ナタリー PowerPush - WORLD ORDER
ポップなタイアップ曲引っさげ成長期から成熟期に突入
須藤元気率いるダンスパフォーマンスユニット・WORLD ORDERが1stシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」を11月28日にリリースする。「FIND THE LIGHT」は自身が出演する、紳士服チェーン「洋服の青山」のCMソング、そして「PERMANENT REVOLUTION」は、韓国の航空会社・アシアナ航空のキャンペーンのために書き下ろされたナンバー。洋服の青山のCM同様、そのコラボレーションビデオにも登場している。
2ndアルバム「2012」リリース時にナタリーが行ったインタビュー中、彼らはWORLD ORDERの今後の目標として「ダンサーがダンス一本でビジネスできる環境を整備すること」、そして「世界戦略」を掲げていた。今回の両A面シングルは、まさにそのふたつの目標を実現するための足がかり的な1作と言えるだろう。
異色のダンスユニットはいかにして音楽シーンに自らのポジションを築いたのか。そして「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」という新しい武器を携えたWORLD ORDERは今後いかに闘ってゆくのか。メンバー7人にじっくり話を訊いた。
取材・文 / 成松哲 撮影 / 佐藤類
今回は「あまりマニアックにしちゃいけない」と意識
──前回のインタビューで2ndアルバム「2012」のコンセプトを「迫りくる覚醒の時代へ」と表していましたけど、今回のシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」にもそういうキャッチコピーってありますか?
須藤元気 「変わり続ける未来。信じ続ける新しい光」ですね。
──なるほど、そのコンセプトを本当に色濃く反映させた歌詞になっていますよね。しかも「FIND THE LIGHT」「PERMANENT REVOLUTION」ともに、これまでのWORLD ORDERの作品に比べてより強くてダイレクトな表現も使っています。
須藤 そうですね。正直言うと、今回は「FIND THE LIGHT」には洋服の青山、「PERMANENT REVOLUTION」にはアシアナ航空のタイアップが付いていたので「あまりマニアックにしちゃいけないな」ということは意識しましたね。特に洋服の青山は、今回僕らがお手伝いさせていただくキャンペーンに合わせて、企業イメージを一新する。「クオリティ」と「POWER」をテーマにロゴなんかも全部変えるというお話だったので、「暗闇で 見つけ出した光 辿り 歩く」と変化を求めて歩みを進めることを直接的に歌ってみたんです。
──一方の「PERMANENT REVOLUTION」は?
須藤 「東の空に青空 広がる」と歌っているとおり、飛行機が大空を羽ばたくイメージ、どんどん外に向かっていくイメージですよね。
──楽曲もいつも以上にキャッチーですよね。ダンスミュージックならではのコードやフレーズがループする気持ちよさがありつつ、きちんとメロディも立っている。歌モノとして聴かせる曲にもなっています。
須藤 やっぱり曲もわかりやすかったり、キャッチーだったりするべきだろうな、という判断があったんですよ。「FIND THE LIGHT」であれば、CMソングなので15秒で“聴かせられる”ものにはもちろんしたかったし、あと、ラジオで流しやすいもの、カラオケで歌いやすいものにしたかった。
「FIND THE LIGHT」のアイデアは初音ミク
──これも前回伺ったことなんですけど、須藤さんはそのとき好きな楽曲を叩き台に共作者と相談するというスタイルで楽曲を制作するんですよね。今回のアイデアの源泉にはどんなアーティストの楽曲が?
須藤 「PERMANENT REVOLUTION」については、特にほかのアーティストさんの楽曲に引っ張られてはいませんね。1stアルバム「WORLD ORDER」のタイトルナンバーを共作したSPACE WALKERと一緒に作ってるんですけど、その「WORLD ORDER」がまさに僕の考えるキャッチーな楽曲だったので、あの曲に近い感じでありながら、その進化形にしようと。で、「FIND THE LIGHT」は初音ミクのある曲ですね。
──へっ?
須藤 いや、その曲いいんですよ!(笑)
──具体的にはどんなところをモチーフにしたんですか?
