アニメ「鬼滅の刃」花江夏樹×鬼頭明里×下野紘×松岡禎丞|祝・劇場版制作決定!完結したばかりのTVシリーズをメインキャストと徹底振り返り

第1521話

  • 第15話「那田蜘蛛山」
  • 第16話「自分ではない誰かを前へ」
  • 第17話「ひとつのことを極め抜け」
  • 第18話「偽物の絆」
  • 第19話「ヒノカミ」
  • 第20話「寄せ集めの家族」
  • 第21話「隊律違反」

新たな任務地・那田蜘蛛山に到着した炭治郎は、この山が十二鬼月の1人の根城と知る。炭治郎はその強大な敵・累の戦闘力の前に苦戦し、日輪刀をも折られてしまうが、父から教わった呼吸から「ヒノカミ神楽」を覚醒。さらに禰豆子の血鬼術「爆血」で力を得て、累を追いつめる。

「爆血!」に声をあてていいのか、心配だった

──15話からの那田蜘蛛山の任務では、なんといっても19話「ヒノカミ」が大きな話題を呼びました。挿入歌「竈門炭治郎のうた」をバックに描かれる累との激闘の演出に原作者の吾峠先生もオンエア前に絶賛のコメントを寄せ、放送後は「鬼滅ラヂヲ」への感想メールが800通を超えたそうですね。収録にあたっては、「この回は特別です」というディレクションがあったのでしょうか?

父の言葉を思い出し、「ヒノカミ神楽 円舞」を放つ炭治郎。

鬼頭 全然なかったですね。

花江 どの回も特別っていうことはないんですよ。台本にも書いてなくて、挿入歌が入ることも知らなかったし。

──じゃあ完成映像を見て初めて演出を知った感じだったんですね。

花江 いつもと同じようにやりましたけど、那田蜘蛛山での任務の決着がつく話だったし、TVシリーズ全体を通しても累がラスボス的な存在だったので、気合いはかなり入っていました。炭治郎のお父さん役で三木眞一郎さんがいらっしゃっていたり、ベテランの声優さんの前で自分がどれだけのものを見せられるのかって、すごく緊張してもいて。そのおかげでいいものになったのではないかなと思っています。

──モノローグ「爆血!」が、鬼となってから人間の言葉を発していない禰豆子の声で表現されたのも印象的でした。

「血鬼術 爆血」で炭治郎を後押しする禰豆子。

鬼頭 そうなんです。私はしゃべらないと思ってたんですけど、台本を開いたら書いてあって。実際に言うとなったら、「声をあてていいものなのかな……」ってめちゃくちゃ心配になってしまって。でもオンエアを観たら「あ、これは確かに声が必要だった」と思えて、ファンの方から「あそこはあててくれてよかった」って声もたくさんいただいて……よかったなって思いました。

下野 アニメでは毎度、原作にある状況説明的なモノローグは絵で見せるか、誰かがセリフで説明するしかなくて。スタッフさんも「爆血!」の表現に関してはかなり悩んだ上での決意があったそうです。

──「爆血!」の言い方はけっこう試行錯誤されたんですか。

鬼頭 テストでやってみたら、もっとより鋭く言い切る感じ、とは言われました。その通りにやってみたら確かにしっくりきて、それでOKが出た感じでした。

松岡 竹轡くわえてるバージョンも見たかったですよね。

鬼頭 (笑)。ギャグになっちゃう。

幼き頃、神楽を舞う父を見つめる炭治郎。

下野 そんな演出する奴がいたら俺はぶっ飛ばす(笑)。物語の要所に家族が出てくるけど、このシーンを見ると改めて、炭治郎と禰豆子って、やっぱり家族に守られてるんだなって思うよね。

花江 そうですね。絆が本当にすごい。

下野 これが竈門家なんだなあって感じます。

第2226話

  • 第22話「お館様」
  • 第23話「柱合会議」
  • 第24話「機能回復訓練」
  • 第25話「継子・栗花落カナヲ」
  • 第26話「新たなる任務」

鬼をかくまっていたとして鬼殺隊の柱合会議に引き出された竈門兄妹。柱の過半数は禰豆子の滅殺を提言するが、当主の産屋敷は禰豆子の特異さを説明する。蟲柱・胡蝶しのぶの蝶屋敷で炭治郎は善逸、伊之助と再会し、傷ついた身体を癒し、身体を鍛え直す機能回復訓練へ挑む。

