2018年10月から12月までオンエアされた第1期を経て、4月から第2期「BAKUMATSUクライシス」の放送を控えているTVアニメ「BAKUMATSU」。原案となる女性向け恋愛ゲームと登場キャラクターは共通でありつつも、タイムスリップ冒険活劇へと大胆にアレンジされた“もうひとつの幕末”は、男同士の熱いぶつかり合いやちりばめられた歴史ネタはもちろん、ツッコミどころの多さもポイントの1つのようで……!? コミックナタリーではメインキャストより主人公・高杉晋作役の中村悠一、その相棒となる桂小五郎役の江口拓也を迎えて第1期を振り返りつつ、本作アニメプロデューサーの解説も交えて「BAKUMATSU」の楽しみ方を紐解いていく。
取材・文 / はるのおと
喜怒哀楽あらゆる「晋作」をお届けしました(江口)
──先ほど今月2月27日発売の「イキザマコンプリートBlu-ray」に収録される音声特典のキャストコメンタリーを収録されていましたが、改めて「BAKUMATSU」第1期を振り返ってどんな作品だと思いますか?
江口拓也 原案が恋愛ゲームでありつつ、アニメは恋愛要素はゼロでしたよね。男同士の熱いぶつかり合いが見どころの作品になっていて、“外伝”という言葉の定義を考えたくなりました(笑)。
中村悠一 「アニメはゲームとは少し違う方向性になる」とは聞いていたけど、台本が届くとまあ全然違う(笑)。ゲームユーザーが観たときにどう感じるかは楽しみでした。
──確かに、アニメだけ観ると原案が恋愛ゲームだと気付かないくらいの作品でした。江口さんは2018年11月に行われたトークイベント(参照:「BAKUMATSU」桂役の江口拓也、「晋作」連呼でゲシュタルト崩壊引き起こす)に出演されていましたが、お客さんの反応を直に見られていかがでしたか?
江口 「この作品はツッコミどころを見つけるのが重要」という話をしたら、みんな「だよね」というリアクションをしていて。アニメならではの楽しみ方の1つをわかってくださっているようでした。
──これだけ路線が変わると、同じキャラクターでも演技を変えるのでしょうか。
中村 当然変えなければいけないですよね。同じカッコいい高杉晋作と言っても、ゲームは恋愛劇でアニメは活劇だから、演技がイコールにはなりづらい。だから1~2話のアフレコを通じて、アニメスタッフと一緒にアニメではどう晋作を演じるか調整しました。
江口 あと、アニメだとほかのキャラクターとの絡みもありますからね。桂は基本的に晋作に引っ張りまわされてあたふたしてることが多かったので、原案ゲームの桂で感じていた堅いイメージからだいぶ柔軟になりました。
──「BAKUMATSU」において2人はダブル主人公みたいな扱いのはずなのに、桂は高杉の尻拭いをしてばかりでしたよね。
江口 拭っているかすら怪しい(笑)。
中村 見ていただけよ、晋作の尻を見ていただけ(笑)。吉田松陰先生の門下として、彼の遺志を継いで2人で同じ方向に歩むのかなと思っていたけど、結局晋作だけが突っ走っちゃった。
──第1期を観直して数えてみたのですが、桂が「晋作」と40回以上呼んでいる一方で、高杉が「桂」と呼ぶのは10回ほどでした。
江口 少ない(笑)。
中村 そんなに「桂」って言わないですか。なんなら「無限斎」とか「松陰先生」のほうが言っているかもしれない。
江口 僕はもう、喜怒哀楽あらゆる「晋作」をお届けしましたよ。第1話の台本をいただいた時点で、この“晋作言いすぎ問題”をどう処理するか考えていました。あまりにも多すぎるから最初は削ろうとしていたんですけど、途中で「待てよ、多すぎるのはもしかして狙いなのでは」と思い、そのまま演じていたら後日行われたイベントのクイズコーナーで「第1話で何回呼んでいるでしょう」なんて質問でイジられて。「BAKUMATSU」はわざとツッコミどころを用意しているんだと確信しました。
ツッコミどころ1:ファッションが奇抜
──では、ここからはそんな「BAKUMATSU」のツッコミどころについて、和田薫プロデューサーの解説を交えつつ語っていただきます。
江口 僕は各キャラクターの奇抜な衣装について伺いたいんですけど……。高杉とか胸の部分が空いていますし。
和田薫 高杉の衣装の胸部の切り込みは、第1期の渡辺正樹監督が入れました。元々はなかったんですけど目を引く部分を作りたいと、「『キューティーハニー』みたいでいいだろう」って。
中村 やっぱり主人公はそこにワンポイント必要でしょう。「ウルトラマン」のカラータイマーだってそうだし。
江口 その一方で桂は厚着です。肌出しNGなのかな。
和田 桂はあえて着込んでもらいました。西洋の海賊のようなイメージです。
江口 真冬でも大丈夫そうですね。その点、坂本龍馬とか寒そうだし。
中村 半裸だからね。露出狂なのかも。
和田 龍馬は「服を描かないほうが作画しやすくなるのでは?」と衣装の面積を小さくしたんですけど、その分、筋肉を描くのが大変になりました。
──(笑)。「BAKUMATSU」は髪に入るハイライトがキャラクターごとに違っているのも印象的でした。
和田 これも渡辺監督が「ほかのアニメと違うことをしたい」ということで、それぞれの家紋をイメージしたものを入れました。
江口 毎回描くのが大変そう。
和田 はい。全員違うので、現場は大変です。ただ、沖田総司は帽子を被っているからよく見えないんですけどね。
ツッコミどころ2:困惑するほど頑丈な晋作
中村 僕は晋作が頑丈すぎるのが気になっていて。
──高杉は事あるごとに高所から落ちますよね。でもどんなに高いところから落ちても傷ひとつない。
中村 僕も困惑するんですよ。真面目に演じるつもりなのに「これはギャグアニメなのかな」「もう斬られることすら気にしなくていいのかな」って(笑)。2話で巨城スサノオのすごく高いところから落ちたのに、特にリアクションもなく普通に生きていて。「どういうことやねん!」っていう。
──高杉が頑丈なのは何か設定があるのでしょうか?
