ナタリー PowerPush - 竹達彩奈

あやちワールド交響曲 第1楽章

ライブ会場をお肉の匂いでいっぱいに

──アルバムではついに「ライスとぅミートゅー」で初めて作詞に挑戦されていますが……記念すべき初作詞でこの人は何を言ってるんだろうと(笑)。

竹達彩奈

えー! なんでですかー! もとから「作詞をしてみたい」とは思ってたんですけど、今回アルバムだしせっかくだからということで。でもいきなり1人はプレッシャーだから、加藤哉子(ex. CANNABIS)さんにも一緒に考えてもらったんです。どんな歌詞にしようかなーって考えてるとき、スタッフさんから「あやちはお肉が好きなんだから、歌詞を書くならお肉の歌にしなよ」って言われて「えっ? いいんですか?」って(笑)。そしたら俊太郎さんがお肉用の曲を書いてくれたんですよ。

──お肉に合いそうな曲を(笑)。

それをもとに哉子さんと一緒に打ち合わせしながら考えました。うふふふふふ(笑)。

──自分から率先してお肉の曲が書きたかったんですね。

書いていいって言うから「いいんですか!? じゃあ喜んで」って。

──お肉を用いたコール&レスポンスもありますし、ライブで盛り上がるのは間違いないだろうなと。

私が歌ってるバックでお肉の映像が流れたり、そんなイメージです。もしくはスモークがお肉の匂いみたいな(笑)。パタパタパタパタッて(手であおぎながら)。ライブ会場をお肉の匂いでいっぱいにしたいです。

──それ、ポップスを歌う声優さんじゃなくパンクスがやることですよね(笑)。焼き肉GIGですよ。

ライブでいっぱいはしゃいでもらったあとは、ファンのみんなにも「じゃあ焼き肉行くか」って気持ちになってもらいたいです。もちろん私自身も打ち上げは焼き肉で(笑)。

「私、沖井さんにすごく大事にされてるんだな」って

──サウンド的には本当にバラエティに富んだアルバムになっていますが、オープニングのタイトルトラック「apple symphony」と後半戦11曲目の「the colored apple」では、短いインストに竹達さんのスキャットという、新しい試みもありますね。

この2曲は、スタジオに入って初めて音を聴かせてもらって、その場でスキャットを入れたんですよ。まずスキャットというものを知らなかったんですけど、説明を聞いて「えっ、そんなおしゃれなものを」って。

──できあがった音にあわせて、その場で考えながら声を重ねて?

はい。音を聴いたら、なんだか夢の国に行けそうな素敵な曲だったので、パッパパッパと楽しくできました。

──あと、アルバムのラストを締めくくる沖井さん作詞・作曲の「リズムとメロディの為のバラッド」ですけど、この曲は沖井さんの最高傑作なんじゃないかと思うほど素晴らしい、音楽愛にあふれた曲で。

竹達彩奈

おー。この曲は沖井さんがこれまで作ってくださった「Sinfonia! Sinfonia!!!」と「Hey! MUSIC BOYS & MUSIC GIRLS!」(3rdシングル「時空ツアーズ」カップリング)を経て完結した3部作なんですよ。沖井さんには「ひとりだった“僕”が彼女と出会って、ついにハッピーエンドを迎えたんだよ」って話を聞きました。

──沖井さんと小林さんがこの「チーム竹達」プロジェクトに込めた、ポップミュージックへの期待感や希望が込められているような気がして。プロジェクトを集約するような曲でもあるし、それが最後にエンドロールのように流れてくるのが、なんともいい雰囲気ですよね。

ああー……。私、もっとがんばんなきゃだめですね。この曲を最初に聴いたときは「私、沖井さんにすごく大事にされてるんだな」って思いました(笑)。ちょっと泣きそうになりましたね。

音楽で1年前より明るくなった

──最初に「アルバムはテーマを決めずに作った」とおっしゃいましたけど、完成したアルバムはアートワークなども含めてすごくコンセプチュアルな、世界観のハッキリした作品になっているように感じます。「apple symphony」というタイトルが、まさにイメージにぴったりだなと。

