アニメ「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」古賀葵、古川慎、小原好美、鈴木崚汰、花守ゆみり座談会|次第に崩れていくキャラが紡ぐ不器用な恋模様

「ひどいことばかり言わせてすみません」って監督に謝られて

──ではここからは、アフレコをしていて印象に残っているエピソードを皆さんにお伺いしていければと思います。

古賀 うーん……ぱっと思いついたのは、バレーボール回(第5話より「白銀御行は見せつけたい」)ですかね。

第5話より「白銀御行は見せつけたい」

勉学において右に出るものはいないものの運動センスは絶望的な白銀は、放課後の体育館でバレーボールの練習に励んでいた。しかしどうやっても成長の兆しすら見えない。バレーの授業は来週に迫っており、このままでは完璧な生徒会長というイメージが崩れてしまう。そう1人落ち込んでいたところに、藤原がやってきた。白銀は恥を忍んで教えを請い、藤原の熱血指導によるトレーニングの日々が始まる。

  • 白銀はサーブを打とうとして、なぜか自分の頭部を強打してしまう。
  • 完璧に見えながら、極度の運動音痴である白銀。原作ではこれ以降も、彼のポンコツな面にスポットを当てたエピソードが多数描かれている。
白銀は藤原とともにバレーの特訓をすることになる。

小原 かぐやがメインの回じゃないんだね。

古賀 かぐやって基本ずっと出ている役なので、マイク前でアフレコをしながら皆さんの声を横から聞くのがほとんどなんです。でもバレーボール回のかぐやは最後に少し出てくるだけなので、皆さんの演技を後ろから座って見られるのが印象的でした。

小原 確かに見られる回ってあんまりないよね。

古賀 だから余計に印象に残っているのかもしれないんですけど。お話自体もかぐやには絶対に見せない会長の努力の様子とか、藤原にはカッコ悪さを晒して一緒にがんばっていくスポ根な感じがすごく面白かったですね。

古川 僕は最終回直前に挟み込まれたラーメン回(第11話より「藤原千花は超食べたい」)ですかね。「ここでこのエピソード入れてくるのか」って。超カオス回じゃないですか。

第11話より「藤原千花は超食べたい」

エジプトへの海外旅行中、“ラーメンスイッチ”が入りラーメンが食べたくなってしまった藤原は、帰国後さっそくラーメン屋へと赴く。彼女が入店したラーメン屋には趣味がラーメン屋巡りだという中年のサラリーマン・小田島三郎も居合わせていた。「ラーメンのことなんて何も知らないだろう」と藤原のことを見下す小田島であったが、藤原の「理解(わか)っている」ラーメンの注文方法や食し方を見て、彼女を認めることになる。

  • 訪れたラーメン店の最適解とも言えるメニュー「醤油とんこつ薄め」を注文した藤原。
  • 藤原はレンゲの上に麺や具材を乗せ、“ミニラーメン”を作ってラーメンを食す。
藤原を“ラーメン喰い”として認め、彼女に敬意を表す小田島。

古川 あのエピソードを録っている間だけは、「かぐや様は告らせたい」はラブコメという枠を超えて、何か違うものに発展しましたよね。“孤独の何か”を彷彿させるというか(笑)。

小原 あのエピソードは小田島さん役の佐藤春男さんにも、「このアニメ、ほかにもラーメンの回があるの?」って聞かれたので、「ないです!」って答えたら「大丈夫なのかな、この話(笑)」って仰ってましたよ。私たちも原作ですべてのお話を知っているものの、アニメはエピソードの順番を入れ替えたり削ったりしているので「次に何がくるの?」ってドキドキしてましたね。

