「グレートウォール」

万里の長城で巻き起こる伝説の戦いを映画化 塩崎雄二が紅一点の女司令官をセクシーに描き出す

人類史上最大の建造物として知られる、万里の長城を舞台にしたアクション映画「グレートウォール」が、4月14日に公開される。監督のチャン・イーモウと主演のマット・デイモンがタッグを組んだ同作では、西暦1100年頃の中国を舞台に、万里の長城で巻き起こった知られざる伝説の戦いを描き出す。

コミックナタリーでは映画の公開に合わせ、同作の特集を展開。中国の「三国志」をモチーフにした「一騎当千」シリーズを手がける塩崎雄二に、映画に登場する紅一点の女司令官リン・メイをセクシーに描き下ろしてもらった。

「グレートウォール」とは

万里の長城で巻き起こる伝説の戦い
映画「グレートウォール」より。万里の長城で戦闘に備える禁軍。
総延長21196.18km、完成までに1700年以上の歳月を費やし、人類史上最大の建造物として知られる万里の長城。北方異民族の侵攻を阻止するために造られたとされるその巨大な城壁には、史実とともに数多くの伝説が伝えられている。「グレートウォール」では「HERO」「LOVERS」といったアクション映画で知られ、北京オリンピックの総合演出も手がけたチャン・イーモウを監督に迎え、西暦1100年頃、宋王朝の時代に巻き起こった、万里の長城での知られざる伝説の戦いを描き出す。
流浪の傭兵が目にしたのは──?
映画「グレートウォール」より。マット・デイモン演じる傭兵のウィリアム。
主人公の傭兵ウィリアムを演じるのは、「オデッセイ」「ジェイソン・ボーン」とヒット作が続くマット・デイモン。金や名声のため、強力な武器を求め世界中を旅するウィリアムは、多くの仲間を失い、ペドロ・パスカル演じるトバールとともに満身創痍の中、万里の長城へとたどり着く。そこで彼らが目にしたのは、長城防衛の命を受け気高い自己犠牲の精神のもと、人類へと進撃する怪物・饕餮(とうてつ)との戦いに身を投じる禁軍の姿だった。
人類に進撃する怪物・饕餮
映画「グレートウォール」より。万里の長城を襲撃する饕餮。
饕餮は中国文化に深く根付く、神話上の怪物。龍が生んだ9匹の子の1体で、非常に強欲かつ貪欲とされている。「グレートウォール」では人間を捕食するため、60年ごとに山から姿を現す存在として登場。未だ劇中での詳細な姿は明らかになっていないが、「絶え間なく食べ続け、食物がなくなれば自分の体さえ食べてしまう」と言われる怪物は、ウィリアムたちにどのように襲いかかるのか──。

キャラクター紹介

マット・デイモン演じるウィリアム・ガリン。
ウィリアム・ガリン(マット・デイモン)
世界中を旅して回る傭兵で弓の名手。命からがらたどり着いた万里の長城で、危険を顧みず饕餮に立ち向かう禁軍の姿を目の当たりにし、世界を守るために戦うことを決意する。
ジン・ティエン演じるリン・メイ司令官。
リン・メイ司令官(ジン・ティエン)
男だらけの禁軍の中、女性だけで構成された軍隊を率いる、若く美しい唯一の女司令官。ウィリアムの傭兵としての腕を信頼し、次第に彼に心を開いていく。
ペドロ・パスカル演じるペロ・トバール。
ペロ・トバール(ペドロ・パスカル)
ウィリアムとともに万里の長城へとたどり着いた傭兵。饕餮との戦いには否定的で、万里の長城からの脱出を試みる。
ウィレム・デフォー演じるバラード。
バラード(ウィレム・デフォー)
武将たちに英語やラテン語を教える謎の西洋人。ウィリアムとトバールが黒色火薬を欲していたことを知り、火薬やその調合方法を持ち出し、国外へと脱出することを彼らに提案する。
アンディ・ラウ演じるワン軍師。
ワン軍師(アンディ・ラウ)
禁軍の戦略を司る軍師。万里の長城を訪れたウィリアムたちに対し、「即刻処刑すべき」との声が武将たちから挙がる中、彼らの利用価値を示し処刑を思いとどまらせた。

「一騎当千」の塩崎雄二が紅一点の女司令官リンをセクシーに描き出す!

