ブシロードが贈る、“DJ”を題材にしたメディアミックスプロジェクト「D4DJ」。水島精二が監督を務めるTVアニメ「D4DJ First Mix」、スマートフォン向けリズムアプリゲーム“グルミク”こと「D4DJ Groovy Mix」もスタートし、オリジナル楽曲だけでなく数々の名曲のカバーが楽しめることでも話題を呼んでいる。
コミックナタリーではTVアニメの特集に続き、女優・声優としてアニメや舞台で活躍する小宮有紗へのインタビューを実施。「D4DJ」プロジェクトでは、作中で8年前に解散したユニット・Scarlet Canaryの嘉瀬茉奈(かせまな)役を務める小宮だが、自身も2019年よりアニソンDJとして活動し、パフォーマンスやCDリリースなどを行っている。そんな彼女から見た「D4DJ」プロジェクトの魅力、そしてDJ活動の面白さについて語ってもらった。
取材・文 / ナカニシキュウ 撮影 / ヨシダヤスシ
スタイリング / 鬼塚美代子(アンジュ) ヘアメイク / 木戸出香
新しい自分を見つけられるかも
──「D4DJ」プロジェクトのことは、ご自身の参加が決まる前からご存じでした?
もともとは(福島ノア役の)佐藤日向ちゃん経由で「D4DJ」プロジェクトの存在を知って、リアルイベントが行われていることも聞いていました。確かそれが私のDJデビューと同じくらいのタイミングで始まったものだったと思います。まさか今回、こういう形でご縁がいただけるとは思ってもみなかったです。
──むしろ「DJ活動をしている自分のところに最初に話が来ないんだ」などと考えても不思議じゃない気もしますが。
自分としては声優業とDJ活動は完全に別物として捉えていたので、「DJをやっているから、DJを扱うアニメ作品に声優として参加できる」という逆輸入パターンを全然想像してなくて(笑)。そもそもDJを始めたきっかけは、歌に自信がなかったからなんです。シンガーとしても活動されている声優さんが多い中で、私はキャラクターとして歌うのは好きだけど、小宮有紗としての歌は別にうまくもないし……というコンプレックスがあって。もちろんDJにしても経験はまったくなかったですから、決して自信があったということではないんですけど、声優さんでDJをやっている方自体が少なかったので、気持ちのうえではスッと入っていけるかなと。
──なるほど。先ほど取材前の雑談の中で、アニメ「D4DJ First Mix」の第1話をご覧になったとおっしゃっていましたが(取材は11月上旬に実施)。
観ました! YouTubeで先行配信されていたので、それで。もちろんオンエアも録画しましたよ。めちゃめちゃ新鮮でしたね。これまでにも作品の中にDJが登場するアニメはありましたけど、あそこまでDJをフィーチャーしているものはたぶん初めてだと思います。それと、PioneerさんのDJセットの再現度の高さ! あそこだけ実写なのかなっていうくらい(笑)。曲をつなぐ動きとかもリアルすぎて、ずっと驚いてました。
──波形を合わせる画面なんかも出てきましたし。
そうそう(笑)。「すごー!」と思って。
──そして、ゲーム「D4DJ Groovy Mix」で小宮さんが演じる嘉瀬茉奈のキャラクタービジュアルがついに解禁されましたね。
すごくかわいいですよね! 最初にキャラクター設定についてざっくりと説明を受けたときは、「D4 Fes.」を目指してがんばる6ユニットの子たちよりもすごくお姉さんなのかなという印象だったので、自分の実年齢(26歳)よりも上のキャラクターを想像していたんです。でも、24歳だということが発覚したので(笑)、等身大の自分で演じられるのかなと。私、こんなにかわいらしい系の役は今まであまりやっていないかもしれないです。
──確かに、どちらかというとしっかり者キャラのイメージがあります。
とか、お堅い感じの子とかですね。そういう意味でも楽しみですし、新しい自分を見つけられるかもしれない。
──細かい役作りなどはまだこれからだとは思うんですけど、現時点での意気込みを聞かせてください。
まだアフレコもしていない状態で、自分の役がほかの皆さんとどんなふうに絡んでいくのか、ざっくりとしか聞いていないんですが、茉奈というキャラクターがどう動いてどう物語に影響していくのかすごく楽しみです。今までの私はメインで活躍する6ユニットの中の誰かみたいな立ち位置を演じることが多かったので、こういう役どころは新しい挑戦になると思います。いろいろ模索しながらがんばっていきたいですし、アニメにもいつか登場できたらいいなって。
──アニメ映えしそうなキャラクターですしね。
すごく元気に動き回るでしょうね(笑)。あと、(天野愛莉役の)水樹奈々さんたちと一緒にステージに立ってパフォーマンスできる日も来てほしいなと思っています。そして、そのときはぜひこのイラストと同じ衣装を着てみたいです。
DJとしての目標は海外への発信
──小宮さんのDJ活動についても聞かせてください。始めたきっかけについては先ほども少しお話しいただきましたが……。
もともとはマネージャーさんから「こういう話があるんだけど、どう?」と言われたところからだったんですけど、未知の世界すぎて……。私は小さい頃にクラシックバレエをやっていたこともあって、一般的なポピュラー音楽にほとんど触れずに生きてきたんですよ。だから「私で大丈夫ですか?」という気持ちもあったんですけど、スタッフさんたちの「一緒にやりましょう!」っていう熱意がすごくて。この方たちとならがんばれるかもしれないと思って始めました。
──それまでDJにどういうイメージを持っていましたか?