古川 あと「ちんちん」の回(第7話より「かぐや様は耐えたい」)はめちゃくちゃ面白いんだけど、どんな顔していいかわからなかった。

第7話より「かぐや様は耐えたい」

いつかかぐやのことを大笑いさせてみたいという藤原は、かぐやが「ちんちん」というワードに笑いを堪えているのに気付いてしまう。なんとかしてかぐやを笑わせようと、「ちんちん」と連呼する藤原だったが、「そんな下品な言葉で笑ってしまったら末代までの恥だ」と考えるかぐやは、なんとかその場を乗り切ろうとする。

  • かぐやが「ちんちん」というワードに反応していることに気付き、藤原は「ちんちん」と連呼する。
  • 赤面しながらも笑いをこらえようとするかぐや。
下ネタに関して小学校低学年レベルの耐性しかないかぐやは、単純な隠語でも笑ってしまう。

小原 あれは笑ってくれないとこっちが泣きます……(笑)。でも最終話を録り終わったあとに、監督がキャストに挨拶して回ってくださったときに「ひどいことばかり言わせてしまって本当にすみませんでした」ってチョコレートをいただきました(笑)。

早く告白しろよ!

鈴木崚汰

鈴木 僕もすごく印象に残ってるシーンがあるんですけど、(台本を確認しながら)何話だっけな……。古賀さんと古川さんが何度も掛け合いを繰り返して作った話なんですけど。

古川 ああ、第10話(「かぐや様は許せない」)の「はー!」のところでしょ?

第10話より「かぐや様は許せない」

校長から生徒会にショートケーキが差し入れられるも、人数分が用意されていないことから最後のひとつをかぐやと白銀が譲り合うことに。相手に食べさせようと1時間以上揉め続ける2人だったが、ひょんなことからそれぞれが互いの過去のささいな言動を覚えていたことが明らかになり、「はー! そーですか!」と意地を張り合いながらも赤面することになる。

  • 互いにショートケーキを譲り合う白銀とかぐや。
  • 相手に食べさせようとするあまり、2人は次第にヒートアップしていく。

鈴木 そうだ、「はー!」だ! キャラクターの揺れ動く微妙な気持ちを、おふたりが丁寧に演じていて。かぐやと白銀は照れているっていうのをお互いにバレてないと思ってますけど、視聴者から観たらバレバレで、そのギャップも面白かったです。

古賀 あの掛け合いは楽しかったですよね。

左から古川慎、小原好美、古賀葵、花守ゆみり、鈴木崚汰。

古川 うん。やっぱり掛け合いをする中で生まれてくるものがあるというか、あのシーンは1人では録れない勢いがあったと思います。

花守 私は会長がかぐや様のお見舞いに来る回(アニメ第9話より「四宮かぐやについて①」)が好きでしたね。原作を読んでいたときからかぐや様の「いっしょにねよ」っていうシーンが、かわいくてやばいなと思っていて。

第9話より「四宮かぐやについて①」

風邪をひいたかぐやの家へとお見舞いに訪れた白銀。早坂扮するハーサカの手引きにより部屋で2人きりにされたかぐやと白銀だったが、高熱のためにあまえんぼな性格になってしまったかぐやは、白銀に対して「いっしょにねよ」と持ちかける。

  • 「いっしょにねよ」と白銀を誘い、「お可愛いこと」とつぶやくかぐや。
  • 熱が下がり白銀が同じベッドに寝ていることに慌てるかぐや。

古賀 あのシーンは、会長の「スピー、スピー」っていう寝息に笑っちゃって、最初はうまくしゃべれなかったです(笑)。

「四宮かぐやについて①」の幕間より。ベッドの乱れ具合からかぐやが白銀から何もされていないと判断する早坂。

古川 あれは台本に「スピー、スピー」っていうセリフとして書いてあったから読んだだけなのに、みんな笑うから。

花守 会長もかぐや様もあたふたしていて私は「お可愛いこと……」ってずっと思ってましたよ。正直「お可愛いこと……」を通り越して、「早く、早く告白しろよ!」とも感じてましたけど(笑)。


2019年3月27日更新