TVアニメ「川越ボーイズ・シング」連載第1回|鵜澤正太郎、土田玲央、小原悠輝が高難度の楽曲に挑む!役とともに成長し、仲間と乗り越えた青春の日々 (2/2)

心からぶつかり合える仲間に出会えた(鵜澤)

──英語詞はもとより、クワイアという形態自体、一般的なキャラクターソングとも違う難しさがあったんじゃないかと思うのですが。

土田 ほかのキャラクターソングと違うなって思ったところとしては、あんまりクセが付けられないというか。本当に素直にまっすぐ歌うようにしないとクワイアらしくならないので、そこが個人的には難しかったです。

鵜澤 抑えるところは抑えて、自分のメインパートは思いっきり歌って。

小原 すごく繊細なハーモニーを求められるのが難しいところですよね。僕はもともと中学校の頃に合唱をずっとやっていたんです。なので知らないはずの新しい曲なのに、どこか当時歌っていた合唱曲と通じるものがあって、懐かしかったですね。切なくもあり、でもさらに未来に向かって進んでいくような感じというか。

鵜澤 僕も昔、合唱コンクールに誰よりも燃えていた男で。音楽委員もやったし、音楽委員長もやったし、合唱コンクールで最優秀賞も獲らせていただいて……。

土田 自慢すんな、自慢すんな(笑)。

鵜澤 (笑)。すごく歌うことが大好きで、音楽の授業も誰よりも前のめりでやっていたんですけど、合唱ってバランスが大事なので、先生に「抑えて、抑えて」って言われ続けてきたんです。思いっきり気持ちよく歌うことって、当時はほとんどできなかった。だから「川越ボーイズ・シング」で皆さんと一緒に歌ったときに、むしろ本気でいかないと足りないくらいで、心からぶつかり合える仲間に出会えた感じがしています。

鵜澤正太郎

鵜澤正太郎

──ちなみに歌うことが好きになったきっかけは何かあるんでしょうか?

鵜澤 たぶん、お母さんと一緒によくカラオケに行っていたことだと思います。宇多田ヒカルさんとかが大好きで、もともと声が高かったので、キーの高い歌をずっと歌い続けてて。でも声変わりで低くなったときに、今まで歌っていた曲が全部歌えなくなって、それがすごく悔しくて、猛烈に練習したんです。

──今まで歌えていた曲をもう一度取り戻すぞ、という。

鵜澤 はい。だんぼっちもトップテナーなんですけど、そういうのもあって僕は声がハイトーンになったんだと思います。今回は本当に歌が好きなキャストが集まっているし、歌うと自然とそのキャラクターが出てくるように聞こえて、すごく面白かったです。

「うわ、これやったことある」と高校時代の自分と重なった(小原)

──まだ明かせないこともあると思いますが、ストーリーやキャラクターについても聞かせてください。「川越ボーイズ・シング」は元指揮者の顧問・春男先生に、半ば無理やりにボーイズ・クワイア部に3人が勧誘されるところから始まります。部活動の経験など、ご自身の学生時代と重なる部分はありましたか?

小原 白鳥は、知らず知らずのうちにみんなを前向きな方向に持っていくことが多いんですが、それが高校時代、陸上部で部長をやっていたときの自分と重なりました。何かいいセリフとか繊細なことを言って励ましていくわけではなくて、ただテンションで引っ張っていく(笑)。「うわ、これやったことあるな」ってすごく共感します。

小原悠輝

小原悠輝

鵜澤 トリちゃんは気持ちで周りを上げていくんだよね。だんぼっちはトラウマというか、過去の経験から臆病になっている部分がある子なんですが、自分にもそういう失敗の経験があるので、それをすごく思い出していました。だんぼっちもそうですが、各キャラクターがお話の中で成長していくので、第1話と最終話でこんなに変わったんだ、というのはぜひ観てほしいところです。だんぼっちが主人公というより、クワイア部のみんなが各話各話の主人公なんですよね。

──群像劇的なところもあると。

土田 えいちゃんも“完璧”というキャラクターですが、ちゃんと本人なりの悩みも抱えていて。自分が学生時代に「あいつはなんでもできてすごいよなあ」って妬んでいたような相手にも悩みがあったんだろうな、誰だって悩みはあるよなって思ったりしました。

鵜澤 どのキャラクターもスポットが当たるし、そうするとすごく輝くんです。なので「自分はこのキャラクターが好きだな」とか「共感できるな」ってキャラクターをぜひ見つけてほしいですね。

──では、自分が演じているキャラクター以外で気になるキャラクターはいますか?

小原 迷うね、これ。

鵜澤 1人選ぶのは難しい!

土田 ITですかね。IT役の中西くんは、今回アニメの現場が初めてだったらしいですが、すごく上手で。この絶妙にむかつくITというキャラクターを(笑)、見事に演じてました。現場でもマスコットみたいな感じでかわいかったよね。

鵜澤 ほんとに! 僕もITくんには思い入れが強くて。僕なんかまだまだひよっこなんですけど、ひよっこなりに中西くんには声優としての知識だったり、僕の持っているものは全部伝授したいって思って、中西くんと一緒にカラオケにこもって練習したりしたんです。それで収録に臨んで、最高の話が録れたんですよね。めちゃめちゃ感動しました。トリちゃん(小原)は?

