ナタリー PowerPush - THE 野党

異色3人組の“新党”が放つ 挑戦的アルバム「8:10 pm」

初期衝動を感じた、サークル活動みたいな感じ

──その新藤さんのプライベートスタジオで3人それぞれが自分の作業を……という光景を想像すると、ちょっと失礼な言い方かもしれないですが、サークル活動みたいな雰囲気ですよね。

新藤 ああ、そうですね。

SHOCK EYE 僕もそういう音楽の作り方って、久しくやってなかったなって思って。大きなスタジオでしっかりした環境で、みんなで試行錯誤しながら積み上げていくっていうのももちろん素晴らしいし高いクオリティのものができると思うんですけど、こっちはそうじゃない初期衝動に近い感じというか。

──初期衝動ですか、なるほど。

SHOCK EYE まだ何も実績がないし、良いか悪いかもわからないけど、たぶん3人それぞれが今までにやってきたものをそこで出したいと思っていたはず。俺も、最初の一声目で説得したいと思ったし、伝えたいと思ってましたから。で、それぞれが純粋にそういう気持ちで楽しんでやった結果、すごくいいものが生まれたというか。「なんか、すげー楽しい」みたいな(笑)。

──みなさん、本体の活動とはまた違うベクトルで音楽を作っていったんですね。

SHOCK EYE そうですね。篤志くんも、僕らがざっくり作ったものを綺麗に整えたりプラスαの味付けをしたりしてクオリティを高めて返してくれるんですよ。それが毎回楽しみだったし、本人的にもたぶん「どうだ!」みたいな感じがあったんじゃないかと。そういう意気込みみたいなものが伝わってきたんですよ。

篤志 あははは(笑)。

SHOCK EYE あと晴一くんの歌詞はやっぱり自分にはないものだし、毎回すごく刺激になって。「最高っすね!」みたいにいつも言ってました。だから……まさにサークルですね(笑)。

新藤 最初はお互いの音楽をよく知らないっていうのがあったので。例えばAメロという言い方をするのか、バースという言い方をするのかでさえ違うし、まったく違うやり方や初めて見るスキルもいっぱいありましたし。お互いに新しいものをたくさん見て、刺激を受けたんじゃないかと思います。

韻が難しくて、ダジャレと混同した(笑)

──今回はクレジット表記が全曲統一で「THE 野党」なんですが、作詞作曲の担当はどのように?

新藤 歌詞も歌も、メインという意味ではSHOCKくんが書いてます。でも、みんながそれぞれの曲にかかわっていて、それを全部書き出していくとややこしいことになるから、今回はすべて表記をまとめたんです。

SHOCK EYE 歌詞に関しては、今回僕はすごく勉強になりました。自分と晴一くんの作風って全然違うんですよ。僕の歌詞はストレートで飾り気がない感じだけど、晴一くんは少しニュアンスを大事にした書き方というか、シニカルだったりユーモラスな感じをうまく表現したものが得意だと思うんです。

新藤 ただ、僕は韻を踏むのが下手すぎてボツになることもありましたけど。僕はラッパーじゃないし、韻が難しくて……なんか、ダジャレと混同しちゃうんですよね(笑)。

SHOCK EYE そういうときは「大丈夫です、僕が担当しますから」ってなってましたね(笑)。しかもそのあたりは一度、韻の役割について15分くらい話し合ったりして。

篤志 あははは(笑)。

SHOCK EYE でも晴一くんの歌詞は、たぶん長年の経験で無意識にやってると思うんですけど、韻じゃないのに言葉のアクセントがちゃんとついてたりして。韻を踏んでないのにしっかりカッコよく聴こえるってすごいなって思いましたね。そんな歌詞の世界観もすごく勉強になりました。

──新藤さんはどうですか? THE 野党としての歌詞っていう点は意識しましたか?

新藤 まずSHOCKくんのベースがあるところに自分の言葉を入れていくと、そのまま入れてもまた違う色になりますよね。その色の混ざり方は、個人的にもすごく面白かったです。俺はどちらかというと作品性を追求した歌詞を書くタイプだと思うんですが、SHOCKくんは伝えたいことや言いたいことを書くっていう歌詞。SHOCKくんの歌詞を見て、いい歌詞と残る言葉っていうのはまた違うもんなんだなっていうのがわかりました。

ライブ感を大切にしたアルバム

──それにしても全14曲、どこを切り取っても前衛的というか、本当に聴き応えのある1枚で。1曲目「First H.S.A」からすごく遊んでるというか、トバしてますよね。

SHOCK EYE アルバムを作るときに、ライブっていうものをひとつのキーワードとして掲げていたので。晴一くんもずっとライブをやりたいって言ってたし、篤志くんも若さに溢れたエネルギッシュなモノを作るし。基本はそういうライブ感を大切にしたものになったと思いますね。1枚目ですし、無意識ながらそういうバランスになりました。

篤志 1曲目の「First H.S.A」は、2曲目の「WHO AM I?」の衝撃が強すぎて、途中で結構カゲが薄くなった曲なんです。でも大事な曲だし、1曲目に持ってきたかったので、最初のアレンジから少し変えた部分もありました。この1年間の成長度合いでいうと、たぶん、僕が恐ろしいほどに変わっていると思うんです。「First H.S.A」を作った初期の頃と後半とでは、聴く耳も全然違っていたんですよ。

──新藤さんはいかがですか?

新藤 とにかく1stアルバムらしい感じの1枚になったなって。とっ散らかってもいるけど、そのとっ散らかり方もなかなか狙ってできるものじゃないし。そのあたりが、躍動感みたいなところで表れていればいいんですけどね。大体、1stアルバムってそういうもんだと思いますし。……で、この後、それが越せないってよく言われるんだよね(笑)。

SHOCK EYE ……知ってます(笑)。

新藤 知っとろ?(笑)

──2ndの壁ってやつですか(笑)。

新藤 そうですね。でもとにかく1stアルバムはそういうものであるべきだし、結果的にも納得のいくものができたなと思いますね。

1stアルバム「8:10 pm」 / 2011年2月9日発売 / SME Records

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 3500円 / SECL-951~952 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 3059円 / SECL-953 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. First H.S.A
  2. WHO AM I ?
  3. 平成航路
  4. RAKUEN
  5. Calling Me
  6. Freddy
  7. Download Her
  8. 月狐
  9. Another ~PM11:00~
  10. 荒野まで
  11. WILD COLOR
  12. 罠HOTEL
  13. Where is love ?
  14. アンクルミュージック

オフィシャルサイトで「RAKUEN」「WHO AM I?」のビデオクリップを公開中!

LIVE INFORMATION
THE 野党 遊説2011 ~First~
  • 2011年2月16日(水)
    東京都 Zepp Tokyo
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2011年2月17日(木)
    東京都 Zepp Tokyo
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2011年2月21日(月)
    神奈川県 横浜BLITZ
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2011年2月23日(水)
    大阪府 Zepp Osaka
    OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2011年2月27日(日)
    広島県 広島CLUB QUATTRO
    OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2011年2月28日(月)
    愛知県 Zepp Nagoya
    OPEN 18:00 / START 19:00
THE 野党(ざやとう)

新藤晴一(ポルノグラフィティ)、SHOCK EYE(湘南乃風)、篤志の3人からなるユニット。音楽番組出演やアルバム制作を通じて知り合った3人が2010年に結成し、約1年にわたって音源を制作。2011年2月9日に1stアルバム「8:10 pm」をリリースし、全国6公演の初ツアー「遊説2011 ~First~」を開催する。