10周年の「FGO」をオリバー・エバンスが“オタク語り”!大好きな英霊と歩んだ、人間に光を見出す一筋の希望のような物語 (2/2)

ネタバレありで語る第2部、奏章IIは「心が死にそうになった」

──第2部で特に印象に残っている章はどれでしょう。

第2部第4章「Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ 黒き最後の神」ですね。終盤でガネーシャが、数千年とも言える長い間、孤独と闘い続けるところが……!

──アルジュナ〔オルタ〕を神の枠組みから外すために、ガネーシャが外界と隔絶された空間でたった1人孤独に天地創変を耐え続けるシーンですね。

「Fate/EXTRA CCC」をプレイしていると、「あのジナコ(=カリギリ)が!」って衝撃と感動がありました。で、その後に出てくるカルナがカッコよすぎて! カルナを使うときはずっと燃える三神の衣の霊衣にしてるくらい好きです。あとは第2部第6章「Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻」。あれは……ずるい!

──(笑)。

「Fate」の顔といえばアルトリア・ペンドラゴン(セイバー)だと思うんですけど、その出典であるアーサー王の絶対的な敵として語られるモルガンが……もう……あんなにいろんなことを抱えているなんて、切なすぎて。悪役のイメージが強いモルガンですが、魅力が最大限に引き出されたなと。今はもう、みんなモルガンが大好きじゃないですか。僕ももちろん大好きだし、モルガンも妖精騎士たちも、みんな幸せになってほしい。

第2部第4章「Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ 黒き最後の神」より。

第2部第4章「Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ 黒き最後の神」より。

第2部第6章「Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻」より。

第2部第6章「Lostbelt No.6 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ 星の生まれる刻」より。

──期間限定イベントとかで楽しげにしているのを見ると、ほっこりします。

わかります。第2部第6章はプレイアブルキャラ以外の登場人物も魅力的ですよね。ウッドワスは見た目からはすごく後で裏切りそうなタイプに見えるのに、忠臣も忠臣で逆に僕が裏切られた感じがしました。ボガードも見た目と振る舞いに異なる印象があって。あの2人の信念が描かれるところと、ギャップ萌えはすごかったな。

──奏章はいかがでしょう。

僕は「巌窟王」の物語が大好きなので、奏章IIは……ちょっとつらすぎましたね……! アヴェンジャーは好きなサーヴァントが多いので、「奏章IIはアヴェンジャーがメインなんだ」って楽しみにしてたんですよ。しかも新しいハサン(耀星のハサン)も実装されて「やったあ!」なんて思っていたら、別離の話で心が死にそうになりました。

オリバー・エバンス

オリバー・エバンス

──巌窟王もお好きなんですね。

「巌窟王」も好きですし、それをモチーフとしたアルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」というSF小説も好きで。「虎よ、虎よ!」では人間がテレポート能力を手にしているんですが、巌窟王 エドモン・ダンテスがバトル中にテレポートするバトルモーションは、そこから来ていると思うんですよ。あと作中の詩の一節「Tyger Tyger, burning bright, In the forests of the night」は、直訳すると「夜の森で明々と燃える虎よ、虎よ」なので、宝具名「虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)」ともつながりがありそうです。セリフ(※)も「虎よ、虎よ!」から取り入れられている要素を感じていいですよね。あと巌窟王 モンテ・クリストは宝具5にしています。それくらい推しです。

※巌窟王 エドモン・ダンテスの宝具名は「虎よ、煌々と燃え盛れ(アンフェル・シャトー・ディフ)」。宝具発動時には、小説の別題「わが赴くは星の群」を思わせる「我が征くは恩讐の彼方」というセリフも発せられる。

──すごい熱量を感じます……! では奏章IIの展開はつらかったでしょうね。特に思い出深いシーンはありますか?

