「鬼滅の刃」花江夏樹(炭治郎役)×鬼頭明里(禰豆子役)|原作を細部まで丁寧に表現 気合いに満ちたアニメ化を“兄妹のような”キャストがいち早く語る

週刊少年ジャンプ(集英社)で連載中の吾峠呼世晴「鬼滅の刃」が、TVアニメ化される。6月にコミックナタリーでufotableによるアニメ化を報じた際、とても大きな反響があり(参照:吾峠呼世晴「鬼滅の刃」TVアニメ化、制作はufotable!最新11巻も本日発売)、ファンの期待値の高さが早くもうかがえる本作。放送開始は2019年4月を予定しているが、すでに本編は数話完成し、キャストたちのアフレコも続々進んでいるという。

コミックナタリーではキャストが発表されたばかりのタイミングで、主人公・竈門炭治郎役の花江夏樹と、その妹・竈門禰豆子役の鬼頭明里への対談インタビューをどこよりも早く実施。原作の感想から役作り、兄妹のような2人の関係性について話を聞いた。とにかく原作を大事に作られているというアニメの構成の話題にも注目してほしい。

取材・文 / 岸野恵加 撮影 / 入江達也

「鬼滅の刃」とは?

TVアニメ「鬼滅の刃」ティザーPVより。

週刊少年ジャンプ(集英社)にて、2016年11号より連載中。大正時代を舞台に、鬼に家族を惨殺されてしまった炭治郎が、凶暴な鬼になってしまったその妹・禰豆子を元に戻すため、家族の仇を討つために旅立つ和風冒険譚だ。激しく迫力ある剣戟と独特なテンポで描かれるコミカルなシーンとのコントラスト、人間と鬼との切ない物語が人気を呼び、少年マンガの新境地を切り開いている。

兄・竈門炭治郎(かまどたんじろう)(CV:花江夏樹)
心優しい少年。妹を人間に戻すため、鬼狩りの組織・鬼殺隊に入る。嗅覚に長け、鬼や相手の急所などの匂いを嗅ぎ分けられる。
妹・竈門禰豆子(かまどねずこ)(CV:鬼頭明里)
炭治郎の妹。傷口に鬼の血が入り込み鬼に変貌してしまうも、炭治郎やほかの人間を守るように動く。

花江夏樹&鬼頭明里インタビュー

「鬼滅」は能力や頭脳ではなく、気持ちで勝つ作品

──「鬼滅の刃」という作品は、もともとご存知でしたか?

左から花江夏樹、鬼頭明里。

花江夏樹 僕はオーディションの案内をいただいたことをきっかけに、初めて読みました。

鬼頭明里 私は「ジャンプで“鬼”の付くタイトルの作品がやってるらしい」っていうのは以前から知り合いに聞いていて、「もしアニメ化したら出たいな」って思ってました。

花江 やっぱり鬼頭だけに、“鬼”情報には敏感なんだね(笑)。

鬼頭 ふふふ(笑)。オーディションの話をいただいてから原作を読んだら、めちゃくちゃ面白くて。私が本名でデビューした意味はここにあったな、絶対に(アニメに)出たい、と思いました。最新巻まで全部読んじゃって、「これで落ちたら相当ショックだな」と思いながらオーディションを受けました。

花江 僕も手にとったらすごく面白くて、最新巻までバーっと読んじゃいましたね。いつもオーディションを受けるときって、落ちたときのショックが大きいから、たくさんは読み込みたくないんですよ。オーディションで演じる該当シーンの前後だけ読んだりとか、1巻だけとかにとどめていて。でも「鬼滅」はそういう気持ちが吹っ飛ぶほど面白くて、一気に読んじゃいました。

──それだけページを次から次へとめくらされた魅力は、どの辺りにあったんでしょう。

花江夏樹

花江 序盤は修行のシーンが長くて、けっこう地味だなと思ってたんです。途中から鬼と戦うシーンが入ってきて、仲間も増えて、右肩上がりにすごく面白くなっていく作品だな、と。炭治郎ががんばって修行を積み重ねたからこそ強くなっていく。その過程がちゃんとわかるのが、しっかりジャンプの王道を受け継いでるマンガだなって思います。あとは読んでいて気持ちがすごく伝わってくるんですよね。戦闘の描写が、能力でどうにかするとかめちゃくちゃ頭を使って勝つっていうよりは、気持ちで勝つというか、いろんな人の思いで戦う感じじゃないですか。

──主人公の炭治郎は、読んでいて「もうダメかもしれない」と思うほどに鬼にズタズタに打ちのめされてからも、自分を鼓舞して何度も立ち上がり、敵に立ち向かいます。

花江 言葉の1つひとつが重いというか、訴えかけてくるようなセリフが多いんですよね。読んでいて自分に言われているような感覚になったり、生活していくうえで元気をもらえる、背中を押されるような言葉がたくさんある。そこも面白さのひとつなのかなって思います。

