「EXILE」の名前が出てきてめっちゃうれしかった(佐藤)
──では、パフォーマーうんぬん抜きに印象に残っているシーンなどは?
白濱 バーナムが死んだところですかね。
佐藤 ああ……。
白濱 バーナムは大の傍らで演奏を聴いてくれる存在で、大が初めて作った曲が「バーナムラブ」という、バーナムに捧げた曲なんですよね。僕もレックスという犬を飼っているんですけど、いつか「レックスラブ」という曲を作ってみたいなって。
佐藤 いいっすね。ていうか、仙台編だけでも好きなシーンを挙げたらキリがない。
白濱 いっぱいあるよね。大が高校の文化祭で音楽の先生とセッションするとか、ああいう展開も大好き。
佐藤 黒木先生ね! あんなに穏やかそうな先生が立ち上がってピアノをガンガン弾きまくって。僕もめっちゃ好きです、黒木先生。
白濱 あの文化祭のエピソードを読んだときに、学生時代の音楽の先生のことを思い出しました。確かに音楽の先生ってあんまり前に出てくるタイプじゃなかったけど、実は黒木先生みたいにやるときはやる人だったりしたのかも。
佐藤 そんな黒木先生が、初めて大にサイン色紙を書いてもらった人になるというのもいいんですよ。
白濱 単行本の巻末に毎回、大と関わった人たちのインタビューが載っているけど、黒木先生はそこでも色紙をもらったことを自慢していたよね。
佐藤 あの関係者インタビューみたいなやつ、1巻を読んだときに「急に何が始まったんだ?」と思ったけど、ほんの数ページなのにめちゃくちゃ面白いし、先がすっごい気になる。あの見せ方もうまいというか、ニクイですよね。
白濱 何年後なのかわからないけど、インタビューの内容から大が世界的なプレーヤーになっている未来の話なのはわかるんだよね。だからすごい未来が待っているんだなと、期待が膨らんでいく。しかも、大はプレーヤーとして大成功しても性格は昔のまま、優しくてまっすぐなままなんだというのも関係者の話ぶりからわかるから、この先どうなっていくのか本当に楽しみですね。
──実は単行本の2巻に「EXILE」の名前が出てきて……。
佐藤 そう! 高校時代の大が思いを寄せていた水泳部の三輪(ミワ)さんに普段どんな音楽を聴いているのか聞いたら、三輪さんが「あっ、大会で泳ぐ前には、EXILEの『ライジングサン』!!」(正式な曲名は「Rising Sun」)って。めっちゃうれしかったなあ。2巻が発売されたのが2014年で、偶然にも僕と亜嵐くんがEXILEに入った年だったので、余計に。
白濱 でも、大は「三輪さん…EXILE!?」「やいやいや、いんだいんだ。いいんだけど、ナンだがなあ~」とちょっと複雑な表情になって、三輪さんに即(ジョン・)コルトレーンを聴かせるっていう。それも含めてめっちゃ面白い(笑)。
もし僕たちがジャズプレーヤーだったら(白濱・佐藤)
──白濱さんは「BLUE GIANT」に登場するジャズナンバーも並行して聴いているとのことでしたが、気に入ったプレーヤーや楽曲はありますか?
白濱 今パッと思い付いたのは、ルイ・アームストロングですね。以前、飛行機の中でジャズのプレイリストを聴いていたんですけど、ちょうど窓の外の景色を眺めていたときにルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」が流れてきて。僕はこのとき、初めて音楽を聴いて泣いたんですよ。
佐藤 すごいね。何かあったの?
白濱 いや、なんもない。ただただ景色がきれいで。
佐藤 「なんて素晴らしい世界なんだろう」と。
白濱 そう。ほかにもカッコいいなと思ったプレーヤーはたくさんいるんですけど、僕は「BLUE GIANT」がきっかけで、So BlueのモデルになったBLUE NOTE TOKYOで面白そうなライブがあったら自分でチケットを買って観に行っているんです。ただ、「BLUE GIANT」のイベント(2018年と2019年に開催された「BLUE GIANT NIGHTS」)は都合が合わなくて行けなかったんですけど……次回があればぜひ。
佐藤 それ、僕も行きたい。僕は亜嵐くんほど聴き込んではいないですが、ジャズという音楽に触れるきっかけをくれたという意味でも「BLUE GIANT」には感謝しています。
──もし自分がジャズを演奏するとしたら、どの楽器を選びますか?
佐藤 僕は絶対ドラムですね。実は一時期ドラムを習っていたこともあるぐらい、ドラムがめっちゃ好きで。一応、今でも基本的な8ビートとか16ビートは叩けます。
白濱 へええ。ドラムセット、買っちゃえばいいじゃん。
佐藤 ぶっちゃけ悩みました。それこそ玉田みたいに、トレーニング用のセットを楽器屋さんに見に行ったりもしたんですよ。でも、まずはダンスやお芝居に全力を注がなきゃいけないと思って。亜嵐くんは、楽器をやるとしたら?
