「ソードアート・オンライン アリシゼーション」×「とある魔術の禁書目録Ⅲ」|「SAO」と「とある」が交差する炎の5番勝負!

5番勝負その1・主人公編
キリトは上条さんにワンパンで負ける(川原)

──ここからは「とある魔術の禁書目録」と「ソードアート・オンライン」の5番勝負ということで、いろいろな切り口でそれぞれを振り返り、最終的に三木さんに勝敗を判定いただこうと思います。

三木 絶対に僕がどちらかのファンに叩かれるじゃないですか!

──まずは主人公ということで、「とある魔術の禁書目録」の上条当麻と「ソードアート・オンライン」のキリトの魅力についてどう考えられますか?

三木 うーん、そうですね……。あえて選ぶなら上条くんのほうが友達になりたい……かな? キリトさんはどこかで少し達観してるんですよ。一緒にゲームは遊べるけど、「この人、心ここにあらずだ」って少し感じてしまう。

  • 上条当麻
  • キリト

鎌池 キリトは油断するとさん付けになりますよね(笑)。

川原 少し壁がありますよね。

三木 そう、キリトさんは人付き合いとか、ゲームテクノロジーへの考え方も1つ上のレイヤーで考えている感じがするんです。その点、上条くんは作中でもスーパーの特売で悩んだりしていて“僕ら”目線なところがある。両者ともに主人公として必要な要素は完備しているので、同じクラスにいると楽しそうなんだけど、どちらかというと上条くんのほうが僕は友達になりたい。

川原 そんなキリトさんも、「魔法科高校の劣等生」のお兄様には「キリト少年」と呼ばれていましたからね。僕もお兄様とは対等な友達にはなれそうにない(笑)。

一同 (笑)。

──上条の親しみやすさは意識して書かれていますか?

鎌池 そうですね。右手の幻想殺し(イマジンブレイカー)という特殊能力がある分、ほかは平均値よりわざと下になる要素をいくつか持たせました。輪をかけて不幸だとか。

──なるほど。一方でキリトは特にこの数年、ネット上でいい扱いをされていますがどう感じられていますか? 中二病の典型というか。

川原 たぶんギャップを楽しんでもらっているんでしょう。キリトってゲーム世界ではヒーローですが、ログアウトすると虚弱な普通のゲーマーですから。ゲーム世界での強さの脆さ、みたいなところに結びつく話かと思います。現実世界で戦えば、キリトは上条さんにもワンパンで負けるでしょうし。

  • 「ソードアート・オンライン アリシゼーション」第1話より。現実世界で殺人ギルドであるラフィン・コフィンの残党に襲われたキリトは毒に犯されてしまう。
  • 「ソードアート・オンライン アリシゼーション」第1話より。現実世界で殺人ギルドであるラフィン・コフィンの残党に襲われたキリトは毒に犯されてしまう。

鎌池 でもキリトは結構ひどい目にあってきてるのに、それが印象に残らないのがすごいですよ。《アインクラッド》編とか結構泥をすすっていましたよね。

三木 わかります。「俺TUEEEE」の典型とか言われるけど、実はキリトは全然強くないんですよ。風評被害ってやつかも。

──弱さ勝負になっていますが……(笑)。

5番勝負その2・ヒロイン編
もう語尾で誤魔化すしかない(鎌池)

──続いてヒロインについて伺います。両作品とも多彩なヒロインが登場しますが、どのように作られているのでしょうか?

過酷な運命を背負う薄幸の美少女・インデックス。シスター服と幼い言動で、数多くのヒロインが登場する作中でも存在感を放つ。

三木 僕の個人的な意見ですけど、鎌池さんと川原さんのヒロインの作り方はたぶん真逆です。鎌池さんは記号がすごく入っていて、めちゃくちゃわかりやすい。シルエットや3行の説明文でどんな人物かがわかるというか、一発のインパクトがある。そのうえで女性キャラクターとして魅力があって、主人公がきちんと守ってあげるヒロインとしての立ち位置にいるんです。「ソードアート・オンライン」もそういった、ヒロインの立場にはいるんだけど、逆に記号性は薄く、そのあたりの日常にいそうな部分で構成されているキャラクターが多い。

