21世紀最初のガンダムシリーズとして、2002年から放送されたTVアニメ「機動戦士ガンダムSEED」。2004年から放送された続編TVアニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」も含めた「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」は、累計パッケージ販売数400万本を超え、主題歌も軒並み音楽チャートを賑わすなど、多くのファンを獲得した。
2006年に制作が伝えられた劇場版は、その後は長らく続報が途絶えていたが、2021年に「GUNDAM SEED PROJECT ignited」の一環として、改めて制作が発表に。そしてテレビ放送から約20年の時を経て、2024年1月26日に最新作である「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が公開された。TVアニメシリーズと同じく福田己津央が監督を務め、当時のキャストを多数起用。西川貴教が小室哲哉を迎えて主題歌を担当し、エンディングにはSee-Sawが名を連ねるなど、TVアニメシリーズを知るファンにはうれしい面々が再集結した。
コミックナタリーでは、そんな新作を待ちに待った「ガンダム」好き女子の佐々木琴子、空野青空、東雲うみによる座談会をセッティングした。声優、アイドル、グラドルと異なるジャンルで活躍する3人が「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」の話題で意気投合。「少女マンガ好きがハマる」「マリューは真のヒロイン」「強い女性に憧れる」と、“SEED”愛が止まらない3人の溢れ出る思いをお届けする。
取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 武田真和
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」本予告
「SEEDシリーズ」との出会い
佐々木琴子 私、ガンダムシリーズで最初に触れた作品が「SEED」だったんです。
空野青空(ARCANA PROJECT) へえー!
東雲うみ そうだったんですねー。
佐々木 幼少期に兄と父が観ていたのを隣で観ていて……内容は全然理解していなかったんですけど(笑)、キャラクターがかわいいなと思って観ていた記憶があります。それが最初ですね。
空野 そう言われてみると、もしかしたら私も最初は「SEED」だったのかも。私はけっこう長い間“単独戦闘型アイドル”と銘打ってソロ活動をしていたんですけど、その頃に戦士(ファン)の方からプレゼントとしてガンプラをいただくことがあったんですね。
佐々木 わあ、いいですね。素敵なプレゼント。
空野 それがガンダムに触れる最初のきっかけだったんですけど、考えてみたら最初にいただいたガンプラがストライクガンダムだったんですよ。だから私の最初のガンダムも「SEED」だったと言えるのかもなって。
東雲 なるほどー。私は、大学生のときに秋葉原でたまたま見かけたZガンダム(「機動戦士Ζガンダム」に登場)のプラモデルに一目惚れしたのが最初でした。それが6、7年前のことで、それまではひとつもガンダムをわかってなかったんですけど。
空野 へええー、Zがきっかけなんですね。
東雲 可変ロボットが好きなもので(笑)。それでまずガンプラにハマって、そこから「この子にはどういう背景があるんだろう?」というのが気になってファースト(シリーズ第1作の「機動戦士ガンダム」)から順を追って観始めました。それで一気に全部観たのが大学生の頃ですね。
佐々木・空野 すごい……!
東雲 「この際、全部観てやろう」と思って(笑)。「SEED」もまずフリーダムガンダムがめっちゃカッコいいなと思って、アニメ本編を観る前から注目していました。なのでZもフリーダムも、お話の中で出てきたときは興奮しましたね。「ここで出てくるんだ! かっけーなおい!」みたいな。
佐々木 キャラクターやストーリーからじゃなくて、モビルスーツからだったんですね。
東雲 そうなんですよ。私は割とモビルスーツのビジュアルが刺さるタイプで。
空野 私も「ザクが好き」というところから入っているので、そういう意味では近いかもしれない。単独戦闘型時代にマネジメントをしてくださっていた“大佐”という人物がいるんですけど……。
東雲・佐々木 大佐(笑)。
空野 その大佐に薦められてゲーセンでプレイした「機動戦士ガンダム 戦場の絆」というゲームで、私が乗り込んだのがザクII改(「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」に登場)っていう機体だったんです。そのときに「ザクII改、むっちゃかわいい……!」ってビジュアルに惚れて。
佐々木 「カッコいい」じゃなくて「かわいい」なんですね。
空野 そうなの!
東雲 かわいいのかあ……まあ確かに、丸っこいし。
空野 丸っこいのと、あの防毒ホースみたいなのが付いてる泥臭い感じと、あとやっぱりモノアイがかわいい! そこから「作品のことは全然知らないけどザクが好き」という期間がめっちゃありました。
東雲 それは確かに、割と似てますね。モビルスーツから入るのって女性では珍しいのかなと思ってましたけど……え、こっちゃん(佐々木)は?
