安田レイ|あふれる“きみ”への思い

安田レイが約1年ぶりとなるシングル「きみのうた」をリリースした。

アニメ「夏目友人帳 陸」のエンディングテーマとして使用されているタイトル曲は、永遠の別れをテーマにしたバラード。「写ルンです」がキーアイテムとして登場する、長沢裕主演によるストーリー仕立てのミュージックビデオも大きな反響を呼んでいる。

安田自身も作詞に携わり、過去の体験を織り交ぜながら歌詞を書き上げたという「きみのうた」。今回の特集では、彼女もひときわ思い入れのあるという同曲が誕生するまでの経緯を語ってもらいつつ、「写ルンです」で撮影した写真を織り混ぜたフォトギャラリーを展開する。

取材・文 / 中野明子 撮影 / 塚原孝顕

安田レイ「きみのうた」
2017年5月24日発売 / SME Records
安田レイ「きみのうた」期間生産限定盤

期間生産限定盤 [CD]
1300円 / SECL-2162

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安田レイ「きみのうた」通常盤

通常盤 [CD]
1200円 / SECL-2161

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期間生産限定盤 収録曲
  1. きみのうた
  2. up to ME
  3. きみのうた TV ver.
通常盤 収録曲
  1. きみのうた
  2. up to ME
  3. きみのうた Instrumental
安田レイ

あふれ出てきてしまう感情

アニメ「夏目友人帳 陸」のエンディングテーマのお話が先にあって、どういった曲にしようかとスタッフと相談していたとき、主人公の夏目(貴志)くんがたくさんの出会いとたくさんの別れを乗り越えて前に進んでいく姿が思い浮かんだんです。そこから「別れ」というテーマが決まりました。だったら曲調はバラードがいいねってことになったんです。

曲を初めてもらったときに感じたのは、あまり歌い上げすぎないようにしたいなと思いました。自分の感情を抑えようとしているんだけど、あふれ出てきてしまう。そんなイメージがサウンドから浮かんだので、そのイメージを大切にしようと思いました。レコーディングでは自分に言い聞かせているような、別れてしまった相手に語りかけているようなシーンを思い浮かべました。大勢に向かって歌っているというよりは、1人ひとりに対して歌ってる感覚を大事にしました。私との“近さ”を感じてもらえる歌になっているんじゃないかな、と思います。

安田レイ

大切な人たちが
夢に出てきて……

歌詞もテーマに沿って、24年間生きてきた中で経験してきた「別れ」を思い出して実体験をもとに書いています。書いている間は毎晩のように、今は会えない、別れてしまった大切な人たちが夢に出てきました。たまに出てくることはあったんですけど、今回は何日間も続けて出てきたんです。何か私に伝えようとしてるのかなって感じたし、会えない今もそばにいてくれているんだなって思えたんです。

別れてしまっても、相手と一緒に見た景色だったり、聴いていた曲だったり……そういったものを通して、その人を近くに感じる瞬間ってたくさんあるんですよね。それを実感することで勇気が出てくると言うか。私が悲しんでたり、苦しんでいる姿は相手もきっと見たくないだろうなって。私が笑顔でいたほうが、その人も絶対幸せに思うだろうなって考えながら言葉をつづっていきました。新しい一歩が踏み出せるような前向きなイメージが湧いてくるように。

今回、思いを歌詞にすることで、気持ちが軽くなっていったんです。私、普段から人に悩みを相談するのが得意なほうではなくて。相談しようとしてもうまく言葉にできなくて、結局自分が何を考えていたのかこんがらがっちゃうんです。そういうときは悩んでいることを書き出したり、携帯に打ったりしています。それを書き出して、読み返してから消すと気持ちの整理が付くんです。「きみのうた」の歌詞を書いているときは、それに近い気持ちになりましたね。

安田レイ

つらい別れを乗り越えるには?

すぐに乗り越えることってできないと思うんです。相手が大切な人であればあるほど。時間はどうしてもかかります。自分では気持ちの切り替えが上手なほうだとは思っているんですけど、人との別れだけはダメです。いつまで経っても慣れなくて、そのたびに自分って不器用だなって思います。

でも、自分がいつまでも後ろを向いて、立ち止まって悲しい顔をしているのは相手も望んでいないだろうから、きっとどこかで見守ってくれているっていうふうに信じるようにしています。例え姿が見えなくても、必ずそばにいてくれてると信じ込むように。そう思うことで、気持ちが前向きになったり、強くなる気がするんです。

MV解説
事故で死んだ彼氏が、27枚撮りの「写ルンです」を持って幽霊になって付き合っていた恋人の前に現れる。「これで一緒に思い出を撮っていこう。使い切ったら僕はいなくなるから」と言う彼氏の言葉に最初は反発する彼女だが、新しい一歩を踏み出すために意を決して「写ルンです」を手にする……。

撮るなら寝顔!

ミュージックビデオは、曲が完成したあとに、監督さんに曲のストーリーを汲んで作っていただきました。自分が思い描いていた以上に曲にぴったりの内容で、完成した映像を観たときに感極まってウルっとしちゃいました。

どのシーンも好きなんですけど、一番好きなのは最後1枚のシャッターを切ったあと一瞬間を置いて、「会いたくて」って自分の歌が流れ出した瞬間。長沢裕さんの演技が本当に素晴らしくて、自分のMVなのに何度も観ちゃってます。自分がMVの中の女の子と同じ状況になったら、最後の1枚は寝顔を撮ると思います(笑)。私、人の寝顔が大好きなんです。完全に安心しきってる、無防備な顔と言うか。その姿を見せてもらえるといううれしさもあるし。うん! 笑ってる顔より寝顔を残しておきたいですね。

安田レイ

安田レイ、次の展開は?

今すごく制作意欲にあふれてるんです。自分の作品を作ってるときが一番自分らしいなって思ってるんです。歌詞を書くようになってから、曲に対する気持ちがより深まったし、今回のMV撮影のときも曲の世界に入り込んでしまって、ラストサビのところで涙がこぼれてしまったんです。

今、たくさんチャレンジしたいことが今いっぱいあって。最近ピアノを買って練習してます。昔からメロディが思い浮かぶと即興で歌ってはいたんですけど、ちゃんと音に残してはいなくて。だからピアノを練習して、これからはきちんと音を残していけるようにしたいと思ってます。

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Photo Gallery

安田レイ ライブ@名古屋ブルーノート

2017年7月2日(日)愛知県 名古屋ブルーノート

[1st STAGE] OPEN 16:00 / START 17:00
[2nd STAGE] OPEN 19:00 / START 20:00

安田レイ(ヤスダレイ)
安田レイ
1993年、アメリカ・ノースカロライナ州で生まれる。10歳の頃に母親が聴いていた宇多田ヒカルの楽曲に衝撃を受けてシンガーを志す。2013年7月に「Best of my Love」でデビューを果たし、2014年10月に1stアルバム「Will」を発売する。2015年には初のワンマンツアーを成功させ、「恋詩」「Tweedia」「あしたいろ」とドラマ、アニメ映画の主題歌となる3枚のシングルを発表。2016年2月に2ndアルバム「PRISM」を、5月にシングル「Message」をリリースし、2017年5月アニメ「夏目友人帳 陸」のエンディングテーマとなっている「きみのうた」をシングルとして発表。