「I”s」伊島空(寺谷役)×小越勇輝(越苗役)×冨田佳輔(木田役)座談会|一貴を囲む男子演じる3人がドラマの映像を観返しワイワイ語らう

第3話「素敵な涙」

夏旅行の夜、勇気を振り絞って伊織への思いを伝えた一貴。真意までは伝わらなかったものの少し距離が縮まったことに満足気だったが、2学期になり伊織がヌード写真集を出すと聞かされる。慌てて問いただした一貴だが、逆に伊織の怒りを買い気まずい関係に。いつきに悩みを相談するが、いつきは煮え切らない態度の一貴に自らの気持ちを隠し激を飛ばす。伊織を止めようと走り出した一貴だったが、河川敷で撮影帰りの伊織と演劇部の部長を発見し……。

伊島 第3話はいろいろ詰まってますよね。2学期が始まって、ヌード写真集騒動があり一貴の誕生日のエピソードがありと。

小越勇輝扮する越苗純。©桂正和/集英社・スカパー!2018

冨田 そしてラストでいよいよ越苗が登場する。めちゃくちゃかわいいよね(笑)。

小越 原作の越苗くんはめちゃくちゃキレイで、自分が演じると決まったときは「大丈夫かな」って不安だったんですよね。だからこそ外見は納得いくものにしたいなと思って。髪の毛はウィッグなんですけど、監督のOKが出てからも何時間もかけてメイクさんに切ってもらって微調整を繰り返していました。

伊島 同性の先生が好きっていうのも難しい役どころだよね。

小越勇輝

小越 “ただ同性が好き”っていうキャラクターにはしたくなかったので、内面についても悩みましたね。越苗は影が薄くて、あまり自分の感情を表に出す子ではないんですけど、どうして先生のことを好きになったんだろうっていうところから考え始めて、きっと人が好きなんだろうって思い至ったんです。人が好きというところから派生していって、先生の魅力を知ってそこから好きになったんじゃないかなと。

──「I”s」は豊島圭介さんと安里麻里さんの2人が監督を務めていますが、第3話は初めて安里さんが監督した回ですね。同じ作品でも監督ごとに現場での撮影の仕方や映像の仕上がりは変わってくるものですか?

伊島 演出の仕方はかなり違いますね。楽しいシーンがあるエピソードは豊島監督が多くて、シリアスなシーンがあるエピソードは安里監督が多いっていうこともあったと思うんですけど、豊島監督にはおちゃらけた面白い寺谷、安里監督にはカッコいい寺谷を引き出してもらったような気がします。

第4話「くずれた思い出」

修学旅行のリポート課題で伊織とペアになることを願う一貴だったが、彼女とペアになったのは影の薄い長髪の男子・越苗純だった。担任のヒゲミとペアになった一貴は、退屈な京都巡りに嫌気が差してしまう。そんな中、一貴は越苗から「先生とペアになりたいから変わってくれないか」と提案される。晴れて伊織とペアになり、告白の決意を固める一貴。そんなとき、いつきの家が火事になったという電話が入る。

修学旅行中、女子の脱衣室を覗こうとする男子たち。©桂正和/集英社・スカパー!2018

冨田 初っ端から男子たちが女子の脱衣室を覗こうとしている(笑)。

伊島 上半身裸だったりパンツ1枚になったりしてね(笑)。その後、越苗が一貴に自分の気持を告白して気絶しちゃうところの小越さんの倒れ方すごいよね。

冨田 すごいキレイに倒れてる。これ何か下に敷いてたの?

小越 マットを敷いてたと思います。

伊島 流石に何か敷いてないと、こんな思い切りよく倒れられないよね。

──越苗が自分の気持ちを告白するシーンでは一貴のことを、「他人に対して強い態度が取れる人」と評していますね。先ほど伊島さんは寺谷を「普段は女性にガンガンいけても、いざ告白するとなったら実はすごい緊張しちゃうキャラクターなのでは」とおっしゃっていましたが、皆さんは「I”s」のどのキャラクターがご自身と似ていると思いますか?

いつきの家が火事になったと知らされ修学旅行から途中帰宅した一貴は、いつきの思いを知り彼女を抱きしめる。©桂正和/集英社・スカパー!2018

冨田 僕は一貴かな。

伊島 僕は自分が寺谷っぽいところもあるかなと思うんですけど、一貴が一番共感しやすいですよね。みんなが通ってきた思春期特有の男子の感覚を持っていて。

小越 多分僕は越苗に似てると思う。争いごとが苦手なんで、「これを言ったら相手がどう思うか」っていうことをすごく考えちゃって、言わなくていいことなら内に秘めていてしまうというか。

