ダンロップ「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」 PR

ダンロップ「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」|“頼まれてもいないのに” ネームを20枚以上描き下ろし! キャラクター原案・高橋しんインタビュー ネーム全ページを初公開!

タイヤメーカー・ダンロップが公開しているショートアニメ「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」。スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 02」をプロモーションするために作られた作品だが、タイヤの広告であることを忘れるほどの叙情的な内容や、キャラクター原案に高橋しん、アニメーション制作に数々の人気作を手がけるアンサー・スタジオ、さらには声優陣に神谷浩史、沢城みゆきらを起用するという豪華さが話題を呼び、再生数は5日間で200万回を超えた。

このたびコミックナタリーではキャラクター原案を務めた高橋にインタビューを実施。制作秘話のほか、「アニメに登場するカップルのモデルはあの作品に出てくる2人」といった裏話も飛び出した。また高橋はキャラクター原案だけでなく、マンガ形式でネームを20ページ以上描き下ろしていたことも今回明らかに。そのネームも本特集の最後にて公開するので、インタビューと併せてお楽しみいただきたい。

取材・文 / 松本真一

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」

STORY

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」より。

これは、3つの愛が織りなす、一夜の奇跡の物語。年に一度のイルミネーションを間近に控え、街はにわかに活気づいていた。そんな中、新人として仕事に奔走するリョウタは、恋人のユキをいつも待たせてばかり。

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」より。

一方、警備員として街頭に立つトシロウは、娘のマイとどこかすれ違いの日々に葛藤していた。妻がいない分、がんばりすぎてしまう娘に、どう接していいのかわからなくなっていて……。

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」より。

かつて女優を夢見て、生まれ育った地元を離れてしまったケイ。トップ女優としての地位を確立した彼女に舞い込んできたのは、まさにその地元のクリスマスイルミネーションの点灯式へのゲスト出演だった。マネージャーのジンとともに十数年ぶりに帰郷した彼女の表情は、どこか曇っていて……?

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」
キャラクター原案・高橋しんインタビュー

文章を元に設定画を描いただけでは、キャラに気持ちが入らない

──先日公開されたショートアニメ「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」に、高橋さんはキャラクター原案としてクレジットされています。

そうですね。まず川又浩監督を中心としたスタッフさんがキャラの設定や世界観を作られて、私はそのお話を聞いたうえでキャラクター原案を担当させていただきました。

高橋による、20ページ以上にわたるネームの扉ページ。記事末ではこのネームをすべて公開している。

──ただ、「ROAD TO YOU」の特設サイトのギャラリーを見ると、高橋さんの直筆としては設定画のほかに、コマ割りされたネームも何枚か載っていますよね。それを見て「キャラ原案だけじゃなかったのかな」と思ったんですけど……。

ああ、それはですね。最初はいただいた設定やシナリオをベースにキャラクターを描いてみようかなと思ったんです。ですが、文章を元に絵を描くだけだと、キャラクターが動いてないというか、気持ちが入ってない、ただの男の子や女の子のイラストになってしまうかなと思ったんですね。そこで描いたのがこういうものなんですけど……(ネームを取り出す)。

──えっ、コマ割りされたネームが20ページ以上……普通にマンガ1本分のボリュームがありますね。改めて確認なんですが、ダンロップさん側からの依頼は「キャラクター原案をお願いします」ということだったんですよね?

そうですね。でも私はマンガ家なので、ただキャラクターのイラストを描くやり方では何か違うと思いました。だから今回は、まずシナリオを元にマンガ形式のネームを描かせてもらって、そこからキャラを作らせていただきました。

──言い方は悪いですけど、頼まれてもないのにネームまで描いてしまったということでしょうか。

そういうことになりますね。「こっちが勝手にやったことなので、これは無視してもらっても大丈夫です」という形でネームを送りつけました(笑)。私はもともと自分で描いているマンガでも、登場人物を動かしているうちに初めてキャラクターが出てくるんですね。初連載だった「いいひと。」の頃から「キャラクターが動いてきたら、そのキャラにふさわしいシーンを追加する」という形で作ることが多いので、今回もアニメのスタッフさんがそのやり方を結果的に認めてくださったのかなと。

──「ROAD TO YOU」ではまずマンガ形式のネームを描いてから、最後に設定画を描かれたわけですか。

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」ネームより。

はい。ネームを描きながら「女優さんのキャラだったらこんな感じかな」と考えて、外見なども決まっていく感じです。それを一度提出して、「これでいきましょう」と言われたあとに、設定資料としての立ち絵を描きました。