──確かに、メインヒロインのアスナなんて何かが飛び抜けた女性というよりは全体的にバランスのいいキャラクターですよね。

さまざまなヒロインが登場する「ソードアート・オンライン」シリーズで、メインヒロインの座を守り続けるアスナ。

三木 アスナは才色兼備ではあるけど、今どきそれだけでエンタメ世界では目立つものでもないじゃないですか。にもかかわらず魅力がある。……そんな感じで鎌池さんと川原さんはヒロインを作る方法は真逆だけど、どちらも人気があるから、キャラクター作りのアプローチっていくらでもあるんだなと思いました。

川原 でも僕は「ソードアート・オンライン」に関しては(イラストレーターの)abecさんの力が大きいと思いますよ。Web連載版だとアスナは単にロングヘアだったのに、今やアスナと言えば編み上げハーフアップが本体みたいなところがありますし(笑)。あと直葉ちゃんも胸が大きいという記号がありますけど、あれは三木さんの仕業ですよね。

鎌池 「ソードアート・オンライン」の場合はネットとリアルで同一人物でもキャラクターを使い分けなきゃいけないから、それだけそれぞれの記号性を足し合わせるとふわっと見えてしまうのかもしれませんね。「アクセル・ワールド」のほうが記号という意味ではしっかりしてるような印象があります。

三木 それは確かに思う。

川原 「アクセル・ワールド」は後から書いたので、キャラクター性を意識しているのもありますね。あと小説でキャラクターが増えてくると、文字だけで見分けてもらうのが大変じゃないですか。特に会話シーンとか。

鎌池 もう語尾で誤魔化すしかなくなってくる。

御坂美琴をオリジナルとして製造された、クローンの1人であるラストオーダー(打ち止め)。「ミサカはミサカは~してみたり」と特徴的な口調で話す。

川原 5人くらいで会話しているシーンで、全部のセリフに地の文で「と◯◯が言った」とか書きたくないじゃないですか。

鎌池 しかも、そこに先生が1人いると全員敬語になっちゃう。どうすんだよこれってなる(笑)。

川原 結局、口調で分けていく必要があり、それがキャラクターを作っていくんですよね。作劇の要求によってキャラが分化していく。僕も最初はあまり口調によるキャラ付けはしなかったんです。でも「アクセル・ワールド」も味方が10人を超えた辺りから特徴的なしゃべり方をするキャラクターが増えてきました(笑)。

三木 男女問わず、生み出すのに苦労したキャラクターはいますか?

鎌池 最初の頃、それこそデビューした第1巻から第10巻くらいまでは「今回はこのゲストヒロイン」と決めてそれを中心に話を作っていて、キャラクターありきだったので苦労はしませんでした。でも「新約」に入ってからはキャラクターの属性がふわっとしているからやりづらいところはあるかもしれません。

「とある魔術の禁書目録」小説第3巻

三木 「新約」の魔神系の人たちとか?

鎌池 そうです。あと烏丸府蘭とかが結構難しいところだったかも。

川原 話が進むほど盛り込まなきゃいけない要素や解決しなきゃいけない要素が増えてくるのに、そこに新キャラクターなんて出てこようものなら四苦八苦しますよね(笑)。僕はプロットを書かないし、キャラクター設定も作りません。本文に新キャラクターが出てきた段階で結構勝手にしゃべって動いてくれますし、名前とかの設定はそこで初めて考えます。だからキャラクター作りに特別苦労するかというとそうでもなく、そもそもそういう工程がないですね。

「ソードアート・オンライン アリシゼーション」
放送情報

TOKYO MX:毎週土曜24:00~

とちぎテレビ:毎週土曜24:00~

群馬テレビ:毎週土曜24:00~

BS11:毎週土曜24:00~

MBS:毎週土曜27:08~

テレビ愛知:毎週月曜26:05~

AT-X:毎週月曜22:30~ ※リピート放送あり

※放送日時は変更となる場合あり。

ストーリー

原作小説9巻から18巻にわたる、「SAO」シリーズ最長の《アリシゼーション》編を全4クールで描くTVアニメ第3期。
気がつくと、見覚えがないファンタジーテイストの仮想世界にログインしていたキリト。ログイン直前の記憶があやふやなまま手がかりを求めて辺りをさまよう中で、彼はNPC(ノンプレイヤーキャラクター)のユージオと出会う。仮想世界の存在であるにも関わらず人間と同じ感情の豊かさを持つ、その不思議な少年と一緒にゲームからのログアウト方法を模索するキリト。そんな中で彼の脳裏には、本来あるはずのない幼少期のキリトとユージオ、そして金色の髪を持つ少女・アリスの記憶が蘇る……。