小原 迷ってるんですよね……。

土田 足立でしょ?

鵜澤 足立じゃないの? (足立役の木村)昴さんの真似して、現場で靴脱いでたじゃん。

小原 してましたね(笑)。昴さんとはラップの話で盛り上がったりもしたし、大好きなんですけど……増田先生がどうしても忘れられなくて。

鵜澤 ああ、体育の先生の!

土田 そこ!?

「音楽って楽しいな」って思っていただけたらうれしい(土田)

──教師陣も活躍しますよね。何より、興津和幸さん演じるクワイア部の顧問・春男先生が、かなり強烈なキャラクターで。

小原 僕は春男先生にツッコミを入れるシーンが多くて、先に収録された春男先生の声を聞きながら演じることが多かったんですが、もう、面白すぎて。本当にむちゃくちゃな先生なのに、あんなひょうひょうと収録されているのもすごいなと。

鵜澤 興津さんは先生役だからなのか、全体を見ている感じがお芝居にも表れていらっしゃって。4人ずつの分散収録だったんですが、全員と一緒に収録できないからって、時間が許す限り外のモニターで生徒たちのお芝居の様子を観ててくださったんです。本当に素敵な方でした。

──それは素敵ですね……!

小原 僕は初めてのアニメの現場だったので、控室でお会いしたときに、心得をいただきまして。「今までやってきたお芝居の通りにやればいいと思うよ」とか、「アニメだからこうしようって意識することはなくて、自然にやったらいいよ」って。やっぱり声優の皆さんとご一緒させていただくことに、負い目のようなものがあったんです。でもそうやって優しい言葉で緊張をほぐしていただいたので、メンタル面でも技術面でも助けられました。

──現場のいい空気が伝わってくるエピソードですね。放送はまだ先となりますが、「川越ボーイズ・シング」のどんなところに注目して観てもらいたいですか?

小原 最初は3人しかいなかったクワイア部に、個性豊かな仲間たちがいろんな葛藤を抱えながら集まってきて、その心がどんどん1つになり、目標に向かって進んでいく……みんながワクワクできるような内容になっていると思います。そして曲もめちゃくちゃカッコいい、毎日聴いていられるような曲なので、それも併せて楽しんでもらえたらうれしいです。

土田 先ほどお話したように、それぞれキャラクターが抱えているものもありつつ、決して重い空気ではなく、基本的には学生たちの日常にスポットライトが当たっている作品です。ハチャメチャな春男先生であったり、個性豊かな生徒と先生たちがいて、日常のわちゃわちゃしているシーンもたくさんあるので、楽しんで観ていただけたら。そこにスパイスのようにクワイアという要素が入ってくるので、「音楽って楽しいな」って思っていただけたらうれしいですね。お楽しみに!

土田玲央

土田玲央

鵜澤 自分の好きなことを「好き」って言うのって、なかなか難しかったりすると思うんですが、好きなことを貫こうとか、自分がなりたいものや目指しているものに心からぶつかってみようって、背中を押せるような作品になっているんじゃないかなって自負しています。最後まで観てくださったらきっと、自分に自信を持って、「好き」って思い切って胸を張れるような、そんな気持ちになれているんじゃないかと。そして、人それぞれに刺さる曲がきっとあると思うので、ご覧になって、ちょっと「歌いたいな」って気持ちになってもらえたら、それが一番うれしいことなんじゃないかなって思いますね。

──いつか皆さんの歌も生で聴きたいですね。

鵜澤 やりたいですね! まだ全然決まってはないですが、そのときはアニメそのままのクワイア部を届けられたらなって思います。がんばります!

プロフィール

鵜澤正太郎(ウザワショウタロウ)

1月22日生まれ、千葉県出身。81プロデュース所属。劇団日本児童に入団し、子役としてキャリアをスタート。主な出演作品に「デュエル・マスターズ WIN」(斬札ウィン役)、「アイドルランドプリパラ」(ウシミツ役)、「宇宙ショーへようこそ」(佐藤清役)、「古見さんは、コミュ症です。」(米谷忠釈役)などがある。趣味・特技はアコギ、ピアノ、ボイスパーカッション、ボウリング、スポーツ、歌、料理。

土田玲央(ツチダレイオウ)

1月6日生まれ、北海道出身。81プロデュース所属。2012年に「第6回81オーディション」で優秀賞に加え、小学館賞、BS11賞、文化放送賞を受賞し、2014年にデビュー。主な出演作品に「アイドルタイムプリパラ」(高瀬コヨイ役)、「あんさんぶるスターズ!」(朱桜司役)、「スケートリーディング☆スターズ」(望月暁光役)、「池袋ウエストゲートパーク」(キョウイチ役)などがある。趣味は絵を描くこと。寿司が好き。

小原悠輝(オバラユウキ)

6月15日生まれ、岩手県出身。ジャンクション所属。「ゆく年く・る年冬の陣 師走明治座時代劇祭」(望月六郎役)、「デストロイヤー花」(蘇芳役)、「ジョンマイラブ -ジョン万次郎と鉄の7年-」(ジョン万次郎役)、惣領冬実原作によるミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」に出演するなど、俳優として活躍している。特技はピアノ、陸上競技。音域はE♭からB♭。

2023年10月4日更新