白濱 うーん……やっぱりテナーサックスかなあ。ジャズの花形楽器ですし、サックスじゃなくても管楽器に憧れちゃいますね。吹いてみたいと思いつつ、大樹みたいに実際に手を出してはいないんですけど。
佐藤 亜嵐くんはギターは弾けるよね。
白濱 ある程度はね。ギターでもピアノでも、ジャズのプレーヤーは技術があるだけじゃなくて、即興でメロディを生み出せたりするじゃないですか。あんなふうに弾けたらきっと楽しいだろうなと思いますね。
大役は山田裕貴しかいない(白濱)
──最初のほうで、アニメ映画版「BLUE GIANT」の大役を務める山田裕貴さんのお名前が出ましたが、山田さんとおふたりは「HiGH&LOW」シリーズで共演されていますね。
佐藤 亜嵐くんは、裕貴くんと長いよね。
白濱 うん。もう10年以上の付き合いになるんですけど、大役にぴったりですね。裕貴くんが大の声を演じると聞いてから、単行本を読むと大のセリフが裕貴くんの声で脳内再生されるようになりましたから。裕貴くん自身もすごくストイックな人なので、大の仙台弁のニュアンスとかも合わせてくると思いますし、うん、大役は山田裕貴しかいない。
佐藤 僕は「実写化するなら大を演じたい」と言ったように悔しさも半分ありますが、裕貴くんは性格とかも含めて本当にぴったりなんですよね。裕貴くんも苦労してきたと言ったらあれですけど、大のような努力家なので。キャスティングでいったら雪祈役の間宮(祥太朗)くんもめちゃくちゃハマり役だと思いますし、個人的には玉田役の(岡山)天音くんの演技が一番楽しみですね。僕は、天音くんが今みたいに引っ張りだこになる前から俳優のオーディションとかでよく一緒になっていて、「この人、うまい……」と気になっていたんですよ。
白濱 天音くん、いいよね。
──アニメ映画版は音楽とピアノ演奏を上原ひろみさん、サックス演奏を馬場智章さん、ドラム演奏を石若駿さんが担当しているので、そちらも楽しみですね。
白濱 僕は恥ずかしながら上原さんしかちゃんと聴いていないんですが、上原さんのピアノも情熱的で、それこそ自分をさらけ出すようなプレーをされる方なので、間違いないですよね。やっぱりジャズはロックやポップスとは別物というか……音楽の優劣の話じゃなくて、ジャズにはジャズの文法みたいなものがあると思うので、「BLUE GIANT」の世界でプロフェッショナルの演奏が聴けるというのは最高です。
──アニメ映画では主に東京編が描かれますが、原作は東京編が終わったあと、ヨーロッパ編の「BLUE GIANT SUPREME」を経て現在はアメリカ編の「BLUE GIANT EXPLORER」が連載中です。原作の今後に期待することはありますか?
白濱 テキサスで大のバンドに加わったゾッドというドラマーが、EXILEのライブでドラムを叩いてくれていたロレンゾ(・ブレイスフォー)に超似ているんですよ。
佐藤 石塚先生、EXILEのライブをチェックしてくれているのかも(笑)。もしそうだったら超うれしい。
白濱 ロレンゾもスーパードラマーなんですけど、見た目だけじゃなくて寡黙な感じもそっくりで。そのロレンゾ似のゾッドは最新刊(「BLUE GIANT EXPLORER」7巻)の時点ではまだ底を見せていないので彼の全力プレーも気になりますし、もう1人のメンバーであるピアニストのアントニオのキャラクターも大好きなので、大を含めた3人がどういうふうにバンドとして完成していくのか、めちゃくちゃ楽しみですね。
佐藤 東京編もヨーロッパ編もそうでしたけど、大のバンドのメンバーは本当に個性が強いというか、個性と個性のぶつかり合いが常に起きているんですよね。しかも大は前に進み続けるので、東京編でもヨーロッパ編でもバンドを組んでは解散し……。
白濱 だから、アメリカ編がどこまで描かれるのかわからないし、この先ベーシストを入れるのかもしれないけど、きっとどこかで今のバンドも解散するんだろうね。でも、僕は大、アントニオ、ゾッドでずっとバンドを継続してほしいと思っちゃいます。それぐらい魅力的な3人なので。
佐藤 あと、雪祈のその後も気になりますね。東京編では最後に……ネタバレになっちゃうから言いませんけど。
白濱 そうそう。雪祈も今、アメリカにいるという話ですからね。単行本の10巻で雪祈は「一日も休まず吹けば、オレに追いつくかもな」とも言っていましたし、どんな形で再会を果たすのか……あとは、大たちはそろそろアメリカでもちゃんとお金を稼いでほしい。
佐藤 確かに、金銭的余裕も大事(笑)。
プロフィール
白濱亜嵐(シラハマアラン)
1993年8月4日生まれ、愛媛県出身。2012年11月、GENERATIONS from EXILE TRIBEにパフォーマーとして加入する。2014年4月からEXILEにパフォーマーとして参加し、2020年10月からはPKCZも兼任。近年はトラックメイカーとして楽曲制作も手がけている。俳優としての主な出演作はドラマ「小説王」「M 愛すべき人がいて」「泣くな研修医」、映画「ひるなかの流星」「コンフィデンスマンJP プリンセス編」「10万分の1」、ドラマおよび映画「HiGH&LOW」シリーズなど。
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佐藤大樹(サトウタイキ)
1995年1月25日生まれ、埼玉県出身。2011年、FUNKY MONKEY BABYS「ラブレター」のミュージックビデオで俳優デビューする。2014年にEXILEにパフォーマーとして加入し、2017年からはFANTASTICSのリーダーとしても活動を開始。俳優としての主な出演作にはドラマ「シュガーレス」「俺たちの明日」「ワイルド・ヒーローズ」「liar」、ドラマおよび映画「HiGH&LOW」シリーズなどがある。
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