音楽ナタリー Power Push - ぜんぶ君のせいだ。

“患いさんをも食べ尽くす”快作完成

ぜんぶ君のせいだ。がニューシングル「僕喰賜君ノ全ヲ」(ぼくたべたもうきみのすべてを)を発表した。

前作「無題合唱」からわずか3カ月で届けられる今作は、ぜん君。とファンの関係性が歌われた表題曲「僕喰賜君ノ全ヲ」を含むアップチューン3曲入りの内容。着々と活動の規模を大きくしている彼女たちが新曲に込めた思いや、7月16日より実施される7都市ワンマンツアーに向けての意気込みを聞いた。

取材 / 古川朋久 文 / 倉嶌孝彦

私たちは欲しがり

──前回のシングルを発表したのが4月だったから、わずか3カ月で新しいシングルをリリースすることになりました。新しい楽曲を次々発表していく状況を、皆さんはどう感じていますか?

如月愛海 このスピード感に慣れてきています。

十字 どちらかと言うと新しい曲ができるのを楽しみにしてます! 私たちは欲しがりなんで(笑)。

ましろ ライブでの患いさん(ぜんぶ君のせいだ。ファンの総称)の反応を見ながら、けっこうダンスを変えることが多いんです。なので、常に新しいダンスを考えていますけど、そうやっていても「やっぱり新しい曲のダンスを踊りたいよね」って話をしますから。

──これまで発表してきた曲の中で、もっと育てていきたいと思う曲はどれですか?

如月 育てていきたいと言うか、永遠に自分の課題だなって思う曲が「ShitEndプラシーボ」って曲ですね。

ましろ あー、わかる。

如月愛海

如月 この曲を歌うときはいつも緊張します。曲中に「“何か”わからないものにINORIでも捧げてみるとしよう」っていうセリフがあるんですけど、それを言うたびに「この言葉を言うときの感情はこれで合っているのか?」って考えさせられるんです。簡単に言えばこの曲は「アイドルって大変だよ」ということを歌った曲なんですけど、いろんな経験とか感情を全部曲に乗せなきゃいけない気がしていて。もしかしたら私たちがアイドルである限り、ずっと課題であり続ける曲なのかもしれないですね。

 私は「ShitEndプラシーボ」で頭をガンガン振るのが好きなんですけど、「今日は患いさんと一体感が生まれたな」っていう日と、「今日はちょっと噛み合わなかったな」っていう日があるんです。私たちが完璧なパフォーマンスをするのがいいわけじゃなくて、患いさんとのテンションのぶつけ合いで、いいライブって生まれるものなのかなって思ってます。

一十三四 私は、最初にいただいた楽曲「ねおじぇらす✡めろかおす」をもっと育てられないかなって思っています。この曲にはかわいい感じと毒っぽいところ、要は私たちのコンセプト「病みかわいい」っていう要素がたくさん詰め込まれた曲なんです。ライブでもっと曲の世界観を豊かに表現できたら、私たちのことをもっとよくわかってもらえるんじゃないかなって。

──ユニットにとって最初の曲が、数年後にどういうふうに変化しているのか、想像するのは面白いですね。

一十三 今は笑顔で元気に歌って踊る曲としてパフォーマンスしてるんですけど、何年か経ったら「みんなありがとう。ここから始まりました」って言って泣きながら歌うときが来るかもしれない(笑)。

一歩を踏み出して「あなたを食べたい」

──今回リリースされるシングルの表題曲「僕喰賜君ノ全ヲ」はストレートに読み解くと片思いの気持ちを歌った曲ですが、深読みするともうちょっとダークな一面が見えてきます。

如月 片思いの気持ちを歌ったラブソングとしての解釈もあるんですけど、私たちと患いさんの関係性を歌っているところもあります。歌詞の中で「僕に成って 君に逢えた それが唯一の誇り」っていうのは、そのまま私たちと患いさんとの関係のことを表現してますし。

──前作「無題合唱」では “ぼっち”をテーマにしていましたが、今回は人との関わりを切望した曲になっていますね。

 前回よりも一歩踏み出しています。

成海5才

成海5才 ぜん君。っぽく一歩を踏み出してみたら「あなたを食べたい」ってことになっちゃいました(笑)。

ましろ 重くて変に思われるかもしれないけど、それが僕らっぽいかなって。

──歌詞の中でそれぞれ好きなところはどこですか?

一十三 さっき愛海が言ってた「僕に成って 君に逢えた それが唯一の誇り」っていう歌詞がすごく好きで。そのまま私のことだなって思うんです。ぜん君。に入る前は自信もなく生きてきたけど、アイドルをやるようになっていろんな経験を重ねて自信も付いてきたし、一十三四になれたことが唯一の誇りだなって私は感じてます。

 あざは「集え 全 僕のcell 荒ぶれり エモーショナル!」ってところにものすごく力を入れています! 私の細胞はもちろん、メンバーや患いさんも全員「集え!」って思って歌うんです。集ってくれ!って。

如月 そのあとにましろのパートが入るんですけど、あざの「集え!」に力が入りまくってるから、ライブではここだけ濃い目のミュージカルをやってるみたいになります(笑)。すごくカッコいいですよ。

 絶対観てほしいです。

如月 私は「忘れない君が存在する限りね」っていう歌詞がすごく好き。「僕喰賜君ノ全ヲ」は自分たちに向けた歌でありつつ、患いさんに向けた歌でもあるっていう思いがここに込められているんです。これまで会えた人たちのことを忘れちゃいけないなって思いますし、それだけじゃなくてライブに来れなくてもTwitterとかで応援してくれる人とか、そういう私たちを気にしてくださる人たちのことを忘れちゃいけないなって思うから。

ぜんぶ君のせいだ。全国7都市ワンマンツアー~僕喰賜君達ノ全ヲ~
  • 2016年7月16日(土)広島県 HIROSHIMA BACK BEAT
  • 2016年7月18日(月・祝)大阪府 心斎橋CLUB DROP
  • 2016年7月23日(土)愛知県 SPADE BOX
  • 2016年7年30日(土)福岡県 Queblick
  • 2016年8月7日(日)北海道 KLUB COUNTER ACTION
  • 2016年8月8日(月)宮城県 enn 3rd
  • 2016年8月20日(土)東京都 新宿LOFT
ぜんぶ君のせいだ。(ゼンブキミノセイダ)
ぜんぶ君のせいだ。

如月愛海(きさらぎめぐみ)、成海5才(なるみごもち)、ましろ、十字(もげきあざ)、一十三四(ひとみよつ)の5人からなる「病みかわいい」をコンセプトにしたアイドルユニット。2015年7月に1stシングル「ねおじぇらす✡めろかおす」を発表し、同年10月に愛知・CLUB Zionにて単独公演を開催。初ライブにしてソールドアウトを記録した。2016年には1月に1stアルバム「やみかわIMRAD」、4月にシングル「無題合唱」、7月にシングル「僕喰賜君ノ全ヲ」をリリース。また同年7月よりグループ最大規模となるワンマンツアー「全国7都市ワンマンツアー~僕喰賜君達ノ全ヲ~」を開催する。