「花江くん、カナヲを口説かないでください」

──22話ではついに鬼殺隊の柱が登場。キャスト発表時、オンエア時はTwitterのトレンドをキャスト名やキャラクター名が総ナメする大反響でした。

鬼殺隊の柱の面々。

鬼頭 別録りの方もいたので現場に全員は揃ってないんですけど、やっぱりオールスターズみたいな感じがありましたね。

──その後最終話までは、蝶屋敷での静養や機能回復訓練など日常的なエピソードが続いていきます。

花江 割とのほほんとした描写が多かったですね。でも炭治郎もその中で「全集中の呼吸・常中」を身につけたり、次の戦いに向けてまた強くなってるんだっていうのがわかって。

下野 原作では炭治郎が先に全集中の呼吸を覚えるんですけど、アニメではデカいひょうたんを善逸、伊之助と3人同時に割ってるんですよね。あの演出がけっこう好きで。3人がチームなんだなって改めて感じるし、この3人でもう1回旅立つんだなっていうことを、その映像だけで表してるなって思いました。

花江 あとは原作では番外編として描かれていたカナヲの過去が出てきたり、彼女の考え方が炭治郎と接して変わっていくあたりも印象深いですね。

鬼頭 コインのエピソードとかすごくいいですよね! 炭治郎がイケメン。

花江 原作の炭治郎もけっこう爽やかなんですけど、その部分は(スタッフに)、「あんまり爽やかにしないでください」「カナヲを口説かないでください」って言われました(笑)。

下野 ああ! すごい言われてたね(笑)。めっちゃ爽やかな声でやったら「花江くんちょっとごめん、あの、口説かないでもらっていいかな……」って(笑)。

鬼頭 (笑)。花江さん、別作品で口説き慣れてるから……。

花江 口説き慣れてはない(笑)。あくまで炭治郎が純粋な気持ちでやっているっていうことを意識しました。

下野 ここに善逸がいなくて本当によかったよね。

──真っ先に口説いちゃいそうですもんね。

下野 いや、口説かないですよ。その前にまず炭治郎を……。

花江 殺してます。

松岡 首をはねてます。

下野 そっちです。

──(笑)。最終回は原作とは少し違う描写になっていましたね。

花江夏樹

花江 そうですね。無限列車に乗るところが、無理やりバタバタと乗り込むような描写になっていて、そこで炭治郎が「禰豆子は必ず俺が守る」と決意して終わる。そして……! 劇場版の告知ですよ!!

一同 (拍手)

下野 もうさあ、待ってたよ!! でもそりゃそうだぜっていうか、続編がなかったらもう俺は抗議しようと思ってたからね。ファンの間でも暴動が起こるよ!! だから本当によかった。

──Twitterフォロワーは40万人を超え、Blu-ray / DVD1巻はオリコンチャート1位、コミックナタリーでも「鬼滅」の関連記事はいつも反響がとても大きく、半年間のアニメ放送を通して、作品の人気は確固たるものになったなと感じます。肌感覚的にそうした人気の高さは感じますか?

花江 そうですね。友達みんな観てるなあって。

鬼頭明里

鬼頭 私も親戚からよく連絡をもらったりします。

下野 子供たちがさ、「鬼滅ごっこ」っていうのをやってるらしいよ。君は炭治郎、あなたは禰豆子、善逸、伊之助、みたいな感じに役を決めていって、あまつさえチュン太郎まで登場するっていう(笑)。そういうふうにいろんな世代の人に興味を持ってもらえるのは、本当にありがたいね。

