「バビル2世 《オリジナル版》」 PR

「バビル2世 《オリジナル版》」ゆうきまさみインタビュー|「横山光輝先生はずっと僕の憧れ」名作の1つを、雑誌連載時より約48年ぶりに読み返す 描き下ろしイラストも!

横山光輝「バビル2世」が、復刊ドットコムより全8巻の《オリジナル版》として復刻。3月中旬より順次刊行されており、最新2巻が5月中旬に発売される。

これを記念し、コミックナタリーでは横山のファンを公言するマンガ家・ゆうきまさみにインタビューを実施。横山作品では「鉄人28号」「伊賀の影丸」が好きだと挙げるゆうきに、雑誌連載時に読んでいたという「バビル2世」を再び手に取ってもらった。「やっぱり面白い!」と唸りながら、ゆうきが言及するストーリーテリングやキャラクターの魅力とは? 特集の最後には、ゆうきの描き下ろしイラスト「ぼくの好きな『バビル2世』」も掲載しているのでお見逃しなく。

取材・文 / 加山竜司 撮影 / 佐藤類

作品紹介

ごく普通の中学生・浩一は、この頃毎晩同じ夢を見るようになった。ある日、天からやってきた使者が浩一を「バベルの塔」の遺跡まで連れ去って……。5000年前に地球にやってきた宇宙人・バビルの遠い子孫で、超人的な能力を受け継いでることが判明した浩一。“バビル2世”として三つのしもべを従え、宇宙征服を企む悪の帝王・ヨミに立ち向かう。

ポイント1
バビル2世の強さが圧倒的!

超人的な体力や感覚力に加え、テレパシーや変身能力などあらゆる超能力を使いこなすバビル2世。さらには三つのしもべが彼を守るほか、身体が疲弊しても脅威のスピードで回復してみせる。敵のヨミは最大限の知恵と不屈の精神力、大勢の部下をもってバビル2世に挑む。

「バビル2世 《オリジナル版》」1巻より。
「バビル2世 《オリジナル版》」1巻より。
「バビル2世 《オリジナル版》」1巻より。
ポイント2
まさか、敵が何度も生き返る…?

4部構成の「バビル2世」において、ヨミは3回死んでしまう。しかし毎回なんらかの要因によって生き返り、バビル2世に新たに立ち向かう。その必死さと、決して諦めないヨミの姿に、敵役ながら感情移入してしまう読者も多いはず。

ゆうきまさみインタビュー

男子は「鉄人」、女子は「アトム」横山マンガに憧れた少年時代

──ゆうき先生は熱烈な横山光輝ファンとして知られていますが、横山作品との出会いをお教えください。

ゆうきまさみ

僕は小さい頃に、少年(光文社)を買っていまして、出会いというとそこですね。少年は「鉄人28号」と「鉄腕アトム」が二枚看板だったんです。

──そこで手塚治虫ではなく、横山光輝のほうを好きになった理由は?

当時の風潮としては、男子は「鉄人」、女子は「アトム」だったんです。ほら、手塚さんの絵は色っぽいでしょう? だから女の子はみんな「アトム」が好きでしたね。それから週刊少年サンデー(小学館)では「伊賀の影丸」を読んでました。僕は昔からサンデーっ子なんです(笑)。

──「伊賀の影丸」というと連載されていたのは1960年代序盤から中盤ですから、忍者マンガブームの頃ですね。

そうそう、少年には白土三平の「サスケ」が載っていた時期でした。あとは週刊少年マガジン(講談社)を友達に借りて、「コマンドJ」を読ませてもらっていましたよ。そう考えると、「鉄人28号」や「伊賀の影丸」が単体で好きだったというよりは、もうすでに小学生の頃に横山光輝という作家をハッキリと意識して追いかけていたんでしょうね。

──ゆうき先生のお好きな横山作品は?