和田 特には……2話に関しては、シナリオが完成したあとに巨城スサノオの美術設定ができたんですけど、思ったより巨城スサノオが大きくなっていたんです。もう少し安全に落ちるつもりだったんですが。
中村 なるほど。でも城から追い出すにしても、床が抜け落ちて下水に落ちるとかでもいいじゃないですか。
江口 そこはやっぱりダイナミックに演出したいからでしょう。
和田 無限斎の強大な力を見せることを考えた結果、ああいう形になりました。
中村 9話で飛行船から拘束されたまま落ちたときも、次の話で平然と出てくるし。せめてパラシュートくらいあればピンピンしていても不自然じゃないんですけどね。
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ツッコミどころ3:巨城スサノオの警備がザルすぎる
- TVアニメ「BAKUMATSUクライシス」
- 放送情報
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TBS:2019年4月4日(木)より毎週木曜日25:58~
BS-TBS:2019年4月6日(土)より毎週土曜日26:30~
AbemaTV、ニコニコ動画にて先行配信
- スタッフ
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原案:「恋愛幕末カレシ~時の彼方で花咲く恋~」(フリュー)
監督:サトウ光敏
シリーズ構成:横谷昌宏
アニメキャラクター原案:夏生
アニメキャラクターデザイン:島村秀一
美術監督:佐藤豪志
色彩設計:桂木今里
撮影監督:下崎昭
編集:小池祐樹
音響監督:藤野貞義
音楽:川﨑龍、坂部剛
アニメーション制作:スタジオディーン
- キャスト
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高杉晋作:中村悠一
桂小五郎:江口拓也
坂本龍馬:三木眞一郎
岡田以蔵:松岡禎丞
土方歳三:染谷俊之
近藤勇:佐藤拓也
沖田総司:代永翼
斎藤一:多田啓太
徳川慶喜:鈴木達央
山崎烝:八代拓
帝:武内駿輔
晴明:中島ヨシキ
- TVアニメ「BAKUMATSU」|TBSテレビ
- TVアニメ「BAKUMATSU」公式 (@BAKUMATSU_info) | Twitter
- TVアニメ「BAKUMATSU」イキザマぶろぐ
- TVアニメ「BAKUMATSU」公式LINE@
© FURYU/BAKUMATSU製作委員会
- 「BAKUMATSU
イキザマコンプリート Blu-ray」 - 2019年2月27日発売
発売:フリュー / 販売:オーバーラップ -
[Blu-ray] 16178円
OVXN-0051
- 収録話数
1話~12話
- 仕様
アニメキャラクター原案:夏生描き下ろしジャケット
- 封入特典
巨城スサノオ謹製リーフレット
- 映像特典
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- BAKUMATSU先行上映会(2018年9月23日開催)ダイジェスト映像(出演:江口拓也 / 染谷俊之)
- ノンクレジットOP&ED
- PV集
- 番宣&CM集
- 音声特典
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- 第3話:キャストコメンタリー
(高杉晋作役:中村悠一&桂小五郎役:江口拓也) - 第7話:キャストコメンタリー
(高杉晋作役:中村悠一&桂小五郎役:江口拓也)
- 第3話:キャストコメンタリー
- ゲーム特典
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アプリ「恋愛幕末カレシ~時の彼方で花咲く恋~」の中で貰える!
- ①限定「まめカレセット」アバター(土方、桂、近藤、龍馬、帝、慶喜)
- ②限定“スペシャルボイス付き”描き下ろしストーリー
- 原案ゲーム
「恋愛幕末カレシ~時の彼方で花咲く恋~」 - 配信中 / フリュー株式会社
- 中村悠一(ナカムラユウイチ)
- 香川県出身、2月20日生まれ。シグマ・セブン所属。主な出演作は「CLANNAD」シリーズ(岡崎朋也役)、「機動戦士ガンダム00」シリーズ(グラハム・エーカー役)、「おそ松さん」(松野カラ松役)など。
- 江口拓也(エグチタクヤ)
- 茨城県出身、5月22日生まれ。81プロデュース所属。主な出演作に「魔界王子 devils and realist」(ウイリアム・トワイニング役)、「俺物語!!」(剛田猛男役)、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」(比企谷八幡役)など。