コミックナタリー Power Push - 高田慎一郎「放課後アサルト×ガールズ」

ミリタリー好き上坂すみれと紐解くゲーム的な物語

COMICメテオにて連載されている「放課後アサルト×ガールズ」は、異形の存在・イヨガミとの戦闘が繰り広げられる異世界に飛ばされた、40人の女子高生が織りなすミリタリーアクション。少女たちは元の世界へ帰るため、不思議なコンパクトを使って米軍装備の兵士に変身し、イヨガミとの戦いに身を投じていく。

コミックナタリーでは同作の特集として作者の高田慎一郎と、9月に発売された2巻の帯にコメントを寄せ、CMのナレーションも担当した声優の上坂すみれによる対談をセッティング。ミリタリー好きの上坂から見た「放課後アサルト×ガールズ」の魅力や、2人の兵器に対する愛を大いに語ってもらった。

取材 / 成松哲 文 / 宮津友徳 撮影 / 上山陽介

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高田慎一郎×上坂すみれ対談

「この世界に行ってみたい」と思えちゃう絶妙な楽しさ

──今回は高田先生と、「放課後アサルト×ガールズ」2巻の帯にコメントを寄せた上坂すみれさんに集まっていただきました。おふたりともミリタリー趣味をお持ちなんですよね。

左から高田慎一郎、上坂すみれ。

高田慎一郎上坂すみれ はい。

──そこでまずは上坂さんに「放課後アサルト×ガールズ」という作品をミリタリー好きの視点で切り取っていただきたいんですけど……。

上坂 そうだなあ。第二次世界大戦時の米軍装備で戦うっていう本格的なミリタリー要素も強いんですけど、シリアスすぎないですよね。普通の女子高生が異世界に行っちゃうっていうところだったり、「3回までは死ねる」っていう設定であったりゲームっぽい要素が多いし、実際、作中に「ゲームみたいでオモシロイ」ってセリフもあったり。生死を懸けた戦いの物語ではあるんですけど「この世界に行ってみたい」と思えちゃうような、絶妙な楽しさがあるなと思いました。どういうきっかけで、こういう設定になったんですか?

突撃兵には1日につき3つの命が与えられる。

高田 ミリタリー好きとしてはヘタレな話なんですけど、血を見せたくないというのが最初にあって。自分自身が苦手ということもあり「敵が生身だったらイヤだな」「女の子に人殺しさせるのはキツいな」とか、いろいろと考えていったら今の形になりました。10年くらい前にゴア表現(残虐な流血描写)のキツいマンガを描いていたんですけど、当時から「ちょっとやりすぎたな」という反省もあったので、それ以来グロとか血は抑えるようにしてるんです。

上坂 確かに女の子たちが被弾しても、血が出るわけじゃなくて「シールドアウト」って表示されるだけなのもいいなって思いました。

──前線で戦う突撃兵や、爆破や建築を担当する工兵、狙撃や索敵などを行う偵察兵など、ヒロインたちがそれぞれ希望のものを選ぶと、その兵科に応じて「3回までは死ねる」とか残りライフが設定されるうえに、装備は目に見えないシールドで守られている。被弾してもいきなりダメージを受けはしないから、グロい展開はあまりないですよね。

上坂 アニメになってもモザイクだらけにならない。TOKYO MXに優しい作品だと思います。

高田 アニメ化されるといいんですけどねえ(笑)。

異世界に飛ばされた綾子たちは、謎の兵士の襲撃を受ける。

上坂 あと「戦場では死の恐怖より殺人へのストレスが勝る」っていうフレーズがありましたけど、確かにその通りなんですよね。「放課後アサルト×ガールズ」に出てくるような土塊のゾンビなら、躊躇なく攻撃できるかなっていう気がしますし、あの土塊の敵は、ある意味ありがたい奴だなって思います。

高田 ありがたい奴(笑)。

──ヒロインたちを攻撃こそすれ、人間性は奪わないから、ありがたい(笑)。

高田 でも物語の屋台骨の話になってしまうので詳しくは言えないんですが、実は作中で「人間と戦うのかも」っていう前振りもしてたりするんですけどね。

上坂 実は今後ありがたくない奴が出てくるかもしれないんですね(笑)。

ゴア表現に耐性がなくても読めるミリタリー作品

──そういえば上坂さんはゴア表現にはあまり抵抗はないんですか?

上坂すみれ

上坂 いや、私もめちゃくちゃ苦手です。

──当然ながら先生や上坂さんが愛している兵器の向こうには「撃った、撃たれた」「殺すの殺さないの」の世界が広がってるわけですよね。

上坂 ところが切り傷とかですら見るのがダメなんですよ。

──でも、その傷を負わせるかもしれない兵器のことは愛でられる?

