本当の兄のように思ってます

──花江さん、鬼頭さんは、炭治郎と禰豆子に似ているところはありますか？

鬼頭　似てる……うーん、やっぱり「鬼」なところ、でしょうか……（笑）。

花江　僕は……そうですね。あんまり意志を曲げないので、その辺りは似ているかもしれないです。

鬼頭　でも現場で花江さん、いつもお兄ちゃんのように見守ってくださるんですよ。私がどうしてもできないカットがあったとき、自分の出番は録り終わってるのに、私が終わるまでちゃんと待って応援してくださってて。共演はこれまでもさせていただいてたんですが、ここまでガッツリは初めてで、1話のアフレコからすごく話しかけてくださったり、もう兄のように思ってます。

花江　仲良くならないとお芝居で遠慮しちゃう部分があると思って。知ってる人、仲いい人が周りにいたほうが、全力でできると思うんですよね。……いや、そのために話しかけてるわけじゃないけど！（笑）

鬼頭　（笑）。でもそう思ってくださってるのが伝わってきて、優しいなって思います。

花江　僕も妹のように思ってますよ。すんごいお芝居に関しては真面目なんだけど、普段の感じは面白いなって。

鬼頭　面白いですか？（笑）

花江　なんていうんですかね、誰とでも仲良くなれそうな感じ。

──鬼頭さんは、花江さんにどんな印象を？

鬼頭　初めてお会いする前から大好きな声優さんだったので、こうやって兄妹役をやれることになって本当にうれしかったです。炭治郎って難しい役だし、すごくお芝居にエネルギーが要ると思うので、生で見てすごく勉強させていただいてるというか、毎回すごいなーって……。

花江　本当に思ってる？（笑）

鬼頭　思ってます、思ってます！ 「花江さんのこういうお芝居が好き」っていうところが、「鬼滅」でもあって。追い詰められて力を発揮するというか、苦しんでるときのお芝居とか、迫真に迫る感じがあって好きなんです。

花江　そうなんですよね、僕、不幸な役が多くて……。

──（笑）。

花江　苦しむことが多いんですよね。「東京喰種トーキョーグール」の金木くんとかもずっと苦しんでるし（笑）。

──そういうシーンを演じていて、自分も一緒につらくなったりはしないですか？ 役は役として切り離せるタイプですか？

花江　演じているときは入り込むけど、終わってからも引きずったりはしないですね。炭治郎の場合は思ってることを外に出すだけなので、なんていうのかな、言ってることと考えてることが違うキャラクターじゃない。そこはやりやすいかなと思います。感情を込めるところより、逆に日常のほうが難しかったですね。お母さんや弟妹と話してるシーンとか、絵で見ると淡々としてるんだけど、お兄ちゃんとしての優しさを出さないといけないので。フラットに話してる中にも兄としての優しさを出さなきゃとか、そういうところはすごく考えました。

鱗滝さんの「よく頑張った」に泣きそうに

──ufotableさんが生み出す映像についても印象を教えてください。どの辺りが見どころになりそうでしょうか。

花江　さすがufotableさんという感じで、絵がまずきれいです。雪山で木に雪が積もっていて、根元に枝が落ちてたり、ちょっと枝が雪の間から見えてる、みたいなのをちゃんと描きたいから実際に雪山にロケハンに行ったそうです。それが映像を見てもしっかり再現されていたので、そんな細かいところまで……ってすごさを感じますね。戦いのシーンではカメラがキャラクターの周りをぐるっとパンする演出があって、そういうところも迫力があってカッコいいし。

鬼頭　戦闘シーンのカメラワーク、すごいですよね。私は1話の、家族を殺されてたってわかるところの描写が「さすがufotableさん」って思いました。血の描写がすごくて、本当に凄惨な現場になっていて。シリアスな雰囲気を表現するのがやっぱり素晴らしいです。シリアスな部分がシリアスなほどギャグパートも面白くなる感じがして、落差がすごいですね。

花江　あ、あと、鱗滝さんに注目してほしいです！ 鱗滝さんってお面を被ってるじゃないですか。普通アニメってマスクを被ってるキャラだと口パクがないんですけど、鱗滝さんのこの面の横から少し見える口元の筋肉が、ちゃんと動くんですよ！

──ええ、細かいですね……！

花江　そんなに細かく動くんだ、ってびっくりしました。なので、まだ解禁前なのでお名前は明かせないですが、鱗滝さん役の方はそのシワの動きに合わせて声をあてていて。鱗滝さんと炭治郎は師弟関係なので毎回掛け合うんですが、修行を終えて「よく頑張った」って言われるシーン、あのひと言が、鱗滝さん役の方のお芝居がすごくグッときて。このひと言を言ってもらえただけで、がんばってよかったなっていうか……泣きそうになるくらい優しい鱗滝さんで、すごくよかったです。

呼吸法は「すうーーーー」っと息を吸って

──今後アニメで観たり、演じたりするのが楽しみなシーンはありますか？

花江　原作24話で怪我を負いながら敵と対峙して、「頑張れ炭治郎頑張れ!! 俺は今までよくやってきた!! 俺はできる奴だ!!」って己を鼓舞するところはやっぱり演じるのが楽しみですね。あのセリフは原作を読んだときにすごく印象的でした。あと善逸と伊之助が出てくるシーンもだし、戦闘もいろんな描写がどうなるか楽しみです。

──炭治郎は呼吸法を駆使して戦いますが、呼吸をどう表現するのか、気になります。

花江　技を出す前に息を吸う描写があるんですけど、すうーーーーーーって吸って、「水の呼吸 弐の型 水車!!」って技を出す感じですね。監督に「この型はこういうふうに吸って」と、間とかを明確に指導してもらってます。

鬼頭　私は柱の皆さんが出てくるのが楽しみです！

──アニメの放送開始まで5カ月、待ち遠しい限りです。最後に、放送を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

花江　原作が好きな人はめちゃくちゃ楽しみにしておいてもらえたらって思います。そうしてハードルを上げまくってもそれを飛び越えてくるような迫力だと思うので、絶対に観てほしいです。原作を読んでない方もアニメを観たら原作が読みたくなると思いますし、とにかくクオリティが高いアニメになってるので、まず観てください！と言いたいです。

鬼頭　周りのスタッフさんがすごく気合い入ってるなっていうのが伝わってくる作品になっています。絶対に面白いって思える作品だって言い切れるクオリティなので、原作を読んだことがある人も読んでない人も、ぜひ楽しみにしていてください！