ちゃおコミ2周年記念|あの頃の平成女児を代表し、壱百満天原サロメがちゃお作品への愛を叫びまくり

小学館のちゃお作品を無料で読めるWebサイト・ちゃおコミが2周年を迎えた。これを記念し、25歳から30歳前後の元ちゃおっ娘をターゲットにした「平成女児集まれ~~~!!レジェンド作品フェア」が開催中だ。フェア期間中は一部作品の無料公開範囲が増量され、あの頃の懐かしい気持ちにどっぷり浸ることができる。

コミックナタリーではこのフェアをさらに盛り上げるべく、平成生まれの女子であり、かつてちゃおを熱心に読んでいたVTuber・壱百満天原サロメにインタビュー。「エンジェル・ハント」「ミルモでポン!」「きらりん☆レボリューション」「極上!!めちゃモテ委員長」などの思い出や、大人になった今こそ思うちゃおへの熱い要望を語ってくれた。

取材・文 / 佐藤希

ちゃおコミ2周年記念
「平成女児集まれ~~~!!レジェンド作品フェア」

ちゃおコミ2周年記念「平成女児集まれ~~~!!レジェンド作品フェア」

2023年8月7日(月)~20日(日)

1~3巻無料公開
「きらりん☆レボリューション」中原杏
「極上!!めちゃモテ委員長」にしむらともこ
「ドーリィ♪カノン」やぶうち優
「姫ギャルパラダイス」和央明
「ぷくぷく天然かいらんばん」竜山さゆり
「ミルモでポン!」篠塚ひろむ

1巻無料公開
「エンジェル・ハント」おおばやしみゆき
「スパーク!!ララナギはりけ~ん」もりちかこ

フェア対象作品はこちら


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私はちゃお執着人しゅうちゃくびと

──以前サロメさんが、配信中に少女マンガ誌はちゃおを読んでいたとおっしゃられていたので、今回お声がけさせていただきました。私も“ちゃおっ娘”である程度の作品はわかりますので、本日はちゃおの思い出を存分に語っていただけたらと思います。

よろしくお願いしますわ! お声がけいただけて本当にうれしい……。いろんなお話をしたくて、今日を本当に楽しみにしておりましたの。

壱百満天原サロメ

壱百満天原サロメ

──まずはサロメさんとちゃおの出会いから。そもそも数ある少女マンガ誌の中から、ちゃおを選ばれた理由はなんだったんでしょうか?

ちゃおは小学校の1、2年生くらいから読ませていただいてましたので、正直に申し上げますと、当時の自分がなぜちゃおを選んだのか覚えていないんですの。本屋さんでお母様から「どれが欲しい?」って言われて、うーん、ちゃお!みたいな感じで選んだ記憶はあるんですけども。

──なるほど、もしかしたらその号の表紙がサロメさんにとって魅力的だった、ということかもしれませんね。

かもしれませんわね。学年が上がるにつれて、大人びたがる子たちも増えていきましたけど、私はしつこくちゃおを読んでいました。なんて言ったって面白かったんですもの。私はちゃお執着人しゅうちゃくびとでございましたわ。

──ちゃお執着人しゅうちゃくびと(笑)。

だって、どんどん新しいお話が掲載されますから、読みたくって! ずーっとちゃおを買っておりました。

──当時はちゃおという雑誌にどういうイメージをお持ちでしたか?

当時はこんなにたくさんいろんなお話があってすごい!ぐらいだったんですが、今思うとラブリーなマンガが多かったなって思いますわね。ハートとかキラキラしたかわいいものをギュっと集めたフレークシールみたいなイメージと言いますか。

──フレークシール、懐かしいですね! 子供の頃によく買ってました。

私、いまだにシールを集めていますわよ。きっとみんな、少女マンガのみならず小さいときのすべての思い出を抱えて生きているんじゃないかしら。その懐かしい気持ちを蘇らせてくれる大切な存在が、私にとってはシールでもありますし、ちゃおでもある、ということでございますわね。

──ちなみに、少女時代のサロメさんはどんなふうにマンガを楽しまれていたんでしょうか。

私、小学校の頃から運動がとても苦手だったんですよ。だから教室で本を読んでいることが多くて、あとは自分でクラスに貼る新聞とかを描いていましたわね。さすがに学校でマンガを読むことは禁止だったので、学校では本を読んで家ではマンガを読んで、というふうに楽しんでおりました。大きい雑誌をめくりながらベッドで読むのがすごく好きでしたわ。あっ、これはマンガというより私の話になっちゃうんですけど、いいでしょうか?

──なんでしょう?

当時電車で移動することが多かったんですが、今と違って子供は携帯電話を持てなかったので、ものすごく暇で。本を忘れちゃったときは、電車にいる人を見て勝手に妄想しておりましたの。向かいに座っているこの方は、もしかしたらこういう人生でこういうことをしてきたのかな、とか実はこの人は王子様で、って想像したりして。例えばちゃおで連載されているあのマンガの主人公が私だったらどうしましょう!という感じですわね。一般人少女のサロメが実はお姫様だったり、何かすごい存在に選ばれた戦士だったら……。明日お迎えが来たらどうしましょう、水泳の授業があるのにいきなりそんな!みたいな。

──私も覚えがある気がします(笑)。

ホホホホ(笑)。女の子のだいたい6割ぐらいはこの経験があると思っておりますわ。

「エンジェル・ハント」に性癖を開拓されてしまった

※この段落には「エンジェル・ハント」の重要なネタバレが含まれているので、未読の方はご注意を。

──現在ちゃおコミではオープン2周年の記念として、昔ちゃおで連載された作品が一部無料公開されています。事前にサロメさんが語りたいちゃお作品を伺っていたんですが、一番お好きな作品だという「エンジェル・ハント」もラインナップに入っています。

これは大変なことですよ、本当に!

