コミックナタリー PowerPush - 映画「寄生獣 完結編」
島﨑信長インタビュー
アニメ版主演の島﨑信長は、染谷将太演じる新一をどう見たか?
取材・文/岸野恵加 撮影/笹森健一
オーディションの練習をしていて吐きそうに
──本日はアニメ「寄生獣 セイの格率」のお話を伺いつつ、映画「寄生獣」の感想と、「寄生獣 完結編」への期待をお聞きできればと思っています。まずはアフレコお疲れ様でした。新一として駆け抜けた半年間が終わりましたね。
キャストやスタッフさんと毎回アフレコ後に飲みに行って熱く語ったり、すごく密な付き合いで作品を作れていたから寂しいですね。でも出せるものは出しきったし、悔いもなく清々しい気分です。
──20年以上前から愛されてきた作品ですが、主演に決まったときはプレッシャーもありましたか。
原作を最初に読んだのは中学生ぐらいだったけど、そのときはまだ理解できてなくて。オーディションに臨むにあたって最初から最後まで改めて読んだら、すごく深い作品で、自分がやりたいなと強く思いました。僕が生まれてからと同じくらいの時間、ずっと愛され続けていろんな思いが注がれてきた作品だっていうのが、オーディションのときに伝わってきたんです。読む原稿って普通はペラ紙2枚とかなんですけど、「セイの格率」は何枚もあって。冒頭からラストまで、変化していく新一のすべてを演じきるオーディションだったんです。
──作中の時系列に沿って?
はい。平凡な高校生だった新一が、母を殺され、ミギーと混ざって、髪を上げてワイルドになって、後藤と戦うまで……新一役としてどんな変化を見せてくれるのかが求められてるんだなって、原稿の量からスタッフさんの本気が伝わってきました。だからオーディションの時点でいろんな思いを背負ったつもりで臨んだし、台詞を読み込むのにめちゃくちゃ時間がかかりましたね。練習してて吐きそうになったり。
──新一の気持ちに入り込みすぎたんでしょうか。
そう。寄生されたお母さんに胸を貫かれるところで、目の前の光景を認めたくないけど、頭の中ではわかってる、っていう彼の気持ちを輸入すればするほど……練習してて「オエーッ」ってなっちゃって。「俺本番で吐いちゃったらどうしよう」って、不安でした(笑)。
声優として培ってきた芝居をすべて使った
──「セイの格率」では、舞台設定やキャラクターデザインを原作から大胆に変えていますね。発表された当初はファンから戸惑いの声も多く上がっていたようです。
現代が舞台になっていて、パソコンや携帯も出てきます。原作を汲みつつも、時代に合わせた変化を加えて、アニメはアニメとして作っていくっていう決意だと僕は理解しました。今の人たちにより観てほしい、知ってほしい、感じてほしいということだろうと。
──新一はまさかのメガネキャラになりましたが、最初に見たときはどう思いましたか?
違和感はなかったですね。メガネは後々の変化をよりわかりやすくするためのギミックとして活かすんだろうなと思ったし。原作の新一は20年以上前の普通の高校生像だと思うんですけど、それって今の時代にいたらきっと強い子なんです。
──ちょっとツッパった感じ。
うん、どう考えてもいじられたりしないタイプ。それが今の中高生に観てもらうときに、感情移入しづらいんじゃないかと。だからキャラデザをちょっとナヨっとした感じにして、今の普通に寄せたんだなって思いました。僕が演じるのに一番苦労したのは、その序盤の新一でしたね。
──それは少し意外ですね。後半の強くて激しい新一のほうが、島﨑さんの普段の姿とはギャップがある人も多いと思うので。
原作のイメージが残ってたからか、最初は新一を強く作りすぎてしまったんです。外見が頼りない今風な感じになっても、芯の強さが求められる以上に出てしまって。「もうちょっと力を抜いてやってほしい」と言われました。最初のキャラクター決めが一番苦労しましたね。
──その後はスムーズに入っていけましたか。
そうですね。新一がどんどん変化していくので、僕は一緒に全力で走っていくだけ。毎回事前に、「今の新一はどういう状態で、何を思ってる?」っていうのをものすごい考えてきて、でもマイクの前に立ったらそれを消し飛ばして、感じたままにやりたいというスタンスで臨んでました。この作品では、自分が声優として今まで培ってきたお芝居を全部使った気がします。実写のような生っぽい表現から、いわゆるアニメらしい、必殺技を叫ぶようなダイナミックな表現まで。すべてが新一には必要でしたね。現時点での島﨑信長の集大成を出せたと思います。
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- 映画「寄生獣 完結編」2015年4月25日 / 全国東宝系にてロードショー
- 映画「寄生獣 完結編」
キャスト
染谷将太 / 深津絵里 / 阿部サダヲ / 橋本愛 / 新井浩文 / 岩井秀人 / 山中崇 / ピエール瀧 / 豊原功補 / 大森南朋 / 北村一輝 / 國村隼 / 浅野忠信
監督・VFX:山崎貴
脚本:古沢良太、山崎貴
原作:岩明均「寄生獣」(講談社刊)
音楽:佐藤直紀
主題歌:BUMP OF CHICKEN「コロニー」
- 「寄生獣」映画Blu-ray & DVD / 2015年4月29日発売 / 東宝
- Blu-ray 豪華盤 / [Blu-ray Disc2枚組] 7236円
- DVD 豪華盤 / [DVD2枚組] 6264円
- Blu-ray 通常盤 / [Blu-ray Disc] 5076円
- DVD 通常盤 / [DVD] 4104円
豪華盤 共通特典
アウタースリーブ+デジパック仕様
豪華盤 特典ディスク
- 映画「寄生獣」メイキング映像1 撮影編
- 映画「寄生獣」メイキング映像2 VFX 編
- スピンオフショートムービー「ミギーの世界を教えて」
- 東京国際映画祭 密着映像集
- 監督インタビュー(山崎貴監督)
- キャストインタビュー(染谷将太・橋本愛)
本編ディスク
- 予告編集(特報、予告、TV スポット)
- 本編オーディオコメンタリー(山崎貴監督ほか製作スタッフ)
- 寄生獣 完結編 スペシャル映像 冒頭7分
封入特典
- ブックレット
島﨑信長(シマザキノブナガ)
青二塾東京校第29期卒業の声優。宮城県出身、12月6日生まれ。主な出演作品に「Free!」(七瀬遙役)、「ダイヤのA」(降谷暁役)、「俺物語!!」(砂川誠役)、「ミカグラ学園組曲」(二宮シグレ役)など。
2015年3月30日更新