上坂 グロ描写とメカは別物です! メカに罪はないですから。

高田 そうですね。僕もこのあいだ「フューリー」という映画を観たんですけどゴア表現だらけで、「うわー」ってなりましたし。

敵に狙撃され、ひとつ命を失った綾子。

上坂 私も「イングロリアス・バスターズ」を観たときに、いきなり頭皮を削ぐシーンが始まって「いや、そういうのはさあ……」ってなりました(笑)。ゴア表現が苦手なミリオタのために「もうすぐグロテスクなシーンが始まります」っていうカウントダウンの付いたバージョンを作ってほしいですよね。

高田 パッと目をつぶれるように(笑)。

上坂 「シン・ゴジラ」みたいに発声可能上映をやってくれるのもいいですよね。「もうすぐグロいのがくるよ!」って叫んで教えてくれる人が隣にいれば心構えができるんですけど、1人で観るのはなかなか勇気がいりますから。その点「放課後アサルト×ガールズ」は、ゴア表現に耐性のないミリオタの人にもオススメできます。

泥臭さが米軍の魅力

──そもそもヒロインたちに第二次大戦時の米軍の装備をさせたのはどうしてなんでしょう。

突撃兵となった綾子の装備。

高田 ミーハーな話で「好きだから」としか言いようがないんですけど(笑)、当時の米軍って泥臭さがあって魅力的だったんですよね。

上坂 でも当時のソビエト軍の装備と比べると米軍はだいぶカッコよく見えますよ。やっぱり下には下がいるというか……。

──上坂さんのお好きなソ連の軍隊はもっと泥臭かったですか(笑)。

高田 でも実際のところ、当時のソビエトってめちゃくちゃ強かったみたいですね。

上坂 それは決死の覚悟があったからというか。前線の兵士には迫り来る敵兵に対するものだけじゃなくて、後ろに立ってる味方の政治将校から「前進しないと殺すぞ」とばかりに撃たれる危機感もあったからのような気がします(笑)。結局のところ数も多いし、武器も高性能だったので、米軍のほうが強かったし、カッコよかったんじゃないかなって思ってます。

ガーランドのモデルガンを見る高田慎一郎(左)と上坂すみれ。

高田 今日撮影用に米軍が使っていたガーランドのモデルガンを持ってきてもらいましたけど、これも薄くて軽いですもんね。

上坂 そうなんですよ。こんないい銃は当時の我が陣営にはなかなか……(笑)。自宅にソビエト軍が使っていたドラグノフとAKがあって、それは弾が入れられない美術品みたいな銃なんですけど、もう重くて重くて。

高田 確かにドラグノフやAKよりも高性能な武器が普及していたから米軍は強かったのかもしれないですね。

高田慎一郎「放課後アサルト×ガールズ(2)」 / 発売中 / ほるぷ出版
高田慎一郎「放課後アサルト×ガールズ(2)」
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高田慎一郎「放課後アサルト×ガールズ(2)」 / Kindle版 / 551円

ミリタリー×少女。
ときに真面目に、ときにゆるく。
高田慎一郎の描く、少女兵士たちのレジスタンス・ストーリー、第2巻!

消息を絶った仲間達を捜すアヤコたち。
負傷した彼女に、イヨガミが迫る……!!
第2巻では本格的な小隊行動も開始!
さらには第二次大戦の「あの地」をモチーフにした戦闘も勃発…!?

高田慎一郎(タカダシンイチロウ)
高田慎一郎

福岡県北九州市出身。月刊Gファンタジー(スクウェア・エニックス)にて、1995年に「神様のつくりかた。」で連載デビューを果たす。以降「シリウスの痕」「ククルカン 史上最大の作戦」「少女政府 ベルガモット・ドミニオンズ」などの作品を発表。2015年よりCOMICメテオにて「放課後アサルト×ガールズ」を連載している。

上坂すみれ(ウエサカスミレ)
上坂すみれ

ソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した1991年生まれの声優、アーティスト。小学生時代よりジュニアモデルとして活動し、2012年テレビアニメ「パパのいうことを聞きなさい!」の小鳥遊空役で本格的に声優デビューを果たす。以来、注目作に出演する一方でメディアやイベントなどを通じて、無類のロリータファッションマニア、ソ連・ロシアマニア、ミリタリーマニア、音楽マニアであることがファンの知るところに。そして2013年4月、その趣味の世界をダイレクトに反映したシングル「七つの海よりキミの海」でアーティストデビュー。その後も桃井はるこ作詞作曲の「げんし、女子は、たいようだった。」や、大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作曲の「パララックス・ビュー」など話題作を立て続けにリリースし、2014年1月には1stアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」を発表する。同年7月、及川眠子、サエキけんぞう、窪田晴男、谷山浩子らを作家陣に招いた4thシングル「来たれ!暁の同志」を、12月には5thシングル「閻魔大王に訊いてごらん」と自薦の80年代アイドルナンバーをコンパイルした「上坂すみれ presents 80年代アイドル歌謡決定盤」を発売した。2016年1月には丸2年ぶりとなる2ndフルアルバム「20世紀の逆襲」を、同年8月に7thシングル「恋する図形(cubic futurismo)」をリリース。12月には東京・両国国技館でワンマンライブを実施する。