準メインキャラであり、人によっては正ヒロインのジャンヌ・ダルク〔オルタ〕や巌窟王の動向、マリー・アントワネット〔オルタ〕や耀星のハサン、アレッサンドロ・ディ・カリオストロなどのキャラの魅力や日常パートなど語りつくせません。あえて1つに絞るなら、やはり最後に主人公がした、マスターとしての選択。これにつきます。これについてはぜひ、皆さんご自身の目で見届けてほしいです。アヴェンジャー好きになる……。

──今オリバーさんが進めている奏章III、その後の奏章IVも、クリア後に感想を聞いてみたいですね。

がんばります。公式から情報が発信されていますけど、出てくるじゃないですか……岸波白野。あと最近ではマシュの姿も変わっていて……SNSで見かけてしまったのですぐスワイプして、見なかったことにしましたけど(笑)。

──奏章IIIは「Fate/EXTRA CCC」がお好きなら、なおのこと刺さるポイントがあると思います。ストーリーも、「FGO」の大きなテーマが表現された集大成的な話だと感じました。奏章IVも第2部で広げられていた風呂敷が、畳まれ始めてるので……とにかく「やってほしい」、としか(笑)。

本当に第2部、今年で終わるんですか!?

──そう発表されています。奏章を進めていくと「第2部終わるんだな」って実感がじわじわ湧いてくると思いますよ!

もしも自分がサーヴァントになったら? ファンの予想はバーサーカー

──オリバーさんは自分がサーヴァントになったらクラスはなんだと思いますか?

昔アーチェリーをやっていたのでアーチャーか、一応乗馬ができるのでライダーには適性があると思います。って言っても全部かじってる程度で……。教授っていう要素でキャスターかなって思ってるんですけど、僕のファンはほぼ満場一致でバーサーカーだと言ってきますね(笑)。

──どういったところがバーサーカーなんですか?(笑)

たぶんゲームでたまに脳筋攻略するところだと思います。でも僕は考えたうえで脳筋プレイをしてるんですよ? ゴリ押せるときはゴリ押すのが正解だと思ってるだけで。あとは殴るほうのルーラーとも言われるときがありますね。

オリバー・エバンス

オリバー・エバンス

──知的なところと、拳法を経験されていると伺っているので、ルーラーのイメージはわかる気がします。普段こういう「Fate」雑談を一緒にされる方って、身の回りにいらっしゃいますか?

ベルさん(ベルモンド・バンデラス)とは話しますね。ただあの人は征服王(イスカンダル)に脳を焼かれてるんだよな……(笑)。宝具レベル5のイスカンダルがいるのに、なぜかほかにもイスカンダルを持っているんですよ。

──それはすごい。この時期、プレイヤーの間では周年サーヴァントの予想とかも盛り上がりますが、そういった話はされましたか?

周年サーヴァントが実装されたときに「来ちゃったよー」とか2人で話すことはありますね。もうすぐ周年か……。今年は誰が実装されるんだろう。もうぼちぼち読めないぞ。

──今年のユーザー予想でよく聞くのは、ギャラハッドとU-オルガマリーですね。

ああ、所長(U-オルガマリー)! 絶対お迎えしたいですよ! 仮に所長が実装されるとして、召喚できたら、今から「FGO」を始める人は第1部の人理修復からずっと所長と一緒に旅することができるんでしょう!? うらやましいなあ。

「Fate」は人間捨てたもんじゃないと思わせてくれる、一筋の希望

──最後に改めて、「FGO」の魅力をお聞かせいただけますか。

今でこそいろんなスマホ向けゲームをプレイしていますけど、やっぱりこの文量で、運命の絡む熱い物語が展開されていくゲームっていうのはなかなかないなと。そして歴史上の人物をコンテンツとして扱っているからこそ、我々の歴史と紐づいてる部分も含めてエンタテインメントに昇華されているなと思います。なおかつ毎回ものすごい量のエピソードがしっかりと組み立てられている。この物語を読める幸せっていうのが、一番の魅力ですね。

──そうですね。改めて「Fate」シリーズの魅力を詰め込んだゲームだなと思います。

「Fate」シリーズって人の醜い部分を語りつつも、根幹には人間讃歌があるんだなと思っていて。「FGO」も人間ってひどいところもあるけど、そこまで捨てたもんじゃないよねって思わせてくれる、一筋の希望みたいなところが、僕はすごく大好きです。

「Fate/Grand Order」10th Anniversary Movie

プロフィール

オリバー・エバンス

2021年7月にデビューした、にじさんじ所属のバーチャルライバー。“バーチャル文化人類学”を専攻する若き教授で、歴史や神話に関する広い知識を持つ。幼少期に英語圏にいたため、英語も得意。9月13日には、にじさんじ7周年を記念したライブツアー「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin' in the Rainbow!」の福岡公演に出演する。