イラスト
今回執筆いただいたリン司令官のイラストのポイントはどの部分でしょう。
リンはすごい美人なのに、毅然とした強さを併せ持つキャラクターなので、その両方を表現したつもりですが難しかったですね。ポイントは、映画の中では実現しなかった、甲冑や服が破損している「一騎当千」風のダメージバージョンでしょうか。イラストのようにボロボロな姿になりながら、ジャンヌダルクばりに「フォローミー」ってやってほしかったです。あくまでの作者の趣味なので、リンさんファンの方、ごめんなさい。
映画をご覧になっての感想を教えてください。
怒涛の展開。中だるみがなく、ストーリーの軸がブレない。こういうの大好きです。よくありがちな恋愛や政治的シーンをほとんど排除し、ただ戦いのみに絞って観せる。チャン・イーモウ監督、吹っ切れてます。見どころはタイトルでもある万里の長城と怪物。あまりにデカすぎる万里の長城。こんな巨大だったっけ? そしてそこに押し寄せる怪物饕餮の大群。この、怖いんだかかわいいんだかわからないトカゲくんたちが最高です。「エイリアン」の獰猛、冷徹さと、「ヴェロキラプトル」の人間ばりの知能を併せ持つハイスペック。これが数万ですごい勢いで向かって来るのを目の当たりにしたときの絶望感。これは「スターシップ・トゥルーパーズ」で、マイケル・アイアンサイド演じるラズチャック隊長が、バグズの大群を見たときの心情とダブるものがあり、超胸アツ展開でした!
劇中で気に入ったのはどのキャラクターでしょう。
お気に入りキャラはやはり、主役のリン司令官です。あ、主役はマット・デイモンでしたっけ。忘れてました。でも私の中では彼女が主役です。そのくらい目立ってます。実は私、理想の女性像が「ベルばら」のオスカルでして、私の「一騎当千」に出てくる関羽もオスカルからインスパイアされていたりします。とにかくリン司令官が私のツボにドンピシャなのでした。
「グレートウォール」には塩崎先生の「一騎当千」と同様に、強い女性が数多く登場しますが、自作と共通するものがあるなと感じた部分や、印象に残ったシーンはありますか。
「一騎当千」の女性キャラを作る時に心がけているポイントというのがありまして。「運命に立ち向かっている」「でも弱音を吐かない」「何事にも一生懸命」「他人のためなら命をも捨てる」「男以上に男らしい」これがこの映画の女性たちと、まさに同じでした。饕餮撃退のために、女性のみで組織された鶴軍が、堀の上からヒモ一本で飛び降りる場面は、凛々しくもあり、悲しくもあり涙があふれそうになりました。このシーンを観るだけでも、この映画、元取れますよ!!
塩崎雄二(シオザキユウジ)
塩崎雄二
1967年生まれ。1990年代後半にビジネスジャンプをはじめとした集英社の雑誌で作品を執筆。2000年よりアニメ化、ゲーム化などさまざまなメディアミックス展開も行われる代表作「一騎当千」を、月刊コミックガム(ワニブックス)にて連載。同作は2015年よりヤングキングアワーズ(少年画報社)へと発表の場を移し、「真・一騎当千」のタイトルで連載されている。

pixivではイラストコンテストも

「グレートウォール」の公開に合わせ、pixivではイラストコンテストを4月21日まで実施中。万里の長城を守る戦士を募集する「オリジナル戦士部門」、万里の長城を攻めるモンスターを募る「オリジナルモンスター部門」が用意されており、部門ごとに最優秀賞を1名、優秀賞を5名選出する。最優秀賞受賞者には賞金10万円と劇場招待券1枚、優秀賞受賞者には劇場招待券2枚をプレゼント!