
こんなにお酒でベロベロになるシーンがあるなんて
──第1・2幕のエピソードの中で、岩井さんが特に面白いと感じたエピソードについてお教えください。
第1幕での、みほと(逸見)エリカのエピソードが特に印象的でした。2人の距離感が少し縮まって、最後には手をつないでいるんですよ! 表面上はエリカがまだみほにツンツンしているけれど、実は熱い友情で結ばれている……なんて関係性が垣間見えましたね。
──みほが黒森峰学園から転校していったことで、エリカは彼女に半ば裏切り者のような感情をぶつけていたのに……。
だからかTVシリーズでも拗ねたような表情を見せていましたけど、今回はあそこまでデレるとは! しかも、エリカが(西住)まほにぞっこんな様子も描かれるので、そのギャップもたまらなかったです。あと、大人組のクローズアップ具合もうれしかったですね。
──陸上自衛隊の蝶野亜美とか。
(西住)しほ、(島田)千代の家元コンビとか。「らぶらぶ作戦」はてっきり女子高校生たち中心の物語なのかなと思っていたんですけど、そうではなく、戦車道の運営側にいる大人たちもしっかりクローズアップされるんですよね。しかも複数エピソードで登場する。しほと千代がちゃんと仕事をするシーンもあれば、一緒におでんの屋台に飲みに行くエピソードもあって……。まさか「ガルパン」でこんなにお酒でベロベロになるシーンがあるだなんて(笑)。ボコも登場して、「ガルパン」キャラクターオールスターの様相を呈しているところもよかったです。
──「らぶらぶ作戦」では、これまでTVシリーズやOVA、「劇場版」、「最終章」で描かれてこなかったキャラクターたちの一側面の掘り下げも見どころです。
例えば大洗女子学園のアヒルさんチーム(バレー部チーム)が、バレーをしなさすぎて禁断症状が出るとか、これまでのシリーズでは描けなかったと思うんですよ。だからこそ、より魅力が発見できたキャラクターも多くって。聖グロリアーナ女学院のローズヒップも、今回「らぶらぶ作戦」を観て、こんなにコミカルなキャラクターだったっけ?と思いましたもの。
──これまでのシリーズでも、ローズヒップはダージリンを慕っていて、少し抜けている女の子という印象はありましたが、まさかここまでとは(笑)。
こんなに場をかき乱すようなキャラクターだったんだ!と驚きました。そもそも今回のお話では、聖グロリアーナ女学院自体がずっとティーカップを手放さないギャグキャラクターみたいな扱いになっていましたけど。あ、ギャグキャラクターという意味だと、知波単学園の福田(はる)もよかったですね。太ってしまって戦車に入れなくなったとか、あれだけ慕っているはずの西(絹代)隊長を幽閉するんだ!?とか。「劇場版」と「最終章」を観ていると、コツコツがんばるけれど大胆な行動には出ないイメージを抱いていたのですが、まさかこんな勢いよく進むタイプだったなんて。やっぱり福田も知波単だったんですよね。それ以外にも、アンツィオ高校のアンチョビのツインテールが両サイドから引っ張られるシーンがあったことも、ギャグアニメ時空ならではだと感じました。
好きなキャラがどんどん打席に立ってくれる、本当の意味でのボーナストラック
──これから「らぶらぶ作戦」は第3・4幕が上映されますが、岩井さんが楽しみにしていることはなんですか?
あえてマンガを読まずに、アニメとしての初見の驚きを大切にしているので、どんなストーリーが描かれるのか一切知らないんですよ。そのうえで観てみたいものとしては、福田と西隊長以外の知波単学園生徒の姿かな。
──知波単学園には、玉田環をはじめとして、たくさんのキャラクターがいますね。
めちゃくちゃサブキャラクターがいるんだけど、吶喊しているイメージしかないじゃないですか。そんな彼女たちにはどんなパーソナリティが秘められているのか、少し興味があります。あと、最終章から登場したサメさんチーム。本編でまだまだ掘り下げられていないからこそ、「らぶらぶ作戦」での描写も楽しみです。また、カバさんチーム(歴女チーム)って本編でも扱いが半ばパターン化されているじゃないですか。これまでの「らぶらぶ作戦」でもカエサルとカルパッチョのシーンがありましたけど、ほかのキャラクターたちのプライベートも深掘りしてほしいですね。
──第3・4幕で答え合わせをするのが楽しみですね(笑)。さて、ここまで「ガルパン」のお話を伺いましたが、シリーズ開始から今年で14年、ここまで人気が続いている理由を岩井さんはどのように分析されますか?
女の子が戦う作品はいろいろありますけど、戦車で、という切り口が素晴らしかったからだと思っています。戦車はこの世に存在しますし、戦いの方法もある程度決まっている。だからこそ僕ら視聴者もリアリティを持って観られますし、興味を抱けたと思うんですよね。しかも高校ごとにいろんな国の戦い方がモチーフになっているので、興味を広げる土壌もあって……。そこにかわいらしいキャラクターが出てくるんですから、それは面白くなるよね、と。
──確かに。ただの「萌え」に留まらない硬派な土壌があるから、作品としての深みが保たれていますよね。
それこそTVシリーズが初放送されていた当時は、数あるオリジナルアニメの中の1本としか思っていなかった人も多いと思うんです。かく言う僕もその1人でしたから。でも、これだけ多くのキャラクターが出てくると、絶対に好きなタイプの子が登場していますよね。そこが最もうれしいポイントで。「劇場版」、「最終章」でも必ずそのキャラクターたちがフィーチャーされるから、満足度も自ずと高くなるんですよ。
──そんな作品のボーナストラックとして、「らぶらぶ作戦」が存在しているわけで。
今回の「らぶらぶ作戦」は、好きなキャラクターたちがどんどん打席に立ってくれる、本当の意味でのボーナストラックです。本編が2クールアニメだったら、戦いの間に挿入されていたであろうギャグエピソードが詰まりまくったこの作品を、ぜひ「ガルパン」ファンには観てほしいなと思います。
プロフィール
岩井勇気(イワイユウキ)
1986年7月31日生まれ、埼玉県出身。幼なじみの澤部佑とお笑いコンビ・ハライチを結成し、ボケ、ネタ作りを担当している。ハライチでTBSラジオ「ハライチのターン」、フジテレビの帯番組「ぽかぽか」にMCとして出演中。アニメ好きとしても知られ、ニコニコ生放送の「ハライチ岩井勇気のアニ番」、ABEMAの「SHIBUYA ANIME BASE」などアニメ関連の仕事も多数こなす。ゲーム「君は雪間に希う」の原作・プロデュース、マンガ「ムムリン」の原作を担当するなどお笑い以外でもマルチに活躍。2024年7月には、小説新潮での連載をまとめた3冊目のエッセイ集「この平坦な道を僕はまっすぐ歩けない」が刊行された。