スタッフ

原作:川原礫(電撃文庫刊)

原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec

監督:小野学

キャラクターデザイン:足立慎吾、鈴木豪、西口智也

助監督:佐久間貴史

総作画監督:鈴木豪、西口智也

プロップデザイン:早川麻美、伊藤公規

モンスターデザイン:河野敏弥

アクション作画監督:菅野芳弘、竹内哲也

美術監督:小川友佳子、渡辺佳人

美術設定:森岡賢一、谷内優穂

色彩設計:中野尚美

撮影監督:脇顯太朗、林賢太

モーショングラフィックス:大城丈宗

CG監督:雲藤隆太

編集:近藤勇二

音響監督:岩浪美和

効果:小山恭正

音響制作:ソニルード

音楽:梶浦由記

プロデュース:EGG FIRM、ストレートエッジ

制作:A-1 Pictures

キャスト

キリト(桐ヶ谷和人):松岡禎丞

アスナ(結城明日奈):戸松遥

アリス:茅野愛衣

ユージオ:島﨑信長

「とある魔術の禁書目録Ⅲ」
放送情報

AT-X:毎週金曜22:00~ ※リピート放送あり

TOKYO MX:毎週金曜24:30~

BS11:毎週金曜24:30~

MBS:毎週土曜27:38~

※放送日時は変更となる場合あり。

ストーリー

TVアニメ2期より、8年ぶりの放送となる第3期。原作小説がひとつの区切りを迎える、“神の右席”との激しい戦いが描かれていく。
上条当麻は超能力開発が行われている巨大な学園都市に住む高校生。自分の右手に宿る、異能の力ならなんでも打ち消す「幻想殺し(イマジンブレイカー)」のせいで、不幸まっしぐらの人生を送っていた。そんな上条は、インデックスという少女に出会ったことから、学園都市を統べる「科学」サイド、インデックスに連なる「魔術」サイド双方の事件に巻き込まれていく。そして、ついには魔術サイドの十字教最大宗派のローマ正教が、上条の存在に目を向けることに……。

スタッフ

原作:鎌池和馬(電撃文庫刊)

キャラクター原案:はいむらきよたか

監督:錦織博

シリーズ構成:吉野弘幸

キャラクターデザイン:田中雄一

美術監督:黒田友範

色彩設計:中村真衣、安藤知美

撮影監督:福世晋吾

編集:西山茂(REAL-T)

音響監督:山口貴之

音楽:井内舞子

制作:J.C.STAFF

キャスト

上条当麻:阿部敦

インデックス:井口裕香

御坂美琴:佐藤利奈

アクセラレータ:岡本信彦

浜面仕上:日野聡

川原礫(カワハラレキ)
第15回電撃小説大賞《大賞》受賞。2009年2月、受賞作「アクセル・ワールド」にて電撃文庫デビュー。別名義にてオンライン小説も自身のホームページにて発表しており、その作品「ソードアート・オンライン」を2009年4月より電撃文庫から刊行開始。2012年には、両作品がアスキー・メディアワークス創立20周年記念作品としてTVアニメ化された。2018年10月からは、「SAO」アニメ第3期が放送されている。
鎌池和馬(カマチカズマ)
2004年4月に「とある魔術の禁書目録」を上梓してデビュー。同シリーズはコミカライズ、アニメ化、ゲーム化、劇場映画化と数々のメディアミックスを果たし、名実ともに電撃文庫を代表する作家となる。「とある」シリーズ以外にも多くのシリーズを持ち、驚異的な刊行ペースで作品を生み出し続けている。2018年10月からは「とある魔術の禁書目録」アニメ第3期が放送されている。
三木一馬(ミキカズマ)
2016年4月にKADOKAWA アスキー・メディアワークス電撃文庫編集長を退職し、株式会社ストレートエッジを設立。鎌池和馬、川原礫の担当編集とアニメプロデューサーを務める。他担当作として、「灼眼のシャナ」「魔法科高校の劣等生」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」など。著作として「面白ければなんでもあり 発行累計6000万部──とある編集の仕事目録」がある。