佐々木 私の場合は完全にキャラクターが入り口でしたね。中学生くらいのときにアニメを観ることが好きになったんですけど、「そういえば子供の頃に観てたアニメに魅力的なキャラクターがいたなあ」とふと思い出して、改めて「SEED」を観返してみたらハマった、という流れです。
空野 特にどのキャラクターに惹かれたとか、あります?
佐々木 ちょっと変な入り方かもしれないんですけど、ハロがかわいくて……。
東雲・空野 ハロはかわいい!
佐々木 なので最初は「ハロ、かわいいー」と思いながら観てたんですけど、ある程度物事を理解できる年齢になってから観ると、「SEED」にはけっこう強い女性が出てくるんですよね。ラクスとかカガリとかマリューとか……「私もこんなふうに強い女になりたい!」という憧れの気持ちが湧いてきて、どんどんハマっていった感じでした。
空野 とてつもなく清い見方ですね……!
少女マンガを好きな人がハマれるガンダム
空野 そのハロも、「SEED」ではいろんな色の子が出てくるじゃないですか。それも含めて「SEED」って、ガンダムシリーズの中でもけっこうポップな部類に入る作品かなあと思ってて。
佐々木 確かに……!
東雲 わかります。まずキャラデザがポップですよね。私はやっぱり「SEED」の魅力は美しいキャラクターがたくさん出てくるところだと思ってて、それはやっぱりコーディネイターだからなのかな?みたいな(笑)。遺伝子操作で美しくカスタマイズされているから……。
空野 実際そういう描写もありましたもんね。生まれてくる子の顔を調整するシーンが(笑)。
東雲 あった!(笑) だから「SEED」って女子ウケ抜群なんですよ。女子、男子という言い方もアレですけど。
佐々木 でも確かに出てくるキャラクターがみんなかわいいし、みんなカッコいいですよね。
東雲 私はもともと少女マンガがすごく好きで、周りに少女マンガオタクがいっぱいいたんですけど、その子たちが「SEED」をきっかけに初めてガンダムにハマってたんです。だから「SEED」は、少女マンガを好きな人がハマれるガンダムなのかなって。
空野 わかるー!
東雲 恋愛要素もかなり手厚く描かれるじゃないですか。「そこまで描くんだ?」「こんなシーン、いいの?」みたいな。
空野 フレイのラブシーンとか、すごいよね。
東雲 フレイさんはね(笑)。あの人はちょっと悪女ですから……ラクスもかなりの悪女ですけど、かわいいだけじゃなくリアルな人間性が描かれるのも「SEED」特有の面白いところかなと思いますね。
佐々木 ラクスはそれこそ“男性を振り回す”じゃないですけど、ザフトの持ち物だったフリーダムを勝手にキラにあげちゃったりとか……。
東雲・空野 あはははは!(笑)
佐々木 自分や相手の立場に囚われず、客観的に今どういうことをするのが適切なのかを正しく理解して正しく動ける人ですよね。そういう考え方ができる女性はすごいなって思うから、私はそういうキャラクターの内面的な魅力に惹かれたというのが一番だった気がします。
空野 清い見方だなあ……素晴らしい。
東雲 ちなみに私、そのラクスの影武者をやっていたミーアがビジュアル的には一番好きなんですよ。
空野 ええええー! まさかのミーア推し!?
東雲 けっこうセクシーじゃないですか。そこに憧れるんですよね。あと、ミーアの元の姿がちょっと自分と似てて……地味で黒髪でソバカスがあって。だからなんか親近感が湧いちゃって、「私もミーアのように、がんばればラクスになれるのでは?」みたいに思ったりとか。
佐々木 こうなりたい!って憧れますよね。
空野 私はビジュアルだとルナマリアかなあ。
東雲 それは、あおにゃん(空野)がザク好きだからでしょ(笑)。「ザクウォーリアに乗ってる子だから」っていうバフがかかってない?
空野 それもあるんだけど、やっぱりニーハイですよ! だって戦いに行くのにニーハイですよ? 軍服にニーハイって、すごくないですか?
東雲 あー、確かに(笑)。女の子だったらわかると思うけど、絶対に途中でくるくるくるーって下がってきちゃいますもんね。戦闘では邪魔でしかないはず。
佐々木 (笑)。私は、ビジュアルで選ぶならフレイが一番……。
東雲・空野 えええー! 意外!
