コミックナタリー PowerPush - 月刊COMICリュウ

COMICリュウ発の女流作家、3人同時デビューマンガ界新世代の潮流となる才能たちが原点を語り合う

月刊COMICリュウ（徳間書店）にて作品を発表していた3人の新人女性マンガ家が、2月13日にそれぞれ単行本デビューを果たす。彼女らはいずれも、リュウが主催する、安彦良和と吾妻ひでおが審査員を務めた新人コンペ・龍神賞を受賞したことをきっかけに、同誌に登場した作家たちだ。

コミックナタリーでは発売を記念し、3人による座談会をセッティング。年齢も経歴も作風も違う彼女たちが、どのようにしてマンガ家を志し、リュウでデビューを果たしたのかを聞いた。ふみふみこ、西村ツチカらを輩出し、亜人種ラブコメ「モンスター娘のいる日常」や、多くのグッズ展開でも知られる「きのこいぬ」など、さまざまな才能を世に送り出し続けるCOMICリュウの今を、ぜひその目で確かめていただきたい。

取材・文・撮影／安井遼太郎

新人女性作家3人、同時デビュー

堤谷菜央「人生は二日だけ」

少女の身に起こるさまざまな“生き死に”のエピソードを集めた短編集。独特の絵柄の中で、生まれ変わった子供や、少女の初恋の終わりが描かれる。龍神賞の講評にて安彦良和に「ちょっと末恐ろしい」、吾妻ひでおに「完成している。もうこのままで大丈夫」とまで言わしめた新人のデビュー単行本。

絵：成松幸世

堤谷菜央（つつみたになお）

息づく24年組の血脈

第12回龍神賞にて、金龍賞を受賞。（受賞作品：「バースデイ」）

弱冠22歳にして、賞の創設以来初となる最高位の金龍賞を受賞して話題を呼んだ。

成松幸世
「さよなら金太郎伊達家の人々」

伊達家という平凡な家族の一代記を描いた連作短編集。ファンタジーもので挑んだ龍神賞の講評では、安彦良和に「これだけ知的な人はちょっといない」、吾妻ひでおに「天才が来たか」と評された。家族の日常を題材とした今作では、確かな画力とストーリーで多くの人間を描き切っている。

絵：脇田茜

成松幸世（なりまつさちよ）

ストイックな知性派

第10回龍神賞にて銀龍賞を受賞。（受賞作品：「紙の上」ほか2作）

応募した3作品それぞれで絵柄を完全に変え、審査員の度肝を抜く。

脇田茜
「『猫がいない』短編集凪を探して」

「猫が出てこない」というテーマで描かれた短編集。愛猫を亡くした、愛猫に逃げられた、猫と触れあえないといった女性の行動と心理を、とても美しい構図で鮮やかに描いている。安彦良和と吾妻ひでおが揃って「非常に読みやすい」と述べた、その流麗なマンガ表現に注目したい。

絵：堤谷菜央

脇田茜（わきたあかね）

流麗に女性の心を描く

第12回龍神賞にて銀龍賞を受賞。（受賞作品：「コピー」）

詩的な状況設定を交えて、女性の心理を鮮やかに描く作風が持ち味。

堤谷菜央「人生は二日だけ」/ 2014年2月13日発売 / 651円 / 徳間書店: 堤谷菜央「人生は二日だけ」

作品紹介

人工的に作り出した赤ん坊を売って大儲けしようとする女性科学者。しかし彼女の男友達（ゲイ）は自分が赤ん坊を育てると言い出す……。

啓示と救いに満ちた衝撃のデビュー作「バースデイ」をはじめ、情緒不安定な従姉に振り回されるヘタレ青年の物語「ライトナイトライト」、ロリータの純愛「金りんごちゃんの恋」、死んだ兄に憑かれた女子高生を描く「兎の生る木」、火星の海底プラントが舞台のSF「BIANCA」、冴えない青年の前に突然現れた謎の幼女との不思議な同居生活を描いた表題作「人生は二日だけ」……。珠玉の6作品を収録した記念すべきデビューコミックス！