やっぱり「鉄人28号」と「伊賀の影丸」です。もう本当に何度も読み返したから、セリフをソラで言えるくらいに記憶していましたよ。絵柄に関して言えば、「伊賀の影丸」の後期の絵柄が個人的には好きです。小学生の頃、マンガを描いて、友達と回し読みするような冊子を作ったこともあるんですけど、そのときに横山先生の絵を真似て描いていました。「バビル2世」のコマを例にしますけど、こういう大きなコマを使った動きのあるシーンは「伊賀の影丸」にもあって、よく真似しましたねえ。

「バビル2世 《オリジナル版》」1巻より。東京の街で、ヨミの部下を追いかけるバビル2世。
「バビル2世 《オリジナル版》」1巻より。東京の街で、ヨミの部下を追いかけるバビル2世。

──いわゆる肉筆回覧誌ですか?

小さい頃はマンガ家になろうなんて思っていなかったから、そんなたいそうなものじゃないけどね。あと横山先生の絵と言えば、キャラクターの肘ですよ! 肘が直角に曲がっているのは横山マンガの特徴だから、ぜひ皆さんも横山作品の中で見つけてください(笑)。僕はこの肘の曲げ方が格好いいと思って真似していたんだけど、子供ながらにお互いの作品を批評しあったら、友達から「お前の描く絵は硬いよ」って言われちゃいました。小学生は愉快ですね(笑)。

バビル2世 《オリジナル版》」1巻より。4コマ目で、ヨミの部下の肘が直角に曲がっている。

──ものすごく影響を受けたんですね。

はい、僕がデフォルトで“先生”をつけるマンガ家は3人います。1人は、アシスタントに入ったことがある新谷かおる先生。あとの2人は、マンガ家になる前に影響を受けた小澤さとる先生と横山光輝先生です。この3人が僕にとっての三大マンガ家ですね。横山先生の影響で、今でも時々「忍者マンガを描きたいなあ」と思ったりしますよ。現実的には難しいんですけど、それだけ横山マンガに対する憧れのようなものがあるんです。

頭脳戦の面白さとストーリーテリングの巧みさ

──このたび復刊ドットコムから、「バビル2世 《オリジナル版》」の刊行がスタートしました。ゆうき先生と「バビル2世」との関わりを教えてください。

週刊少年チャンピオン(秋田書店)の連載当時にリアルタイムで読んでいました。僕はアニメ版は観ていなかったから、「バビル2世」といえば、マンガの記憶しかありません。でも、マンガ家としてデビューしてからは、あまり読み返す機会がなかったんです。やっぱり自分がマンガ家になると、他人の作品よりも自分の作品に愛情を注ぐようになっちゃいますからね。そういう意味では、僕は“作家にとっての”いい読者ではないかもしれない。

──今回、再読していただいたそうですが、いかがでしたか?

うーん……やっぱり面白いですね!

──具体的にはどういったところでしょう?

「バビル2世」7巻(少年チャンピオン・コミックス版)より。

まず圧倒的にバトルが面白い。相手との騙し合いというか、頭脳戦になっているんですよ。「バビル2世の危機」の回で、バビル2世がヨミ様の放ったRRFロボットと戦うシーンがいい例ですね。敵ロボットに手を焼いたバビル2世が、三つのしもべのうちロプロスを呼び寄せるんですけど、そのときにヨミ様が「ロプロスの降下地点にミサイルの照準を合わせろ」って言うんですよ。「その降下地点にバビル2世がいるに違いないんだ」と。彼らは、常に相手の一手二手先を読みあって戦うんです。あとは、バビル2世に仕えてるはずの三つのしもべがヨミ様に操られてしまう描写もありました。「鉄人28号」でも小型操縦機が敵に奪われるシーンがありましたけど、主人公の武器が敵の手に渡るような仕組みになっているところも、頭脳戦を盛りあげる要素になっていますね。少年マンガのバトルシーンといえば、通常であればアクションに注目しがちなんですけど、こういった心理戦になっているところが「バビル2世」の魅力じゃないかと思います。

「バビル2世 《オリジナル版》」1巻より。 飲酒運転をしていた男女の車は、前を走っていたトラックに突っ込み大破。トラックを運転していたのは、ヨミの人体改造計画を手伝っていた部下だった。

──なるほど。まず「バトルの頭脳戦が面白い」と。

それからストーリーテリングが巧みですねえ。なんてことない小さな事件からストーリーが始まるんですよ。(《オリジナル版》の1巻を見ながら)ここの「恐怖の改造人間」の回は、冒頭で飲酒運転しているカップルが交通事故を起こしますよね。これ自体は小さな事件なんですけど、その裏で密かに組織の企みが進行していて、大事件へと発展していく。小さな事件から、大事件へ。こういった話の転がし方は「うまいなあ」と思います。とても参考になるし、僕は大好きです。