佐々木 すごく“男ウケ狙い”って感じの見た目や性格ではあるんですけど、その“女性!”って感じが魅力的だなあと思っていて。
空野 確かに、パッと見はめっちゃかわいいよね。中身はドロドロだけど(笑)。
佐々木 そうなんですよ。性格的には「ちょっと怖い……!」ってなるんですけど。
東雲 私はあの性格の時点で最初から候補にも入れてなかったけど、確かに冷静に考えたらフレイのビジュアルは最強レベルかも。
佐々木 見た目だけならフレイが一番好きです。……あ、「だけ」って言っちゃった(笑)。
東雲 あはははは(笑)。
空野 大丈夫! 誰しもが思うことだから失言ではない。
佐々木 うふふふ。
マリューが真のヒロインだと思っている
東雲 キャラクター同士の関係性で言うと、私はもうアスランとカガリのカップルが激推しで。
佐々木 いいですよね……!
空野 激推しなんだ? “激”なんだ?
東雲 激ですね。アスランはちょっと弱いというか優柔不断なところがあるんだけど、カガリは「お前こっちだろ!」みたいに引っ張っていくタイプで、しかも強引なだけじゃなくて一緒に悩んでくれるんですよ。一緒に泣いてくれる。
空野 いい女だ(笑)。
東雲 アスランもカガリもちゃんとお互いを必要としているんですよね。一緒にいるだけで幸せみたいな、ああいう関係性はいいなあと思います。尊すぎる。アスランはもともとラクスと婚約関係にありましたけど、ラクスとは絶対に合わないだろうなと。
佐々木・空野 (笑)。
東雲 思いません? なんか、ラクスに「あなたが信じて戦うものはなんですか? 勲章ですか? お父さまの命令ですか?」みたいに問い詰められてアスランがうろたえちゃうシーンあったじゃないですか。
空野 アスランはそうやって人に強く来られると「ウッ」てなっちゃうんだよね。私も優柔不断だからめっちゃわかる(笑)。
東雲 ははは(笑)。アスランはラクスに詰め寄られるとそうなっちゃうんだけど、カガリはそこを一緒に悩んでくれるんですよ。
空野 確かにー! 導いてくれたりする部分もあるもんね。
東雲 そうそう。こっちゃんは推しカップルいます?
佐々木 私は、ラクスとキラが……。
空野 わー、王道だ! さすが清い心の持ち主!
佐々木 王道ではあるんですけど、2人とも本当に人として優れていて、達観している感じが好きなんです。自分たちの欲とかじゃなくて、世の中のために何をするべきかを第一に考えられるカップルってすごいなと思って。しかも的確に物事を判断して動くことができるし……。
空野 視野が広いんだよね、2人とも。
佐々木 そう、広いんです! 神様みたいというか、「2人で世界をもっとよくしていこう」みたいな感じがいいなって思いました。初期はそうでもないんですけど、特にキラは物語が進むにつれてどんどん成長してそういうふうになっていくんですよね。
東雲 そこにはやっぱりラクスの影響がありますよね。やっぱりラクスにはアスランじゃなくて、キラみたいな人のほうが合うんですよ。
空野 なるほどねえ(笑)。私はどうだろうなあ……マリュー・ラミアスがすごく好きなんで、やっぱりマリューさんとムウさんかな。
東雲・佐々木 ああー……!
東雲 大人の恋愛だよね。
空野 そう。だからもし「SEED」を観たのがちっちゃいときだったら、あの関係性のよさは絶対わからなかったと思う。どんなに離れていても導かれ合ってしまう、運命に導かれたカップルだと思うんですよ。特に「DESTINY」のほうではムウさんにいろいろあるじゃないですか。記憶操作されて敵になっちゃって、みたいな。でもそれを経て、窮地でいろいろ思い出して結果的にマリューさんを助けるっていう……。
東雲 そのシーン、大好き。
佐々木 (うんうんと何度もうなずく)
空野 もう少女マンガじゃん!みたいな(笑)。その流れをまさか「ガンダム」で見られるとは!という感動もありますし。
東雲 あの2人はそんなに多くを語らないんですよね。さほど言葉を交わさずとも通じ合っている感じがロマンティックだなって。
空野 そうそう! 大人だよねー。
東雲 マリューさんは私、ビジュアルもすごく好きですね。
空野 私的には、マリューさんは真のヒロインだと思ってます。
東雲・佐々木 おおおー。
次のページ »
「ハロがかわいい」しか言ってないのに