ナタリー PowerPush - 悠木碧

新社会人・悠木センパイのキュートで素っ頓狂なアドバイス

たぶん応援なんかしていない応援歌

──その歌ってる内容なんですけど、さすが“天使っぽい何か”。一見、運命に抗おう!って人生の応援歌っぽいことを言ってるんだけど……。

たぶんこの子、応援なんかしてないと思いますよ。

──おっしゃる通り、言ってることがいちいち雑だし、ヒドいんですよ(笑)。例えば2コーラス目では「この戦いの後」、愛する人に「想い伝える」んだって宣言している「オトコ気なカレ」に向かって「幸運は微笑まない バイバイ」。つまり「この戦いの後」云々は死ぬ運命にある人の定番のセリフ、いわゆる“死亡フラグ”だから、お前早晩死ぬよ、と。

悠木碧「クピドゥレビュー」ビデオクリップのワンシーン。

なので「つか全部 折っちゃえばいいじゃん♪」って、死亡フラグを折ること、運命を裏切ることをすごく無責任にオススメしてみました(笑)。「諦めなければなんとかなるよー。……たぶん」って。

──作詞家の藤林聖子さんには「次のシングルでは無責任なアドバイスをしたいです」っていうリクエストを?

ふふふふふ(笑)。一応この子には設定があって。「クピドゥレビュー」の世界には“天使っぽい何か”がいろんなところにいて、それぞれいろんな仕事をしているんですけど、この子は人間の運命を観察してフラグを回収する仕事をしてるんです。

──歌い出しの「宇宙はシアター 見下ろす地球をズームアップ」は世の中を観察しているイメージ?

まさにまさに。この子は通常盤のジャケットのようなテレビがいっぱいある部屋で、そこに映し出されるいろんな人の運命を眺めていて。で「シナリオ通りフラグが折れた! ラッキー」とか「フラグが立っちゃうと回収するの面倒くさいのにー!」とかグダグダ言ってる子なんです(笑)。

地面に埋めてそのまま忘れちゃう感じ

──といったことを藤林さんに伝えた結果、このヒドい人が……。

生まれちゃいました(笑)。“死亡フラグ”みたいな、ネットスラング的に「フラグ」と呼ばれているものをとにかく大量に盛り込んでくださいっていうことと、テンポをよくしたいので語数をメッチャ増やしてくださいってことと、あとは、人を俯瞰している印象の歌詞にしてくださいってお願いさせてもらいました。

──俯瞰にこだわったということは、この“天使っぽい何か”は人を困らせるために無責任なアドバイスをしているわけではない?

人に対して敵意があるわけでも、愛情がまったくないわけでもないですね。“天使っぽい何か”なだけに人よりは長生きしているし、いろんなことを知っていて。「運命に流されたりするのってくだらないよ」っていうことを誰よりも知ってるから、それを教えてあげるくらいの愛情は持っているつもりというか。……なんて言えばいいんだろう。縁日ですくってきた金魚に対して人が持つ程度の愛情は持ってる感じ? 大事にはするし、名前を付けてかわいがりはするんだけど、もし死んじゃったら地面に埋めてそのまま忘れちゃう(笑)。そのくらいの距離感で人を見てるんだと思います。

──だからなんでしょうけど、この曲ってすごくかわいいんだけど、聴いてるとちょっとムカつくんですよ(笑)。

そう聴いていただけるとすごくうれしいです(笑)。人のことを多少は大事にしてるから「死亡フラグや失恋フラグを裏切ろう」ってアドバイスしている面もあるんだけど、それ以前にこの子にとってフラグの回収ってすごく面倒くさい作業だから、ラクするために「つか全部 折っちゃえばいいじゃん♪」って言ってるだけなので。でも俯瞰したかった理由にはあともう1つ、この曲が「がをられ」のオープニングテーマだからっていうこともあって。

──オープニングテーマだから俯瞰する?

