「現実主義勇者の王国再建記」|食糧難、自然災害、内乱…国難を経て、大国との外交へ。ソーマ王の成長と新たな試練 小林裕介(ソーマ・カズヤ役)インタビュー&水瀬いのり(リーシア・エルフリーデン役)、石川由依(ジャンヌ・ユーフォリア役)、M・A・O(ロロア・アミドニア役)コメント

第2部では掛け合いの質が変わった

──第2部のティザーPVには「内政から外交へ」というテロップがあり、物語が大きく動く気配を感じました。

第2部のアフレコを終えてみて、掛け合いの質が第1部と全然違うと感じました。これまではあくまで潰れそうな国の中の出来事が中心で、ソーマが対等に政治的な話をできたのがハクヤだけだった。それが第2部ではグラン・ケイオス帝国のトップの人たちと話すことになり、向こうにも諸々の事情があるし駆け引きもする。「ここはもう少し煽る感じで」とかお芝居の幅が広がったし、会話劇の楽しさも一段階上がっています。

──第2部の序盤を拝見しましたが、確かに最初から会話で魅せる場面が多くありました。

序盤では、ソーマがある話し相手に不満を持っているけど、それをストレートに言うのではなく、あくまで王として振る舞ったうえで不満をぶつけるという場面があったりして。第2部ではその王様バージョンのソーマのイメージを改めて固めてからお芝居を構築するようにしました。

──そのイメージを掴むのは大変でしたか?

いえ、先ほどお話した神護の森あたりから少しずつ変えていこうとは思っていたんです。だから第2部はその延長線上で、もともと「こんな感じかな」というイメージはありました。それから細かい調整は本番で帝国側の方と掛け合いして、何かあれば音響監督に指示を出してもらおうと思っていましたが、特に何も言われなかったのでイメージは間違ってなかったようです。

──王様としてのソーマは変化していますが、青年としてのソーマの変化はどうでしょう? 具体的には恋愛方面で、第1部ではあまり変わらなかったようですが……。

小林裕介

そこだけは第2部に入っても何も変わらないんですよ。ソーマはそこだけ現実主義じゃない(笑)。特にリーシアに対してはもう少し何か行動してもいいんじゃないかと思うんですけど。異世界に来て婚約者になって数カ月経っていますし。本人は内政が忙しいとは言っていますが、あまりに興味を持たなさ過ぎて……やっぱりソーマは変わってますね。

──ソーマから見て、リーシアはどのあたりが魅力的だと思いますか?

何があっても支えてくれる安心感でしょうね。ソーマとしては「急に婚約関係になったんだからよく思われなくてもいいや」という気持ちがあったでしょうけど、弱ったときに優しい言葉をかけてくれたりして次第に信頼関係ができていきました。だから第2部でも何かあるとリーシアに助言を求めるシーンがあって、やっぱり彼女のことを信頼しているんだと感じました。

──リーシアがソーマに惹かれるきっかけってソーマが王国を再建することと関連していましたよね。髪を切るシーンもそうでしたがリーシアは常に国のことを考えていて、王族として立派な子だなと思います。

お父さんやお母さんがあんな軽い感じなのに、どうしてあんないい子に育ったんでしょうね(笑)。まあ、あの両親も面白いだけじゃないんですけど、それは第2部のお楽しみということで。でもリーシアがソーマに惚れたのは、彼が国のために働いていることもありますが、意外と母性本能をくすぐっているのも効いているんじゃないですか(笑)。ソーマはよく「いずれ俺がいなくなったときにお前が引き継げるように」みたいな、リーシアを寂しがらせるようなことを言うので。

カルラはヒロインというか……

──リーシアだけでなくソーマの周囲にはアイーシャやジュナなどもいて、そして第2部からはカルラやロロアといったヒロインも本格的にソーマと絡むようになります。

うーん、ロロアはまだわかるんですけどカルラをヒロインと言っていいのか……。カルラはアイーシャに近いポジションというか場を和ませるキャラクターに変わっていきます。第1部終了時点では、一度は敵対した彼女をどんなふうに扱うかまだわかってはいないので、皆さんはあまり笑える話ではないかもしれませんけど。でも今後のぞんざいな扱いを思うと、かわいいというよりかわいそうという印象のほうが強いです(笑)。

──第2部もヒロインたちのドタバタが楽しめそうですね。

そこが息抜きになるといいですね。第2部も重い雰囲気のシーンは多い中で、女性キャラクターが和ませてくれるんじゃないでしょうか。

──ヒロインたちをはじめ「現実主義勇者の王国再建記」は登場キャラクターが多く、国同士の思惑も複雑に絡んでいて、第2部が始まる前に第1部を復習したほうがいいかなと感じましたが、いかがでしょう?

小林裕介

そうですね。まずエルフリーデン王国とグラン・ケイオス帝国の関係や、帝国が提唱した人類宣言とはどんなものかといったことは、第2部の話にしっかりと紐付いています。たぶんなんとなく観ても「そんな感じだった気がする」と思いながら楽しめるとは思いますが、しっかりと理解しているほうが絶対に面白いと思うので、確かに、できれば第1部を観返しておいてほしいです。

──最後に、小林さんが本作を通じて学んだことを教えてください。

まず僕たちが知らないだけで、政治を行う裏側ではこの作品で描かれるようないろんなことが行われているということです。そこにはきれいなこともあるし、あまり口外できないようなこともある。でもそれで世の中は動いているという。それを知るだけで世の中の見え方が少し変わってきました。ほかにも本作には考え方を柔軟にするためのヒントがいろんなところにちりばめられています。ソーマがやっているのは国の運営なので規模が大きいですが、噛み砕くと一般人にも応用できることは多いですし。第2部ではロロアがよりソーマに近付いてきますが、商人気質の彼女が提案することは「商売をうまくやりたい」とか「経営者になりたい」とかもっと一般人に近くって。だから一個人事業主として僕も共感することが多かったです。もちろん基本的にはアニメを楽しんでいただいて、ふと我に返ったときに「自分たちもこういうことができないかな?」と考えられる、自己啓発的なお話を第2部でも引き続き楽しんでほしいです。

小林裕介(コバヤシユウスケ)
3月25日生まれ、東京都出身。ゆーりんプロ所属。「Re:ゼロから始める異世界生活」ナツキ・スバル役、「Dr.STONE」石神千空役、「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」イスカ役など数々の作品で主役を務めている。そのほか主な出演作に「ミュークルドリーミー」(南川朝陽役)、「魔術師オーフェンはぐれ旅」(マジク・リン役)、「炎炎ノ消防隊」(アーサー・ボイル役)、「暁のヨナ」(スウォン役)など。