原作:恵庭、作画:絵歩「5人の王」|妹の身代わりになった少年と孤独な王、Web発長編BLファンタジーの魅力に迫る

作画:絵歩メールインタビュー

──小説の原作を読んだとき、どんな感想を抱きましたか? また恵庭先生の作品は今まで読んだことがありましたか?

小説版「5人の王 外伝」1巻

友達のオススメがきっかけで、Webで掲載されていた「5人の王」を読んでいました。青の王とセージのぶつかりあうような関係が大好きでしたし、ところどころに謎が見え隠れする先の読めない展開に夢中になって、2日がかりで一気に読んでしまいました。世界観の規模や政治的な思惑が絡むストーリーが本当に面白かったです。作者さんの意欲や熱量が伝わってきてこれはすごい物語を読んじゃったぞ……という余韻に包まれました。挿絵のお話をいただいたのは読後間もないタイミングだったのでびっくりしたんですけど、ワクワクがとても大きかったのを覚えています。

──「5人の王」をコミカライズするにあたり、心がけていることを教えてください。

「物語の面白さが伝わるようにしたい」というのが一番の目標なので、ともかくネームに時間をかけています。私は今までコミカライズやマンガ連載の経験がなくて、そこが一番不安なところでもありました。お話をいただいた当初に「ネームでわかりづらいところは遠慮なくツッコミや赤字を入れて下さい、いろいろ質問させてください」とお願いしていて、ありがたいことに質問や確認を都度都度させてもらっています。毎回ご面倒をおかけしてしまってますが、恵庭先生や編集さんには本当にお力を貸していただいてます。

──小説の挿絵からマンガの作画を担当することになって意識したことはなんでしょうか? マンガ独自のアレンジなどはしていらっしゃるんでしょうか。

マンガ版「5人の王」3巻より。

連載が始まる前に、恵庭先生からセージの見た目をもっと幼くして欲しいというご要望があったのでそこは意識して変えました。マンガを描く上でのアレンジは、ちょこちょこ演出を変えさせてもらってます。例えば、原作には夢の中のシーン、過去を見るシーン、過去に飛ぶシーンがあるのですが、この状況はどれなのか明確になるように少し演出を加えるときもあります。13話でいうと、セージが倒れて夢を見るのですが、夢の中でむしった葉っぱが目覚めたときにも傍にあって、あれは夢ではなく過去に飛んでいたんだという演出を加えました。

──キャラクターのビジュアルはどうやって生まれたのでしょうか。

セージは物語の途中で髪を結うことになるのですが、髪が伸びたり結ったりしても印象が変わりすぎないようにしたいなと考えていました。妹のヒソクもいるので、髪全体が長くなってしまうと見分けがつかなくなったり少年らしさが出せないかも……と思ったので、現在のアシンメトリーな髪形で提案しました。風変わりな髪型にしちゃったんですけど、そのまま採用していただけたので嬉しかったです。青の王は今より短い髪で考えていたんですけど、担当さんから「長くしましょう」というディレクションがあって、あの形になりました。表情も皮肉っぽい笑いを浮かべた初稿から硬質な印象に調整していきました。シアンは綺麗だけど神経質そうな人、ウィロウは元気は元気だけど、賢くて自分に自信を持ってる人にしようと思って描きました。シアンはコミカライズ連載が始まってから「もっと無表情に」「厳しい表情に」と赤字チェックをいただくことが多いので、今も表情の幅を探りながら描いている感じです。赤の王は、挿絵の時はもっと青年らしいイメージで描いてたんですけど、マンガでは表情をくるくるさせるのが楽しいあまりどんどんふんわりした方向に寄せてしまっている気がします。

──ファンタジーを描く楽しさ、逆に難しさはなんでしょう。

マンガ版「5人の王」1巻より。

調べ物が多いところが楽しくて難しいポイントだと思います。たとえばセージが作る料理は物語の世界の食べ物なのですが、イメージに近いものを探してこんなんどうでしょう? という提案をさせていただいて決めています。もともと世界史や海外の文化、民俗学的なものを知るのが好きだったので調べるのは楽しいんですが、時間の制約があるのが難しいポイントです。

──作画に関することで影響を受けた作品はありますか?

少女マンガ全般です。特にひかわきょうこ先生の「荒野の天使ども」シリーズは人生で一番読み返した作品でして、カッコよくて愛嬌のある登場人物たちを見て、こんな風に描けたらなあと思っていました。人物の顔や体の描き分けも本当すごいと思います。それからCLAMP先生の描き込みの凄さ、キャラクターの服や武器、魔法陣などのデザインにいつも見惚れてました。子どもの頃読んでいたなかよしで「レイアース」が始まったときの衝撃はすさまじかったです。西炯子先生の画面構成は、黒も白も空間が映える構成になっていて、視線誘導のうまさ、マンガの読みやすさに感動しています。絵柄と遊び心のあるコマ割がすごく合っていて、コマも絵なんだよな、こんな風に描きたいなと見るたび思います。影響というより、皆さま尊敬しています!

──「5人の王」3巻の見どころを教えてください。

新たに出てきたキャラクターがたくさんいるんですけど、原作を読んだ読者さんにはお待たせしました!と言いたいです。マンガしか読んだことのない方には楽しい人たちがたくさん出てきたと思ってもらえるのではないかと。今後の展開や過去の謎に関わる人たちなので、是非注目してもらえたらうれしいです。

──最後に、作品を応援してくれている読者の方や、まだ「5人の王」に出会っていない方々に、メッセージをお願いします。

おかげさまでこうして3巻まで出せるようになりました。本当に本当に、いつも応援してくださる方には感謝の気持ちでいっぱいです。欲を言えばこれからももっと、たくさんの方に5人の王と出会っていただきたいなと思っています。原作小説もコミカライズもドラマCDもどこを入り口にしたとしても、いろんな方にこの物語の楽しさを感じてほしいですし、ちょっとでも作品に恩返しができるようこれからもがんばっていきたいです。何卒よろしくお願いいたします!

マンガ版「5人の王」3巻より。
ブックパス ダリアコミックスeキャンペーン

BLコミック誌Dariaが創刊20周年で盛り上がりをみせる中、コミカライズ版「5人の王」1巻をはじめ、ダリアコミックスeの人気作品がブックパスでは読み放題!

期間2018年3月30日(金)12:00~5月31日(木)

マンガ版「5人の王」3巻電子版は、ブックパスでは5月22日より配信予定。

絵歩・恵庭「5人の王③」
発売中 / フロンティアワークス
絵歩・恵庭「5人の王③」

コミックス 700円

Amazon.co.jp

恵庭(エニワ)
恵庭
10月30日生まれ。A型。小説家。小説投稿サイトに投稿していた「5人の王」で、2013年にフロンティアワークスより小説家デビュー。当作品では、BLとしての恋愛に加え、過去と未来の入り組んだ時間軸や、壮大な秘密を解き明かしていく過程を、スピード感あふれる文章で見事に描き上げた。また、個性的なキャラクターが多く登場することで物語に深みを出している。他、同社より2作品の文庫小説を発表。
絵歩(エポ)
絵歩
10月7日生まれ。A型。マンガ家・イラストレーター。2013年の「5人の王」(フロンティアワークス)の挿絵で本格的にデビュー。のちに、コミカライズも担当する。文章からイメージして描き起こしたファンタジー世界のイラストに定評があり、ボーイズラブ小説、一般小説でもイラストレーターとして多数起用される。現在は雑誌Dariaにて「5人の王」のコミカライズを連載中。ミステリーと鳥好き。