全部のテイクがいいからセレクトに迷っちゃう

──2010年5月のシングル「Roulette」発売からツアー、そして今回の「LOOKING FOR LIGHT」リリースと、ハイペースな活動が続いています。ソロ活動が再スタートしたと思ったらいきなり猛ダッシュしている感じですが、これは最初から考えていたプランなんでしょうか？

いや、そんなに前から考えていたものではないです。ツアーをやることにしたのも、本当になんとなく「夏にツアーやりたいんだよね」って話をしていたら決まったぐらいなので。

──「Roulette」を出した後、続けてシングルを出したいというのは頭にあったんですか？

それは考えてましたね。「Roulette」はタイアップが決まったので先にリリースして、その次の「LOOKING FOR LIGHT」はタイアップがつくかつかないかは関係なく、夏にリリースしようと決めてました。この曲はかなり前からあってライヴではおなじみだし、すごく夏っぽい曲なのでこのタイミングで出したいなと。

──ライヴで演奏していたときとアレンジは変わりましたか？

アレンジは、基本的に4～5年前から変わっていないです。

──レコーディング作業の中で改善していった部分はどこですか？

本当に細かい部分ですね。ベースラインについては、デモの段階だとシンプルにルートを押さえてる感じだったので、全体を通して再構築していきました。でもそれはベーシストとしてのこだわりの部分で、一般の人にはわからない部分だと思います。ベースはいつもメインで使っているZONを使いました。

──今回の曲のギターソロは今までにない感じのフレーズが満載でしたね。アームも使ってましたし。

メタル世代ならではのギターソロになりましたね（笑）。ギターソロを録る日に新しく買ったギターが届いて、試しに使ってみたらすごく音が良かったので、その試し弾きのテイクをそのまま使ったんです。

──普段のレコーディングのとき、例えばベースだったら何回ぐらい弾くんですか？

そんなに回数は弾かないですね。多くて5回ぐらいじゃないかな。弾けば弾くほど悪くなるんで、若いテイクのほうがいいんです。

──先程おっしゃっていたギターソロも結果として1テイク目でしたしね。歌についてはいかがですか？

歌も同じで5回ぐらいですね。それ以上録りすぎるとセレクトするのに迷うから。

──5回ってすごく少ないほうだと思いますよ。

そうなんですか？ それ以上録ってどうするのかがわかんないです（笑）。僕の場合、本当は3～4テイクで十分なんですよ。歌のセレクトも自分でやってるんですけど、5テイクあったとしても全部いいからセレクトに迷っちゃうし。録ってるときは室姫くんやエンジニアさんに「今のOK？」って確認しながら進めて、全部録り終わってから改めて聴く形ですね。

──セレクトもご自分でされてるということは歌って終わり、ではないんですね。

ええ、だから大変ですよ。本当は僕も録るだけ録って「お疲れさま～！」って帰りたいんですけど（笑）。

最初から歌詞は曲の中に隠されている

──歌詞についても聞かせてください。今回レコーディングするにあたって、仮タイトル段階の歌詞から追加していった作業はどんな部分ですか？

英語の部分は最初から未完成だったので、ライヴでは適当な日本語をあてはめて歌ってました。そういう部分を最初から書き直して、それで前後の意味合いが変わってきたりするので、またそこを直したりして。

──歌詞で描きたいテーマは何かあったんですか？

テーマはあるようでないんです。僕は曲から導き出されて歌詞を書くというか、曲に書かされているみたいな部分があるので。最初から歌詞は曲の中に隠されているから、自分でそれを発掘して言葉にしていくだけです。

──言葉を見つけていく作業も短時間でできる場合と、時間がかかる場合があると思うんですが、今回の「LOOKING FOR LIGHT」についてはいかがでしたか？

今回の歌詞はライブで歌っていたときの仮歌詞が7～8割生きているんです。それで、その仮歌詞を書いたのはもう4年ぐらい前なので、そのときどのぐらい苦労したかは覚えてないですね。今回書き直した部分はわりとすんなり、時間をかけずに出てきました。