スナックはキャラクターの宝庫

玉袋　「お笑いナタリー」っていうことは、お笑いファンが読んでるってことなんですかね。お笑いファンでありながらスナックにまだ行ってないっていうのはちょっと不幸だね、うん。スナックに行けば、そこらへんのお笑い芸人より面白い人がいっぱいいるわけ。キャラクターの宝庫だからさ。でもあれだよね、友近なんかママやったらすごいことになりそうだよね。まぁ、あいつなんかもうママだからな、芸能界の。

ママ　あははは（笑）。芸能界の。

玉袋　芸能界っていうのもスナックだからさ。友近はもういいママだよ。だからそこでいいマスターになりたいな、俺も。

ママ　玉さん、スナックとはどんな出会いだったんですか？

玉袋　スナックとの出会いはね、実家の家業がスナックだったってのがありますね。新宿で雀荘やってたんだけど、インベーダーが出てきて客を取られて店が傾きましてですね、侵略者にやられまして。で、中学2年のときにスナックを始めたんだよね。まぁ水商売はね、雀荘もそうだから軽い気持ちで始めたのかもしれないんだけど、その始めたスナックが普通のスナックじゃなくてホモの人が集まるスナックだったっていう。

ママ　ふふふふ（笑）。

玉袋　それを俺は最初知らなかったんだよ。スナックをやってるっていうのは知ってたんだけど。雀荘のときは、いつもお店に遊びに行ってお小遣いもらったりとかさ、ジュースとか飲み放題だから飲んでたんですよ。でもスナックになってからは、「もうあんまり来るんじゃない」って言われて。「夜の世界の人が多いから、危ないよ」って。なんてことはねぇ、ホモスナックだったっつうのは姉から聞いたんだよ。中学2年の美少年が行ったら食われちゃうもん。つまみ食いされちゃうっていう危機感からそう言ったんだろうね。「実はうちのスナックはスナックじゃないんだ。スナックだけどホモスナックなんだ」って言われたときの、俺のこの「ガーン！」っていう衝撃！ もうルークがダース・ベイダーから「お前の父親は俺だ」って聞かされたときぐらいの衝撃だったね。まぁ、うちの両親はノンケだけどね。「ノンケな父さん」なんて言われて。

ママ　あははは（笑）。

玉袋　そのスナックには、俺が大人になってからよく飲みに行ったりしてたのよ。お客さんにもかわいがってもらってたしね。結構会社の社長とかさ、いろんなお金持ちの人が来てたから。そういう人には一人暮らしするとき冷蔵庫買ってもらったりとかしてたんだよね。スナックっていいなっていうのは、その頃からあったね。

ママ　玉さんは、お酒毎日飲むんですよね？

玉袋　おぅ、俺、毎日飲んでるよ。

ママ　何年間でしたっけ？

玉袋　25年間。欠かしたことないから。衣笠より俺のほうが偉い。彼らシーズンオフあるだろ？ 俺シーズンオフないからさっていう。でもなんだろうね、やっぱりスナックには何か飛び込みで入らなきゃいけない理由があるんだろうね、自分も。なんか仕事で嫌なことあったとかさ。

ママ　うん。まったく違う場所だから？

玉袋　そう、それもあるね。別人になれるってのもあるし。で、そのときにたまたまあんま良い仕事できないで落ち込んで、「まっすぐ家に帰りたくねえな」って思ったときに入って、そのときにマスターに「大丈夫だよ」みたいな感じで言われて、「あっ、こりゃいいな」ってなったりね。みんな仕事してっから、俺の出てるテレビなんか見たこともねえって人も多いんだけどさ。でもなんか雰囲気で察してくれて、それなりの対応してくれるのがうれしくて、それを求めて行ってんじゃねえかな。