横山光輝「バビル2世 《オリジナル版》」
発売中 / 復刊ドットコム
横山光輝「バビル2世 《オリジナル版》」

全8巻の購入はこちらから
税別46000円

復刊ドットコム

週刊少年チャンピオン(秋田書店)で1971年から1973年の約2年半にわたって連載され、1973年にはTVアニメ化も果たした「バビル2世」。同作を雑誌初出時の体裁で再現する《オリジナル版》 全8巻の刊行が、2019年3月にスタートした。

《オリジナル版》は雑誌連載時と同じB5サイズで、単行本未収録の計33ページ分も収録。各巻末には横山による創作のこだわりを考察した図説が掲載される。復刊ドットコムで全巻まとめて購入した人には、特製ポスター、複製原画セット、クリアファイルといった3大特典も用意された。

1巻

税別5750円 / 発売中

2巻

税別5750円 / 2019年5月中旬

3巻

税別5750円 / 2019年7月中旬

4巻

税別5750円 / 2019年9月中旬

5巻

税別5750円 / 2019年11月中旬

6巻

税別5750円 / 2020年1月中旬

7巻

税別5750円 / 2020年3月中旬

8巻

税別5750円 / 2020年5月中旬

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横山光輝「マーズ《オリジナル版》」
発売中 / 復刊ドットコム
横山光輝「マーズ《オリジナル版》」

全3巻の購入はこちらから
税別18600円

復刊ドットコム

横山光輝(ヨコヤマミツテル)
横山光輝
1934年6月18日兵庫県生まれ。1955年、東光堂より貸本「音無しの剣」で単行本デビュー。翌年に少年(光文社)にて「鉄人28号」を連載開始。一躍人気作家となる。同作は1960年以降アニメ化や映画化、特撮化されるなど多メディア展開がなされた。以後も1966年にりぼん(集英社)にて「魔法使いサリー」、同年週刊少年サンデー(小学館)に「仮面の忍者赤影」、1967年には同誌にて「ジャイアントロボ」とヒット作を連発。いずれもアニメ、実写化されている。1967年に希望ライフ(潮出版社)にて「水滸伝」を連載し、1972年からは同誌にて「三国志」をスタート。長期連載となる。1991年、「三国志」にて第20回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。一方では1971年に週刊少年チャンピオン(秋田書店)にて「バビル2世」を連載し、大人から子供まで広い層に人気を博した。1994年にコミックトム(潮出版社)にて「殷周伝説」を連載。連載途中、心筋梗塞で入院し休載となったが、翌年に復活。連載終了後の2004年、自宅での火災のため4月15日に69歳で死去。
ゆうきまさみ
ゆうきまさみ
1957年12月19日北海道生まれ。1980年、月刊OUT(みのり書房)に掲載された「ざ・ライバル」にてデビュー。同誌での挿絵カットなどを経て、 1984年、週刊少年サンデー増刊号(小学館)に掲載された「きまぐれサイキック」で少年誌へと進出。以後、1988年に「究極超人あ~る」で第19回星雲賞マンガ部門受賞、1990年に「機動警察パトレイバー」で第36回小学館漫画賞受賞、1994年には「じゃじゃ馬グルーミン★UP!」と立て続けにヒット作を輩出する。また1985年から月刊ニュータイプ(角川書店)にて連載中であるイラストエッセイ「ゆうきまさみのはてしない物語」(角川書店)などで、ストーリー作品とは違う側面も見せている。2012年には、1980年代より執筆が続けられていたシリーズ「鉄腕バーディー」を完結させ、その後も現代の吸血鬼”オキナガ”を描くミステリ「白暮のクロニクル」、凸凹兄妹マンガ家コメディ「でぃす×こみ」と話題作を執筆。現在、月刊!スピリッツ(小学館)にて「新九郎、奔る!」を連載中。
ゆうきまさみ最新作「新九郎、奔る!」
横山光輝「マーズ《オリジナル版》」