──TVシリーズを走りきって、改めて感じている作品の魅力というと、どういうところになるでしょうか。

下野 いやもう、みんなそうだと思うんですけど……。

花江 全部です。

一同 (笑)。

花江 全部ですね。全部だし、なかなかこんなに気合いの入った作品と巡り会うことってないので、こっちも応えなきゃいけないなっていうことを本当に感じています。

──花江さんは「鬼滅ラヂヲ」で19話の見どころを30分にわたって熱弁したり、もう「鬼滅」の一番のファンになっているんだなということがとても伝わってきます。

鬼頭 もうオタクの最たるものって感じがありますよね(笑)。トップオタ。

花江 そんな予定じゃなかったんですけど……どっぷりハマっちゃってます(笑)。

劇場版で楽しみなのは、全部です

──TVシリーズは主に炭治郎の成長というのが主なテーマとしてあったと思うんですが、いち声優としてこの作品に挑んで、自分も成長したと感じるところはありますか。

下野紘

花江 やっぱりなんというか、演じている中で熱い気持ちは込み上げてきましたよね。

下野 うん。「まだまだ自分って成長できるんだな」っていう。成長というか、「もっとやりたい、もっとできる」っていう気持ちに妙に溢れていましたね。だからもう行ききるところ……鬼舞辻を倒すところまでちゃんとアニメでも描いてもらいたいなって。そう思うと、まだまだだぜ!って思う。

松岡 最終話を観て、「終わりじゃなくてここから始まるんだな」っていう感じをすごい受けました。

──続編の劇場版「鬼滅の刃」無限列車編で演じる、あるいは観るのが楽しみなシーンは?

花江 全部です(笑)。

鬼頭 全部ですね(笑)。

炎柱・煉獄杏寿郎

下野 そうなんだよ(笑)。全部の質問に対して全部って答えられるのはすごいけど。こんなにピックアップできない作品もないですね。

花江 そうですね。なんといってもメインになる煉獄さんが本当にカッコいいので。劇場版ですし、19話のヒノカミ神楽ぐらいの映像を期待しちゃいますね。

鬼頭 炭治郎、善逸、伊之助の3人だけでもうるさかったのに、煉獄さんも加わってどうなっちゃうのか楽しみです(笑)。

──では最後に、劇場版制作の発表を受けてまさに歓喜の真っ只中にいるファンの方々へ、今後に向けて一言ずついただければと思います。

松岡禎丞

松岡 全26話が終わったということで、皆様は「次を早く……次を早く……」と鬼のように這いつくばっていることでしょう。それは我々も同じです! 映画は原作を知らない方も、知ってる方も、どちらもものすごく楽しく観れる作品になると思うんですが、原作を知らずアニメで追ってる方にはあんま原作を読んでほしくないな、アニメで体感してほしいな、って思っちゃうくらい、本当にものすごいクオリティのものを観ていただけると思います。我々も全力でがんばりますので、今後も「鬼滅の刃」という作品を、アニメーション・原作ともどもよろしくお願いします。

下野 続編に関しては「あるんじゃないか」なんて勝手に思ってましたけど、やはり演じられるのはすごく楽しみです。まだ劇場版のこともなんにもやってないのに、その先へもまだまだ行くのではないか、続くのではないかなんてさらに先のことを勝手に考えているんですけど(笑)、本当にそれぐらい演じていて楽しいし、観ていて面白い作品です。自分もすごい期待しつつ、とにかく1つのセリフに対して、できることは全集中の呼吸で全力を尽くすだけ。劇場版だろうがTVシリーズだろうが関係なく、汚い高音出しまくってやろう!と欲望丸出しでがんばりたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。

鬼頭 本当に素敵な作品に関われてよかったなって毎話思わされる作品でした。関わらせていただけたからには私ももっと全力でやっていこう、って思いながら日々を過ごしています。また続きが見られるということで、劇場版のほうも精一杯がんばって、そしてその末にもっと続きが見れるように私たちもがんばりたいと思いますので、ぜひぜひこれからも応援よろしくお願いします!

花江 出演しているからということではなく、純粋に作品が本当に素晴らしくて、僕もすっかり「鬼滅の刃」ファンになってしまったので、続きを劇場でできるっていうのは本当にうれしいことです。劇場版は僕も好きなエピソードをやると思うので、そこに対して自分の声優としてのこだわりと、作品のファン目線でのこだわり、どっちも両立してうまく演じていければいいなと思っています。ぜひ楽しみにしていてください!

左から松岡禎丞、花江夏樹、鬼頭明里、下野紘。下野の手のひらには、相棒のチュン太郎が。