でもアルバムタイトルはホントに最後の最後まで決まらなかったんですよ。アルバムの情報を発表するギリギリまで決まらなくて、「ちょっとあやち、早く決めてよ」みたいな雰囲気がスタッフさんにもあったんですけど(笑)、ずーっと考えてて。それで「春がキミを綺麗にした」のレコーディングのときかなあ? ディレクターさんに小声で「あのー、『apple symphony』がいいかなと思うんですけどー」って言ったら「ああイイじゃん」って。

──リンゴは竹達さんのロゴモチーフにもなっているし、このソロプロジェクトのキーワードにもなっていますよね。

竹達彩奈

彩奈の「奈」にはリンゴという意味があるから、やっぱり1stアルバムには「apple」って入れたいなとずっと思っていたんです。ジャケットは細かく「こんなふうにしたい」って打ち合わせはしてないんですけど、私の曲ってバイオリンとかピアノとかいろんな楽器が入っていて、音がこうモファッと華やかな感じなので、周りに楽器をいっぱい置いてシンフォニーな感じにしてくれたのかなと。

──6月23日の誕生日には、ついに初のワンマンライブも開催されますが、気持ちの面はいかがですか。

怖いです、とても。ですが、せっかくお誕生日にやらせていただくということで、絶対に楽しいライブにしたいなという意気込みだけはあります。やっぱり長い時間ひとりで歌ったことがないから、そこが心配で。尊敬している先輩は、何曲も続けてお水も飲まずに歌うんですよ。私はお水飲まないと無理だろうなーって。

──水分補給の心配(笑)。でも初のワンマンということで、ある意味今回のライブが今後の竹達さんにとっての基準になるでしょうね。

そうですねー。でもこのライブを乗り切れたら、自分でも一皮むけて成長できるんじゃないかと思ってます。

──これからも音楽活動は続けますか?

続けさせてもらえるならば、ぜひ。1年間でいろいろ積み重ねてきたな、がんばれたなと自分でも思うので、この経験をムダにしたくはないですね。歌をやることで、自分がちょっと前向きになれたような気がして。私、1年前より明るくなったと思うんです(笑)。やっぱり音楽って人を幸せにするものだなと実感したので、これまではほかの方から幸せにしてもらってきたけど、今度は自分からみんなを幸せに、みんなに楽しい気持ちをあげられるように。そういう立場でいられることはすごくありがたいことなので、がんばっていきたいなと思います。

ニューアルバム「apple symphony」/ 2013年4月10日発売 / PONY CANYON / スペシャル盤 [CD+DVD] 6300円 / PCCG-1331
初回限定盤[CD+DVD] 3675円 / PCCG-1332
通常盤 [CD] 3150円 / PCCG-1333
CD収録曲
  1. apple symphony
  2. ライスとぅミートゅー
  3. Sinfonia! Sinfonia!!!
  4. Yes-No
  5. G.I.W.
  6. Drive My Car
  7. CANDY LOVE
  8. ナナナナンバーワン
  9. えぶりでぃメリークリスマス
  10. HIKARI
  11. the colored apple
  12. 春がキミを綺麗にした
  13. ♪(おんぷ)の国のアリス
  14. 時空ツアーズ
  15. リズムとメロディの為のバラッド

2013年6月23日初ワンマンライブ優先購入抽選券付属

スペシャル盤 付属DVD 収録内容
  • 春がキミを綺麗にした [Music Video]
  • ライスとぅミートゅー [Music Video]
  • 竹達彩奈2012~2013 apple symphonyまでの歩み
初回限定盤 付属DVD 収録内容
  • 春がキミを綺麗にした [Music Video]
  • ライスとぅミートゅー [Music Video]
竹達彩奈(たけたつあやな)

埼玉県出身の声優アーティスト。2009年放送のテレビアニメ「けいおん!」中野梓役で大きな注目を集める。「けいおん!」から派生したユニット「放課後ティータイム」では数々のヒット曲を生み、2009年12月には神奈川・横浜アリーナ、2011年2月には埼玉・さいたまスーパーアリーナにてコンサートを行った。2012年4月には初の個人名義によるシングル「Sinfonia! Sinfonia!!!」でソロアーティストとしてデビュー。同年9月には2ndシングル「♪(おんぷ)の国のアリス」、2013年1月には筒美京平書き下ろしの3rdシングル「時空ツアーズ」を発表した。2013年4月10日に1stアルバム「apple symphony」をリリース。