鬼頭 わかります。あとキャラクターがすごく魅力的ですよね。私はけっこうキャラ萌えというか、キャラクターをまず好きになってから、そのキャラを知りたくて読み進めていくことが多いんですけど、「鬼滅」は読めば読むほど魅力的なキャラクターが出てきて「このキャラはどんなキャラなんだろう」って気になってどんどん読んじゃいました。

オーディションで禰豆子のうなりに「もっと獣っぽく!」

──おふたりともオーディションはもともと、炭治郎と禰豆子で受けていたんですか?

鬼頭明里

鬼頭 私は禰豆子だけでした。

花江 そうなんだ。ほかにも女性キャラいっぱいいるのに、なんで?

鬼頭 なんででしょう。“鬼”だからですかね(笑)。

花江 (笑)。僕は炭治郎と、善逸も受けてたんですよ。声の感じ的には善逸のほうが合ってるかなって思ってたんですけど、善逸はずっと叫びっぱなしなので、「これは受かったとしても大変だな」って思いました(笑)。

──(笑)。剣士でありながら戦いたくないと激しく泣き叫ぶ善逸を演じるのは、確かに気合いが要りそうです。

花江 炭治郎って、読んでる人によって声のイメージがまったく違うというか、想像しにくい印象があって。そもそもは女性声優さんがやるんだと思ってたんです。

──序盤の炭治郎は13~14歳。確かに女性の声と男性の声、どちらにも振れる年頃ですよね。

「鬼滅の刃」第1話より。母と妹弟たちを気遣う優しい長男・炭治郎。

花江 でも炭治郎役は男性で、という方針だったみたいで、僕も受けさせていただくことになりました。「鬼滅」のオーディションはちょっと変わっていて、完成映像に合わせてセリフを言ったんです。

──へえー。そういうケースってあんまりないですよね?

鬼頭 ないですね。すごく珍しいです。

花江 映像がちゃんとついているとイメージしやすかったし、スタッフさんの気合いを感じて、いっそう受かりたいなという思いが強まりました。

──鬼頭さんはどんなシーンを演じたんでしょうか。

鬼頭 禰豆子は鬼になってしまった後はセリフがないので……(笑)、最初の「いってらっしゃい」のところを映像付きで演じたのと、鬼になった状態で攻撃したりうなってくださいって、自由演技みたいな感じでした。

花江 禰豆子はずっとうならなきゃいけないもんね。

鬼頭 「もっと獣っぽく!」って言われて、何回かやらせていただいて。難しかったですね。

──合格の知らせをもらったときはどのような気持ちでしたか?

左から花江夏樹、鬼頭明里。

花江 もう落ちたと思ってたんですよね。アニメ化が発表されたときに、同時にPVも出てたじゃないですか。あのときはまだ出演が決まってなかったので、あれを見て「あー。もうこんなにできてるならキャスト決まってるなー」って(笑)。だからびっくりしましたね。

鬼頭 私はジャンプ作品に出るのが夢だったこともあってめちゃくちゃうれしかったですし、マネージャーさんに「決まりました」って言われたときは、うれしすぎてハイタッチしちゃいました。

花江 ジャンプ作品は、なんかやっぱり特別だよね。

鬼頭 特別ですね。

アニメ「鬼滅の刃」
2019年4月放送開始予定
アニメ「鬼滅の刃」

血風剣戟冒険譚、開幕。舞台は、大正日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで一変した。唯一生き残ったが凶暴な鬼に変異した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、2人は旅立つ。

原作:吾峠呼世晴(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)

アニメーション制作:ufotable

キャスト

竈門炭治郎:花江夏樹

竈門禰豆子:鬼頭明里

ほか

吾峠呼世晴「鬼滅の刃⑬」
発売中 / 集英社
吾峠呼世晴「鬼滅の刃⑬」

コミックス 475円

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Kindle版 451円

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花江夏樹(ハナエナツキ)
1991年6月26日、神奈川県出身。主な出演作に「東京喰種トーキョーグール」(金木研役)、「四月は君の嘘」(有馬公生役)、「双星の陰陽師」(焔魔堂ろくろ役)、「スタミュ」(星谷悠太役)、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」(ビスケット・グリフォン役)など。
鬼頭明里(キトウアカリ)
10月16日、愛知県出身。主な出演作に「グランクレスト戦記」(シルーカ・メレテス役)、「ウマ娘 プリティーダービー」(セイウンスカイ役)、「ブレンド・S」(日向夏帆役)、「ラーメン大好き小泉さん」(中村美沙役)など。