オノ・ナツメ「ACCA13区監察課」1巻が11月25日に、押切蓮介「ハイスコアガール」5巻が12月25日に発売される。ともに月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて連載されている作品の同時期刊行を記念し、コミックナタリーでは2人にお互いのキャラクターを交換してイラストを描いてもらうという企画を実施した。
特集ではオノが「ハイスコアガール」の、押切が「ACCA13区監察課」のキャラクターを描く模様を動画でお届け。完成したイラストは壁紙としてプレゼントする。デジタルとアナログ、異なる作画方法で生み出されるキャラクターをご覧あれ。
取材・文/坂本恵
オノ・ナツメが「ハイスコアガール」を、押切蓮介が「ACCA13区監察課」を執筆! 全く作風の異なる2人がお互いのキャラクターをそれぞれのテイストで描いていく模様を、動画でお届けする。
Q1お互い、キャラクターを交換して描いてみた感想を教えてください。
押切蓮介:イケメンを描く機会があんまりなかったので楽しかったですよ。シュッとした、黒スーツが似合う男を描くのは大好きなので。ただ40歳くらいのオッサンというのは難しかったですね。僕がそういう人を描くと、もっとシワだらけになっちゃうんで。
Q2お互いの作品や画風で「自分は真似できないな」と思うところは?
オノ・ナツメ:どこをどうとっても真似できないです(笑)。私、「ハイスコアガール」が本当に好きなんですよ。やっぱりキャラクターがいいですよね。ハルオはかっこいいし、モテそう。大野さんを迎えに行ってホテルに泊まるところとかすごくよかったです。朝起きたらお互いに逆向きで寝てるんですよ。あれはかわいかったなー。
押切蓮介:鼻ですかね。オノ先生はピシッと鼻を描きますが、僕はそれができないので。あとはエロティズムですね。僕は目とか体のパーツでしかアピールできないけど、オノ先生のキャラは存在自体でエロティズムを感じるじゃないですか。抱かれてもいいなって女に思わせる力がありますよ。
Q3人物を描くときに気をつけていることを教えてください。
オノ・ナツメ:人物の見分けがつくようには気を付けてます。顔が見分けつかないから読めないって言われたときはショックでしたから(笑)。目とか、髪型とかに特徴をつけたり。いままでは時代ものが多くてみんなマゲだったんですけど、「ACCA」は髪型も触れるので。まあ服装はまた、みんな制服で同じなんですけど。
押切蓮介:やっぱり目ですね。大体読者って無意識に目を見るんですよ。いきなり胸を見る人はあんまりいないじゃないですか。なので、感情を込めるところは込めて、込めないところはまったく込めないという感じで使い分けてはいますね。昔は一本線で描いてそれで終わりだったんですけど、最近は何重にも線を重ねて描いています。誰かに「女の子のキャラにはちゃんと化粧をさせろ」と言われたことがあるんですよ。例えるなら僕はアイドルのプロデューサーなのに、女の子にまったく化粧をさせないで舞台の上に上がらせてたんですね。それは確かにかわいそうだなと思いまして。
Q4お互いにメッセージをお願いします。
オノ・ナツメ:「ハイスコアガール」大好きです。個人的に描くことはできますけど、こうやって公式にキャラクターを描かせていただける機会をいただくことはなかなかないのでてうれしいです。緊張しましたけど、勉強にもなりました。
押切蓮介:オノ先生がお酒好きと聞きました。最近僕は日本酒をたしなむようになったのでお勧めのお酒を教えて欲しいです。
月刊ビッグガンガン2013 Vol.12 ラインナップ
[表紙&センターカラー]オノ・ナツメ「ACCA13区観察課」
[新連載巻頭カラー]ゴツボ☆マサル「Romsen・Saga」
[新連載センターカラー]原作:加藤実秋(集英社文庫「インディゴの夜」シリーズ) 作画:白木苺 構成・背景設定:中村朝「インディゴの夜」
[センターカラー]原作:小林立 作画:五十嵐あぐり「シノハユ」
[センターカラー]いちかわ暖「小南正太郎、家から出るをはじめました。」
[センターカラー]勇人「シスプラス」
[センターカラー]原作:桜庭一樹 著『伏 贋作・里見八犬伝』(文春文庫刊) 作画:hakus 脚色構成:続真琴「伏 少女とケモノの烈花譚」
[巻末フルカラー]ダ・ヴィンチ・恐山「くーろんず」
13区に分かれた世界にある、巨大統一組織ACCA(アッカ)。ACCA本部の監察課副課長ジーン・オータスは「もらいタバコのジーン」の異名を持つ、組織きっての食えない男。そんなジーンに起こる異変、謎の影……。世界の陰謀が、ジーンを絡め取ろうと動き出す――!! 属さず従い、あくまで洒脱に……。オノ・ナツメが描く、組織に生きる男たちの粋様(いきざま)。
オノ・ナツメ
2003年、COMIC SEED!(ぺんぎん書房)にて「LA QUINTA CAMERA」でデビュー。ヨーロッパの雰囲気を上手に切り出した、小粋でアンニュイな人間模様を描き人気を博す。2009年に代表作「リストランテ・パラディーゾ」がテレビアニメ化、続いて2010年に「さらい屋五葉」がTVアニメ化される。月刊IKKI(小学館)にて「ふたがしら」を、月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて「ACCA13区監察課」を連載中。そのほかの著書に「つらつらわらじ」「GENTE(ジェンテ)」「逃げる男」「COPPERS」などがある。
『ポリゴン』って知らねーの…!? そんな3D絶頂期だった古き良き格闘ゲーム乱立の1995年。クレーンゲームとプリントシール機が徐々に増えゆく場末のゲーセンを、彼女は遠く眺めていた──。5巻には、前巻で好評を博したアレンジミュージックCDが付属する初回限定特装版も。第2弾となる今回は「源平討魔伝」や「ワルキューレの伝説」など、バンダイナムコゲームスの楽曲を収録する。
特装版付属CD 収録内容
- 〈ミュージックラインナップ〉
- 「源平討魔伝」「ワルキューレの伝説」「スプラッターハウス」「ドラゴンスピリット」「オーダイン」
- 〈参加アーティスト〉
- HARDFLOOR / Mijk Van Dijk / Orland / RatsoN(The Future Ratio) / LCA
押切蓮介(おしきりれんすけ)
1979年9月19日生まれ、神奈川県川崎市出身。1998年に、ヤングマガジンにて「マサシ!!うしろだ!!」でデビューし、「でろでろ」などホラーギャグの分野で人気を博す。代表作に「ミスミソウ」「椿鬼」「ピコピコ少年」など。現在は月刊少年シリウス(講談社)にて「ゆうやみ特攻隊」、漫画アクション(双葉社)にて「焔の眼」を連載。月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)では、格闘ゲームを題材にした青春作品「ハイスコアガール」を連載している。
オノ・ナツメ:女の子は特に難しいですね。こんなにかわいい子を描いたことがないので(笑)。どうしたら大野さんらしさを出せるのか四苦八苦しました。つかみどころがないんだけど、全然ないわけでもないという。描き慣れないものを描かせていただいて、貴重な機会でした。