「GATE SEASON2 自衛隊 彼の海にて、斯く戦えり」柳内たくみインタビュー│Web小説の歴史に残る“異世界×自衛隊”ものが生まれるまで (2/2)

メディアミックスは小説からの飛躍が楽しみ

──「SEASON2」を執筆されるうえで、特に力を込められた箇所をお教えください。

潜水艦の描写ですね。いくら海上自衛隊の方々が協力してくださったとはいえ、潜水艦の内部は機密ばかりです。なので、ほとんど教えてくださいません。加えて資料も限られているので、とにかく読み漁って、なんとか書くことから始めていきました。ただ、広報室の中に潜水艦の艦長を歴任されていた方がいらっしゃって。その方が原稿を読みながら「ここは消しましょう」とか「ここは残しましょう」と、機密こそ言及しないものの、チェックしてくださったんです。あれには助かりました。

柳内たくみ

柳内たくみ

──まさかそんな秘話が(笑)。ちなみに、第1部のコミカライズ、アニメ化後に「SEASON2」は執筆されていますから、何かそこからフィードバックを受けたことはなかったのですか?

特になかったと思います。キャラクターが勝手に動き出してくれることを期待している節もあったので、そこまでキャラクターをガッツリ作り込んでいなかったですしね。ただ、第1部でもコミカライズやアニメ化がどんどん進んでくると、もともと脳内にあったはずのイメージが竿尾さんのデザインや、諏訪部(順一)さんの声に塗り替えられていったんですよ。なので、たぶん、これから「SEASON2」もそういった現象に苛まれるんだろうなと思っています。

──勝手に動き出したという意味で、柳内さんの予想よりも膨らんだキャラクターは誰でしたか?

オデットさんですね。彼女は……と言及しすぎるとアニメ版のネタバレになってしまいますから、コメントは控えますが(笑)。

──(笑)。さて、そんな「SEASON2」が「GATE SEASON2」としてついにアニメ化されます。柳内さんが最初にアニメ化の報せを耳にしたのはいつ頃でしたか?

コロナ禍になる前だったと記憶しています。あるプロデューサーからアニメ化の企画を進めていると伺っていたのですが、新型コロナウイルスなどでなかなか話が進まない状況で……。アルファポリスさんを通して正式なオファーをいただいたのは、2024年になってからでした。ただ、すぐにお返事しても浮き足立っているように見られるかななんて思いもあって、返信したのは翌日だったんですけど(笑)。

2017年に刊行された「ゲート SEASON2 1.抜錨編」。SEASON2では舞台を海上自衛隊に移し、元凄腕料理人の徳島甫二等海曹らが任務に邁進する。

2017年に刊行された「ゲート SEASON2 1.抜錨編」。SEASON2では舞台を海上自衛隊に移し、元凄腕料理人の徳島甫二等海曹らが任務に邁進する。

──シリーズ構成を務められるのは、第1部のTVアニメ版に引き続き浦畑達彦さんですね。

浦畑さんは第1部のTVアニメ版制作中から、自衛隊に体験入隊もしてくださって、キャラクターがどんな動きをするのか熟知してくださっていたんです。模造銃を持って山の中を歩くなんて経験もしてくださっていましたから、「SEASON2」にも参加してくださると聞いて歓喜しました。

──柳内さんが原作者として何かスタッフにオーダーされたことはあるのでしょうか。

自衛隊は実在する組織なので、僕が書いた小説の中身以上に準拠する必要があるポイントが存在します。そこに嘘はつかないでほしい、とはお願いしました。ただ、その言葉は裏を返せば、自衛隊の描写以外は高橋(亨)監督をはじめとしたスタッフさんにお任せということです。僕は自分の中身で映像を思い浮かべて、それを文字に起こしていくタイプなんですが、僕が執筆する際にイメージしたものと、(原作イラストの)Daisuke Izukaさんや黒獅子さん、竿尾さん、高橋監督、(キャラクターデザインの)藤田(しげる)さんが描くものは、当然異なるものになります。そこで「僕がこう描いてほしい」って言っても、僕の中のイメージを完璧に共有することはできないと思うんです。僕が仮に絵を描けたとしても、イメージ通りにはならないはず。ですから、僕が書いた小説からどんな印象を汲み取ってくださるのか、ある種その飛躍を楽しみにしていて。なので、あまりオーダーは出していませんね。

「SEASON2」は海、そして食事の描写に注目を

──まだ制作途中だとは思いますが、絵コンテやキャラクター設定画などをご覧になって、どのような心境なのでしょうか。

まだ制作途中なのに、こんな素晴らしい完成度なのかと慄いています。とても期待していますが、スタッフさんががんばりすぎないかと心配もしている、というのが正直なところですね。

──本作は世界展開も予定されているほか、「SEASON2」のコミカライズも始まり、これから作品がどんどん広がっていきますね。

原作者ではありますが、サイズの異なるゴワゴワとした服を着ているような居心地の悪さを感じています(笑)。おそらくこれから馴染んでくるんでしょうけど、まだ信じられていませんね。ただ、竿尾さんのコミカライズはすでにネームを確認しているのですが(編註:この取材は2026年1月に行われた)、もう素晴らしいの一言です。僕の書いた原作小説が、竿尾さんが得意な海の描写や獣要素でどんどん肉付けされていって、膨らんでいく。その過程を楽しく監修しています。おそらく原作小説を読んだことのない方でも、楽しめるコミカライズになっていますよ。

竿尾悟「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」第1話より。特地乙種三類害獣・通称鎧鯨(コルタ・ケートス)と対峙する海上自衛隊きたしお。

竿尾悟「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」第1話より。特地乙種三類害獣・通称鎧鯨(コルタ・ケートス)と対峙する海上自衛隊きたしお。

──アニメ版も楽しみです!

高橋監督も海の描写にとてもこだわられていて。僕ですら見学ができていない場所に海上自衛隊の方々と訪れて、いろいろ研究されているそうなんです。なので、僕も完成映像を楽しみに待っています。ストーリー面でいえば、第1部もそうでしたが主人公がギリギリの状況に追い込まれたときにどうなるのか。また、異世界でも必要不可欠な食事の描写を意識して執筆していたので、その2点がアニメ版ではどうなるのか。そんなポイントを楽しみにしながらご覧いただけるとうれしいです。「GATE SEASON2」と題していますが、第1部のTVアニメ版から直接の続編ではありません。世界観こそ共通ですが、キャラクターは異なるので、前作を知らない方もご覧いただけると思います。ぜひ、放送・配信をお楽しみに!

柳内たくみ

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プロフィール

柳内たくみ(ヤナイタクミ)

小説家。自衛官を経験した後、2006年に自営業を開業。本業に従事する傍ら、インターネット上で精力的に執筆活動を展開し、2010年4月、「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 1.接触編」で出版デビュー。「ゲート」は2015年にTVアニメ化を果たし、シリーズ累計770万部を超えるヒット作となった。その他の著作に「氷風のクルッカ 雪の妖精と白い死神」(アルファポリス文庫)、「Walhalla《ワルハラ》-e戦場の戦争芸術-」(ブレイブ文庫)、「狐と戦車と黄金と」シリーズ(MF文庫J)などがある。