──なるほど。このネームがあるとアニメのスタッフは非常にやりやすくなったでしょうね。

完成後、スタッフさんからは「このネームをいただいたことで、みんなのイメージがクリアになったので、ガイドラインとしてありがたかった」と言ってもらえました。「余計なことしやがって」みたいに言われなくてよかったです(笑)。

──余計なことってことはないですよ。

でもこれは、最初にいただいたシナリオをそのままネームにしたわけじゃなくて、こちらで思い浮かんだセリフや演出を足しているんです。そこを実際に取り入れていただいて、現場の人は大変だったんではないかと思います。お話をいただいたのは、シナリオが確定してはいない段階だったんですよ。だから足しても怒られないかな?というのもあって(笑)、自分の考えも提案させていただいて。そこは実際に映像に使用していただいたところもあります。

マンガの担当編集は「いつの間にこんなことに」

──ネームを勝手に描いただけじゃなく、シーンやセリフも足して、それが採用されたと。先ほどおっしゃっていた、動かしているうちにキャラができてくるという部分をシナリオに反映させたわけですよね。具体的にはどのあたりですか?

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」より。父であるトシロウにコーヒーを渡したあと、舌を出すマイ。

マイちゃんがお父さんにコーヒーをあげるシーンはそのひとつですね。そのあとマイちゃんが舌をペロっとするところも、監督が「ここはかわいいのでぜひ入れたい」と言ってくださったみたいで。あとはラストの流れも少しだけ入れていただきました。

──もはや裏監督というぐらいの働きですね。高橋さんにここまでされたら、アニメスタッフ側も「こちらも手を抜けないな」という気持ちになりそうです。

自分としても、最初は「スケジュール的なリミットもあるし、早くやらないとな」という感じではあったんですけど、描いているうちに「終わらない……」って(笑)。

──当初の予定より本気になってしまったわけですね。

いまビッグコミックスピリッツ(小学館)で連載している「かなたかける」の担当編集さんは、「いつの間にこんなことに……」とびっくりしてました(笑)。

──「ここまでやるなんて聞いてないよ」と。

そもそも注文されてないことを勝手にやっているだけですから(笑)。だけど描き始めたからにはやりきるしかないので。

──何がそこまで高橋さんを動かしていたんでしょう。

「ROAD TO YOU ~君へと続く道~」ネームより。

さっきも言いましたけど「マンガ家だから」ってことですよね。

──マンガ家として、気持ちが入ってないイラストだけのキャラは描けない。

あとは、完成したものを見たいという欲望がモチベーションとしてありました。最後まで描くことでストーリーとして楽しめるなと。そういう気持ちで、ときどき「真夜中に何をやってるんだろうな」と思いながらも(笑)、完成させました。

──このインタビューが世に出ると、「キャラ原案を高橋しんに頼むと、頼んだこと以上のことをやってくれるらしいぞ」みたいなことにならないですか?(笑)

次にどこかに頼まれてキャラだけ描いたら「あれ? 絵しかやってないじゃん」って言われるかも(笑)。でも今回は、スケジュールが少しタイトだったことが功を奏したのかもしれないです。最初から「マンガ形式でやりたいんですが、どうでしょうか」というふうにいちいち相談しながらだと、こうはなってないと思うんです。今回は私が「ネームっぽいものも描きました」と一方的に送りつけたことに対して、アニメのスタッフさんもすぐ「これでいきましょう」と言ってくださって、それぞれが良いと思ったことをどんどん決定していくという、スピーディーで柔軟な流れがありました。スケジュールを原因としたいろんな偶然がうまくいったのかなと。

ROAD TO YOU ~君へと続く道~
ROAD TO YOU ~君へと続く道~
スタッフ
  • キャラクター原案:高橋しん
  • 監督:川又浩
  • キャラクターデザイン・作画監督:土屋堅一
  • アニメーション制作:アンサー・スタジオ
キャスト
  • リョウタ:神谷浩史
  • ユキ:沢城みゆき
  • トシロウ:谷昌樹
  • マイ:津田美波
  • ケイ:浅野真澄
  • ジン:野島健児
高橋しん(タカハシシン)
高橋しん
1967年9月8日北海道生まれ。1990年「好きになるひと」で第11回スピリッツ賞激励賞を受賞、同年マンガ家デビュー。1993年、週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて「いいひと。」の連載を開始。お人好しの主人公が人々の幸せを願い努力する様子を描いた同作はヒットを記録、ドラマ化も果たした。2000年より同誌で連載を始めた「最終兵器彼女」では、世界の崩壊を背負った男女の壮大なラブストーリーを展開し、セカイ系の先駆けとして新たなファンを獲得。現在、同誌にて駅伝をテーマにした「かなたかける」を連載中。 またメロディ(白泉社)から少女マンガ「トムソーヤ」「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」が刊行されるなど、幅広いジャンルで活躍している。