伊島 そういう意味で言うと、告白するときは緊張しちゃっても、寺谷みたいにガツガツいけちゃうのはすごいですよね。

小越 自分にそういう部分がなさすぎて、うらやましい。

冨田 寺谷は気持ちのままに生きてるよね。

第5話「笑顔の違い」

伊織といつきの間で思いが揺れる一貴。そこへ臨時の美術教師・竹沢隆志が現れる。一貴はいつきから師匠と仰がれ、大人な物腰の竹沢に苛立ちを覚える中、いつきへの思いが募っていく。自らの気持ちを確かめつつ、伊織からのアドバイスで自然にいつきをデートに誘うことができた一貴。一方で伊織は越苗の中学時代の親友から校内新聞用に写真を撮影したいと頼み込まれる。一貴がいつきへの告白を決意したデートの当日、伊織の撮影に同行した越苗から、「様子がおかしいから今すぐ来れないか」と不穏な連絡があり……。

いつきの歓迎会でのワンシーン。©桂正和/集英社・スカパー!2018

冨田 いつきちゃんの歓迎会でカラオケに行くシーンは、珍しく寺谷、越苗、木田の3人が揃ってるんだよね。

伊島 ナミ役の春花さんが主題歌の「yesterdays」を歌ってるんだけど全然歌詞を覚えられなくて結局最後は「ラララー」になってる(笑)。このあと一貴が「いつきのことが好きだ」って寺谷に言うシーンで、寺谷が自分の気持ちを押し殺して一貴を応援するところがあるんです。原作だと「今すぐデートに誘え」と言ったあとに場面転換するんですけど、ドラマだと一貴を送り出したあと寺谷が寂しそうな表情を浮かべるシーンが追加されていて。そのシーンはドラマならではなのでぜひ見てほしいです。

冨田 あと6話は越苗のアクションシーン。あれってどれくらい練習したの?

小越 アクションの稽古をつけてくれるっていうことで1回練習に行ったんですけど、柔軟をしたりパンチとかキックの練習をしたぐらいで実際のアクションはまったくやらなかったんですよね。ほとんど当日に稽古をつけてもらって。

武術の使い手である越苗は、伊織を襲う悪漢たちを次々に倒していく。©桂正和/集英社・スカパー!2018

冨田 それであのアクションできちゃうってすごいよね。

小越 越苗は髪が長いのがまた大変でしたね。髪が引っかかっちゃったんですけどそのまま撮影を続けて、あとで映像をチェックしたらウィッグが後ろにずれて禿げてるみたいになってたから撮り直しになったり(笑)。

第6話「ノーコントロール」

いつきがアメリカに戻ったことで、一貴は心にぽっかりと穴が開いたまま高校3年生の春を迎える。去年と同様、「新入生ようこそパーティ」の実行委員に選ばれた一貴と伊織。学校の図書室で出し物を決めようとする2人だったが、後ろには寺谷をはじめとしたクラスメイトたちの姿が。ゴールデンウィーク中に出し物を決める合宿をしようと言う寺谷に乗せられナミの家を訪れた一貴たちを待っていたのは、理性を麻痺させてしまう王様ゲームだった。

伊島 6話の寺谷はふざけたシーンしかないですよ(笑)。みんなが一貴と伊織ちゃんと一緒に出し物を決めようって図書室に集まるシーンすごくいいですよね。

左から冨田佳輔、伊島空、小越勇輝。

冨田 僕、そこがクランクインして最初の撮影だったんですよね。だから心なしかみんなと距離があって、寺谷との立ち位置も隙間が開いてるような気がする。このあとの王様ゲームのシーンは越苗がいないんだよね。

小越 参加したかったですけど、原作にいなかったので(笑)。

伊島 あの中に越苗がいたら、エッチな罰ゲームにどういう対応をするのかとか気になりますけどね。王様ゲームのシーンではしゃいでるところでは、豊島監督に「『I”s』じゃなくて、『ジョジョ(の奇妙な冒険)』のキャラクターになってくれ」って言われたんで、ジョジョ立ちをしているところがあります。

ナミの家で行われた王様ゲームは参加者の理性を麻痺させていき、次第に過激な命令が飛ぶようになる。©桂正和/集英社・スカパー!2018

冨田 王様ゲームのシーンは2日間の撮影だったんですけど、寺谷と木田が抱き合うシーンを2日目の早朝から撮ったんですよね。前の日も遅くまで撮影していたから朝イチでテンションをマックスまで上げて撮影するのが大変だった。

伊島 木田に関して言うと、映像には映っていないところの盛り上がり方が狂気的なくらいで。一貴役の(岡山)天音さんは冨田さんのことを「日本に(『バットマン』シリーズの1つである)『ダークナイト』のジョーカーをやれるような役者がいたんだ」って驚いてましたよ(笑)。

次のページ »
第7話「第4のI」


2019年3月29日更新