて思わず笑っちゃいます(笑)。
6巻は霧島について深く知れる
──9月10日には最新6巻が発売されます。つきや先生はどういうところに注目してほしいでしょうか。
霧島がお墓参りに行くエピソードがあるんですが、霧島が初めて自分自身と向き合って話をしているので、そこは自分の中でも大事なお話の1つです。今までで一番人間らしい、素の状態の霧島を見せられたんじゃないかと思います。6巻は霧島について深く知れる巻なのではないかと思っているので、そこに注目してほしいですね。
──お話しできる範囲で構わないのですが、今後の展開について伺えますか?
いろんな組の人間とそれぞれの家族が登場しているんですが、家族というテーマをこれからも描き続けられたらと思います。あとはこれから霧島には今まで以上に乗り越えないといけない壁が出てくると思うので、それを見守ってほしいですね。ハラハラする場面も出てくるんじゃないかなと思います。
──ありがとうございます。今後の展開とは別に、つきや先生が描いてみたいと思うエピソードや題材があればぜひお聞きしたいです。
担当さんと、もっと学校行事に参加させたいですねと話しているんですが、小学校なので案外イベントが絞られてくるのが悩みどころですね。小学校での霧島と八重花とか、楓ちゃんとお父さんとか、一緒に何か楽しいことをさせてあげたいです。家庭訪問とかいいかもしれませんね。桜樹組のメンバーがそれぞれ家族の役割を決めて先生と会う、というのはちょっと面白そうだと思います。
──そのエピソードもぜひ読んでみたいです! この機会に伺いたいと思っていたんですが、最初の頃に霧島が八重花の髪を結んでぐちゃぐちゃになるシーンがありました。その後霧島は上達したんでしょうか。
実はその話もいずれ描きたいと思っているんです。八重花が三つ編みとかしてるときは香菜美さんに結んでもらっているという設定で考えているので、霧島はあんまり上達していないんじゃないかな……。
──霧島の悔しそうな顔が浮かびます(笑)。それでは最後にファンに向けての一言メッセージをお願いします。
「組長娘と世話係」は本当に読者の方の存在がないと、ここまでこれなかった作品だと思います。ただの趣味だったイラストからここまで盛り上がって、ついてきてくださった読者の方がいて、「pixivにアップされてた連載前の作品から読んでます」っていう方もすごくたくさんいらっしゃいます。私が創作をする中で掲げてきた目標や夢を叶えられたのは読者の方のおかげなので、これからも私と一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。
- つきや
- 8月13日生まれ、広島県出身。自身のpixivアカウントにて「極道娘と世話係」のタイトルで公開していた作品が人気を博し、「組長娘と世話係」としてコミックライドピクシブにて連載化。現在コミックELMOで連載されている。