須藤 具体的にっていうのはなくて、コード進行だけ参考にしました。あのコード感が好きなんです。
──一概に「全てのボカロ曲がそう」とは言えないものの、ボーカリストが歌うものとはまた違う、ボカロならではの独特なコード感、メロディ感って確かにありますよね。
須藤 そのタッチ、ニュアンスをWORLD ORDERの楽曲でも表現したかったんです。今のご時世、結局オリジナルなんてないですから。これだけ情報やコンテンツがあふれている時代に全くの無から何かを生み出せる人なんてほとんどいない。必ず何かしらにインスパイアされているはずなんですよね。そして僕も「あっ、このコード感っていいな」と思ったので、共作者のYU IMAIくんに「初音ミクの楽曲みたいなコード進行でいきたい」という話をしてみました。
メンバーのケガを乗り越えてのビデオ撮影
──CD=楽曲だけでなく、同梱のDVDに収録されている「PERMANENT REVOLUTION」のビデオもこれまでとは肌合いが違います。日韓両国の要人に扮したふたりが握手をしたり、韓国ロケを敢行したりと、デビュー以前から皆さんが目標に掲げていた「世界戦略」に一歩近づいたかのような映像になっています。
須藤 いずれストーリー性のある映像を作ろうと思っていたところに、ちょうどアシアナ航空さんのタイアップをいただけた。タイミングがシンクロした感じなんですよ。ただその頃、高橋がアキレス腱を切ってしまって、ライブなんかにもずっと出られない状態だったので、このビデオに出てもらうのかもらわないのか、ダンスチームを仕切っている落合と時間をかけて話し合ったり、撮影には今までにない難しさがありましたね。
落合将人 元気さんや僕はもちろん、メンバーのみんなも「全員でやりたい」という気持ちではいたので「昭さん(高橋)もぜひ一緒にやりましょう」ということにはなったんですけど……。
須藤 足首を金具で固定された高橋には何が踊れて何が踊れないのか。そういうことを細かく判断しながら撮ったのが「PERMANENT REVOLUTION」のビデオなんですよ。今も足には金具が付いてるんだよね?
高橋昭博 付いてます。これが付いていれば足に負担はかからないんですけど、かかとを動かせない。棒みたいな状態のまま足を動かさなければいけないから、撮影中はずっと「みんなの動きも制限してしまっているんじゃないか」って心配してました。
須藤 足首を動かせないから、僕らと同じ動きをするとガクついちゃうんですよ。正面から撮影している分にはそれでもうまく誤魔化せるんですけど、横から撮るシーンでは、やっぱりわかっちゃう。そこをどう見せるのか、どう動くのか、っていうことは結構考えましたね。観ている人には高橋が足をケガしていることなんか関係ないし、そのせいで映像やダンスのクオリティが落ちてしまうのは高橋自身納得いかないでしょうし。
- 1stシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」[CD+DVD] / 2012年11月28日発売 / 1500円 / PONY CANYON PCCA-03756
- 1stシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」
CD収録曲
- FIND THE LIGHT(「洋服の青山」CMタイアップ曲)
- PERMANENT REVOLUTION(「アシアナ航空」タイアップ曲)
- FIND THE LIGHT - Remix -
- PERMANENT REVOLUTION - Remix -
DVD収録内容
- PERMANENT REVOLUTION
- PERMANENT REVOLUTION(アシアナスペシャルバージョン)
- 「洋服の青山」CMオリジナルメイキング
WORLD ORDER(わーるどおーだー)
元格闘家で、タレントや作家などとしても活躍する須藤元気が、男性ダンサー6名(野口量、内山隼人、森澤祐介、高橋昭博、落合将人、上西隆史)とともに結成した7人組ダンスパフォーマンスユニット。スーツにメガネ、きっちり整えた髪型という統一感のあるファッションと、須藤が歌うポップなダンスミュージック、ダンサーたちの高い身体能力を活かしたロボットダンスが、アジアをはじめアメリカ、カナダ、ヨーロッパ圏で熱烈に支持されている。また、独創性の強い映像作品も各国で高評価を獲得。2012年6月にはDVD / Blu-rayとCDからなる2枚組作品「2012」、同年11月には初のシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」をリリース。