──「エンジェル・ハント」のどういうポイントが、サロメさんのハートを掴んでいったんでしょうか。

さっきのお話でも出たんですが、ごく普通の女の子が突然不思議な力を得ちゃったっていうところに掴まれましたわね。でもゴーストハントがテーマかと思いきや、え!?っていう展開になっていく。どうか未読の方は、この先は少し読み飛ばして「エンジェル・ハント」を読んでほしいですわ。絶対に刺さるから! なぜそこまで言うのか正直に申し上げますと、私が「エンジェル・ハント」に性癖を開拓されてしまったから。だって「エンジェル・ハント」って最終的には、“前世もの”じゃないですか。それがもう私には大刺さり!

「エンジェル・ハント」より。見習い天使の天音と真由、彼女たちの前に現れた天使の浜崎、姫野、天堂の3人を中心に物語は展開される。

「エンジェル・ハント」より。見習い天使の天音と真由、彼女たちの前に現れた天使の浜崎、姫野、天堂の3人を中心に物語は展開される。

──当時のちゃお連載ラインナップの中ではトップクラスでハードな内容だと思っていました。

あれを読んでいた子が「ちゃおは低学年向きだよね」って言うのはおかしいと思う! 高学年向けよ、「エンジェル・ハント」は! 前世以外にも、悪い人たちやゴーストに取り憑かれた人にも、きちんと人格・意思があるっていうのも私の中で好きなポイントの1つですわね。悪い存在に魅了されてしまった時点で本人の意識は消えたものとする作品も多いですけど、「エンジェル・ハント」ではそういう人たちが、「私にもちゃんと目的があって、そのためにこの悪い存在に利用されているんだ」ということがしっかり描かれてる。

──エンジェルの1人・天堂正斗にフラれた女の子が、ある目的のためにゴーストと行動をともにする、というようエピソードもありましたよね。

その回がすごく好きでしたし、あとは退治したゴーストはガラス細工みたいに小さくなるじゃないですか。それを封印する小さな箱もかわいい。あと特に忘れちゃいけない好きなポイントと言えば、“実は主人公が最強”っていう要素。天音が実はめちゃめちゃ強いっていうところが最高ですわ。

──後半に天音たちの前世が描かれるようになってから明らかになるんですが、実は天音は異界の王の娘で、彼の力を受け継いだ人物でしたね。

そう。真由の前世も明らかになるんですが、天音も真由も前世では全然性格も立場も違って、お互いが相手のようになりたかったと思っていたところも最高。2人の物語の決着のつき方も好きですね。でもあの2人が友達のまま暮らせないの、マジですのってって思いました。

「エンジェル・ハント」より。エチェ(天音)は愛する人を追いかけ、1人でくぐるべき異界のゲートをミウッチャ(真由)とくぐる。これにより、2人の何かが連動し今世へと転生。異界の記憶を失い、力が目覚めなかったのも、2人で手をつなぐことで羽が生え、力を使えるようになったのもそのせいだった。

「エンジェル・ハント」より。エチェ(天音)は愛する人を追いかけ、1人でくぐるべき異界のゲートをミウッチャ(真由)とくぐる。これにより、2人の何かが連動し今世へと転生。異界の記憶を失い、力が目覚めなかったのも、2人で手をつなぐことで羽が生え、力を使えるようになったのもそのせいだった。

──「エンジェル・ハント」はちゃおコミの無料公開ラインナップに入っていますから、この機会に読んでみてほしいですね。ちなみにお好きなキャラクターは、やっぱり天音でしょうか?

はい。でも、真由も好き……いや、2人とも好きっ! 天音と真由は引き離したくない!

──天音と真由は2人一緒にいないとエンジェルの力が使えませんし。

そうなんですのよ、そんな2人が離れ離れになっちゃうなんて嫌! でも途中で、2人のうちどちらかが堕天使かもしれないって疑われていたとき、もともと幽霊が見える体質の天音と違って、真由は本当に一般人だから「私が堕天使かもしれない」って悩んでましたわよね。あの真由の悩みも本当に苦しい。大丈夫だから!って抱きしめたくなります。胸がギュッてなるじゃないですか、「ああ!」って。今でもこんなふうに胸が苦しくなるような作品を好きになってしまうのって、「エンジェル・ハント」のせいだなって思います。

──「エンジェル・ハント」から受けた影響という点に関連してなんですが、おおばやしみゆき先生の作品には髪型が縦ロールの人物がたびたび登場します。サロメさんの豪華なヘアスタイルも、おおばやし先生のキャラクターがお好きだから反映されているのかな、と。

あ、思えばそういう影響もあったかも! なんだか勝手に親近感を抱いておりました。

──昔ちゃおの中でおおばやし先生がきれいな縦ロールの描き方を教えてくださっていて。私も天音のイラストが描きたかったので、一生懸命練習していたことを思い出しました。

わかります(笑)。そういえば、私のファンアートを描いてくださっている方々も縦ロールが難しいよっておっしゃることが多いんです。おおばやし先生の描き方なら、皆さんが絶対にきれいな縦ロールが描けるようになると思いますわ。