「現実主義勇者の王国再建記」|食糧難、自然災害、内乱…国難を経て、大国との外交へ。ソーマ王の成長と新たな試練 小林裕介(ソーマ・カズヤ役)インタビュー&水瀬いのり(リーシア・エルフリーデン役)、石川由依(ジャンヌ・ユーフォリア役)、M・A・O(ロロア・アミドニア役)コメント

TVアニメ「現実主義勇者の王国再建記」の第2部が、1月8日よりTOKYO MX・BS11ほかで放送され、FODにて独占配信される。第1部で内乱を治め、返す刀で隣国アミドニアの首都ヴァンを陥落させたソーマ・カズヤは、ヴァンの処遇をめぐって人類宣言の盟主グラン・ケイオス帝国と交渉をすることに。人類宣言に則りヴァン返還を求める帝国側の代表ジャンヌ・ユーフォリア、アミドニアの公太子ユリウス・アミドニアを相手に舌戦を繰り広げていく。

そんな第2部の放送を記念して、コミックナタリーでは再び「現実主義勇者の王国再建記」の特集を実施。ソーマ役の小林裕介にインタビューを行い、前回の特集では聞けなかったネタバレを含む第1部の感想や、第2部ならではの見どころ、アフレコ裏話を語ってもらった。さらにリーシア・エルフリーデン役の水瀬いのり、ジャンヌ役の石川由依、ロロア・アミドニア役のM・A・Oからは第2部に向けてのコメントが到着。各キャスト陣が込めた思いを知り、いっそう期待を高めてから第2部の放送に臨んでほしい。

取材・文 / はるのおと撮影 / 武田真和

小林裕介(ソーマ・カズヤ役)インタビュー

ソーマってちょっと変わった奴

小林裕介

──今日はロイヤルな雰囲気での撮影でしたが、いいキメ顔でしたね。

いやあ、僕はいまだに写真を撮られるのが苦手なので恐縮です。「顔が怖い」とよく言われるので、背景が赤くて、普段の顔をしていれば王様風にキメて見えるのかもしれません(笑)。

──小林さんには昨年リーシア役の水瀬いのりさんと対談していただきました(参照:小林裕介&水瀬いのりが新たな異世界へ、現代知識で活路を切り開く「現実主義勇者の王国再建記」)。その後、7月から9月にかけて第1部が放送されましたが、ご覧になった感想をお聞かせください。

どの話も内容がかなり濃いので、観ていて「すごく大変なことをやっているな」という感覚があったし、序盤は「視聴者の方々は付いて来れてるかな?」という心配も実はありました。でもWebラジオやSNSの感想を見ると「面白い」とか「勉強になる」という声も多く、セリフだけでなく映像もあると見やすい作品だったんだなと感じました。

──ソーマは説明セリフも多いから、そういう心配もあったのかもしれませんね。

もう、ナレーションかというくらいの多さでした(笑)。同じキャラクターがずっとしゃべり続けると一本調子になるから変化を付けようと工夫しました。

──第1部で、どういったところにこの作品らしさを感じましたか?

内政にフィーチャーしていることです。異世界ものらしくバトルの要素もあるけど、「現実主義勇者の王国再建記」ではその比重は5%ぐらいしかない。戦いが起こる前や終えたあとの出来事が多く描かれているのが本作の特徴だと思います。例えば才能さえあればどんな人材も登用するという“唯才令”の話とか。

──唯才令ではポンチョが登用されましたが、彼がきっかけになって解決した食糧問題も印象的です。

小林裕介

ゼルリンうどんをはじめ、ほかの料理も発想が面白かったですよね。食材を少しアレンジして現代風にするとか。食という多くの視聴者が興味を持ちやすいお話を序盤でお見せできたのはよかったかなと。でもソーマはただの学生のはずなのに、どうやって「食糧問題を解決しよう」なんて発想にパッと辿り着くんですかね。1話で国の財務報告書なんかを見せてくれと言っていますけど、そんな知識はどこからきたんだろうと不思議で(笑)。ソーマって少し変わった奴なんですよ。

──詳しくお聞かせください。

僕、彼が愛読する「君主論」を読んでみたんです。でも「君主とは~」とか「絶対主義として~」とかばかり書いていて。現代にどう活かすんだろう、ソーマは普段どんなことを考えているんだろうと思いましたよ!(笑) 絶対にただの地方公務員を目指す学生じゃない。もちろんそういうことに強い興味を持っていたからこそ、異世界に来てすぐに国王代理として辣腕を振るえたんでしょうけど。彼のバックボーンが気になるので、原作のどぜう丸先生にお話を一度聞いてみたいです。

──ソーマは異世界に召喚されてもすぐにそれを受け入れて、王様相手に物怖じせず政策の話をし始めました。本当に普通の学生とは思えないですよね。

彼はとにかく切り替えが早いんですよね。その後のいろんな場面でもそうですけど。やっぱりバックボーンが気になる……。

ソーマに王様としての自覚が芽生えていった第1部

小林裕介

──第1部を振り返ってみて、ソーマにどんな変化があったと思いますか?

彼はずっと暫定国王と自称していますが、それでも王様としての自覚が芽生えていきました。その最初のきっかけは長雨で地滑りが起きて神護の森が巻き込まれた一件でしょう。それまでソーマが何かするごとに国がよくなる一方だった中、不測の事態が起きてしまった。あれは不幸な天災でしたけど、だからこそソーマがこれまで以上に先を読んで、やれることをやらないといけないと意識することになりました。それからいい意味でも悪い意味でも、序盤よりさらに守るべきもののために明確に割り切るようになってきたというか。

──終盤の戦争ではそういう側面も描かれました。

はい。やっぱり直接手を下したわけではないとはいえ、人を殺す決断をしたところが一番の分岐点だったと思います。残酷な手段や残虐行為を行使してでも自国の人々を守るかどうか考えることになって。第1部の第13話まででそのステップに入ったので、ソーマの気持ちの成長物語は最初の到達点を迎えたんじゃないでしょうか。

──ありがとうございます。第2部の話に入る前に第1部についてもう1つ伺いたいのですが、第3話でジュナが歌った歌が話題となりました。あの場面をどう見られましたか?

小林裕介

テンション上がりましたねー。アフレコ現場で挿入歌の件を聞いて、「え、この歌……あ、監督が同じだから? そういうことか!」となりました。それでジュナ役の上田麗奈さんに「めっちゃ楽しみ」と言ったのを覚えていますが、放送で実際に上田さんの歌を聴いたらとてもよかったですね。原曲の力強さとはまた違う透き通った歌声をアカペラで聴けて。第1部Blu-ray BOXの特典CDではフルで聴けるのでうれしいです。僕にとってはド世代の曲だから、まさかこんなところで巡り会うとは思いませんでした。