DJといえば、私にとってはDJ KOOさんだったんです。DJを始めてから何回もKOOさんとご一緒させていただいていますけど、技術はもちろん、MCなども本当にすごいですよね。その印象があったので、より「私にできるかな……」っていう思いもあったりしたんですけど。
──実際に始めてみて実感されたと思いますけど、一口に「DJ」といってもいろんなスタイルがありますよね。
そうなんです! 想像していたものだけでは全然なかった。自分の好きなようにいろいろやれるんだな、とやってみて初めて気付きました。
──「必ずしもKOOさんを目指さなくてもいいんだ」と。
あはは(笑)。いや、KOOさんはカッコいいですよ!
──小宮さんとしてはどんなスタイルを目指そうと?
最初はアニソンDJというところからスタートしたんですけど、やっていくことで少しずつ音楽そのものに興味が湧いてきたので、いろんなジャンルに挑戦したいという欲が出てきました。日本ではJ-POPとかアニソンとかってジャンルとして分かれてますけど、海外の方からしたら一括りだったりもすると思うので、それぞれをしっかり日本のカルチャーとして発信していきたいなって。そのためにも、日本の素晴らしい音楽文化をもっと知っていきたいです。
──海外での活動を視野に入れているんですね。
もともと私個人としてのDJ活動は「海外をメインにがんばっていこう」というきっかけで始めたんですよ。今はコロナの影響で難しい状況ではありますけど、海外のアニメイベントなどに出られるようになることが個人的な目標です。
気持ちの鮮度が高いうちに伝えられる
──DJ活動の魅力はどんなところにありますか?
一番わかりやすいところでは、ジャンル問わず自分の好きなものをかけられるところです。例えば歌手の方には自分の持ち歌というものがありますし、カバー曲をやるにしても歌える曲がどうしたって限定されますよね。DJにはそれがないぶん「今、私はこれが好きなんだよ」「みんなに今これを聴いてほしいんだよ」というものをどんどん提示できる。しかも、それを「今月はこれ」「その次はこれ」というふうに気持ちの鮮度が高いうちに伝えられるというのは、DJならではの特権かなと感じています。
──なるほど。小宮さんがこれまでにやってきたお芝居や歌といった活動との違いはどんなふうに感じていますか?
お芝居は自分でやりたくて始めたことの延長として続けているものですけど、DJはお仕事としていただいたところがスタートだったので、そもそもの向き合い方が全然違うんです。自分がまったく関わってこなかった分野だからこそ、がんばらないと本当に何者にもなれないというか。それで時々「向いてないのかも」って不安に思うこともあるんですけど、観てくれた皆さんが選曲をすごく喜んでくださったりすると、その反応を見てやっと「あ、私には合ってたのかな?」と思えるんです。それがすごく面白いですね。
──お芝居をしているときは、自分の中である程度の手応えをちゃんと感じることができているわけですよね。
はい。もちろん観てくださった方の反応が自信につながったりすることはたくさんあるんですけど、「これが正解かな」というものが自分の中である程度見えています。だからこそ、終わってから「もっとこうすればよかった」と反省したりもできるんですけど、DJの場合は正解が全然わからなくて。なので常に周りの反応を見ながら(笑)、本当に手探りですね。
──まだ自分なりの基準が確立していない段階だと。でも、少しずつ見えてきている部分もあるのでは?
そうですね。最近ようやく、自分でプレイしながら「これ、いいのかも!」と感じる瞬間も増えてきました。それがわかってくると、やはり喜びも大きくなります。
──先ほど、DJを始めたことで音楽への興味が増したというお話がありましたけど、音楽の聴き方も変わりましたか?
音楽番組をすごく観るようになりました。歌番組を片っ端から観て、「今どういう音楽が流行ってるんだろう?」とか「あ、こんな新曲が出たんだ」とかをチェックしています。それで「この曲めっちゃいい!」と思ったらメモしたり、気になるアーティストさんがいたら、ほかにどんな曲があるのかネットで調べたりとか。今までまったくやってこなかったことなので、私の中では大きな変化だと思います。
──そうすることで、新たに出会ってハマったアーティストなどはいますか?
います! 先日、「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日系)でアイドルさんの特集をしていたんですよ。「令和のアイドル界 スゴいボーカリスト 10人」という。そこで観たCY8ERさんがすごくよくて。
──なるほど。アイドルとはいえ、やはりクラブミュージック寄りなんですね。
そうですね。音楽的にも最近はそういう系統が気になるようになってきました。
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DJパフォーマンスの楽しみ方
2021年3月12日更新