私自身「がをられ」に(吟遊院)芹香役で出演していますから。もしせりきゃん(芹香)が「がをられ」の主人公なら、その視点に立って歌うのもアリだとは思うんですけど、主人公は旗立颯太くんだから、せりきゃん視点で歌うわけにはいかないですし。だから「クピドゥレビュー」のこの子は中立。誰の味方でもないし誰の敵でもなくて「がをられ」全体のことやキャラクターたちのことをただ俯瞰している。そんな感じで歌うのが、歌手・悠木碧のベストポジションなのかなと思ったんです。

「ハッピーにキュートに素っ頓狂に人の運命を儚みまーす!」

──この“天使っぽい何か”って完全にフィクショナルな存在ですか? それとも悠木さんの気持ちを投影した存在でもある?

悠木碧

私自身はもうちょっと人に優しくしたいなとは思ってますけど、お望みとあらば皆さんを雑に扱うことにもやぶさかではございません(笑)。

──あはははは(笑)。なんでこんなことを聞くかというと、悠木さんが去年の3月、“プチ”アルバム「メリバ」のリリースタイミングに開いたイベントのタイトルが……。

「みんなのためにホワイトデーつぶしてみた」(笑)。どうせみんなホワイトデーにやることないんでしょ?ということで。

──「クピドゥレビュー」に見られる、かわいいんだけどなんかムカつく感じって、そのノリに似てるのかなっていう気がしたんです。

確かに私とけっこう近い存在な気はしています(笑)。

──じゃあ「つか全部 折っちゃえばいいじゃん♪」は、この春、晴れて新社会人になった悠木先輩が「がをられ」を観ている後輩、学生さんたちに向けたアドバイスともとれる?

あっ、そうかもしれません。「新社会人になったことを記念して、運命を裏切ることを無責任にオススメしまーす!」って(笑)。

──景気のいいラッパの音色と四つ打ちのビートに乗せて(笑)。

「ハッピーにキュートに素っ頓狂に人の運命を儚みまーす!」(笑)。

ニューシングル「クピドゥレビュー」/ 2014年4月30日発売 / FlyingDog
初回限定盤 [CD+DVD] [CD] 1944円 / VTZL-79
通常盤 [CD] 1404円 / VTCL-35179
CD収録曲
  1. クピドゥレビュー(テレビアニメ「彼女がフラグをおられたら」オープニングテーマ)
    [作詞:藤林聖子 / 作曲・編曲:zakbee]
  2. twinkAtrick[作詞:藤林聖子 / 作曲・編曲:MANYO]
  3. クピドゥレビュー(without Aoi)
  4. twinkAtrick(without Aoi)
  5. 1st LOVE(はつ恋)宣言 / 吟遊院芹香(CV:悠木碧)(テレビアニメ「彼女がフラグをおられたら」キャラクターソング)
    [作詞:藤林聖子 / 作曲:黒川陽介 / 編曲:成瀬裕介]
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「クピドゥレビュー」 MUSIC VIDEO
悠木碧(ユウキアオイ)

3月27日生まれ、千葉県出身の声優・歌手。4歳の頃から子役として活動し、2003年にテレビアニメ「キノの旅」で声優デビュー。2008年放送の「紅」では初のヒロインに抜擢され、その後さまざまな作品で主要キャラクターを演じる。2011年には「魔法少女まどか☆マギカ」の主人公、鹿目まどか役で大きく注目を集めた。またその一方で2012年3月に1st“プチ”アルバム「プティパ」を発表し、アーティストデビューも果たす。2013年2月には新居昭乃らを迎えた2nd“プチ”アルバム「メリバ」をリリースし、11月には神奈川・横浜アリーナでのアニソン系イベント「ANIMAX MUSIX 2013」に出演。そして2014年1月、表題曲がアニメ「世界征服~謀略のズヴィズダー~」のエンディングテーマに採用された1stシングル「ビジュメニア」を発表。そのわずか3カ月後となる4月にはアニメ「彼女がフラグをおられたら」のオープニングテーマ「クピドゥレビュー」をリリースする。