Tokyo 7th シスターズ|「誰かの背中を押すために」初アニメMVが提示するナナシス新展開 ~茂木伸太郎総監督インタビュー~

アイドルを育成およびプロデュースするiOS / Android向けゲームアプリ「Tokyo 7th シスターズ」(通称ナナシス)からニューアイテム「t7s Longing for summer Again And Again~ハルカゼ~」が届けられた。

本作はゲーム内の人気ユニット・777☆SISTERSの新曲「ハルカゼ~You were here~」のCDに加え、同曲のミュージックビデオとして制作されたナナシス初となる短編アニメーションを収録したBlu-rayがセットになったもの。アニメには新キャラクターである鳴海アカネと涼原カホルという2人の少女が登場。777☆SISTERSの楽曲に背中を押されたことで、未来への新たな一歩を踏み出す少女たちの物語がアニメで描かれる。また、CD+Blu-rayに加え、MVの前日譚となる書き下ろし小説や設定資料、AR台本レプリカなどが付属する初回限定盤メモリアルボックスも同時リリースされる。

音楽ナタリーでは、初のアニメーション作品において絵コンテ・脚本・監督を務めたナナシスの総監督である茂木伸太郎にインタビューを実施。ナナシスの新たな展開についてじっくりと話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 関口佳代

やれることはすべてやりきれた

──待望の初アニメ作品がミュージックビデオという形で届けられたのは、音楽を大切にしてきたナナシスらしいなあと思いました。

ありがとうございます。ナナシスのアニメの1作目としては、その内容も含めて最善の策でいけたかなと思いますね。もちろん今となっては、「ここはもっとこうしたかった」「これもできたはずだ」っていう欲が出てきてはいますけど、現状許されるスケジュールと予算、スタッフィングなどを考えると、やれることはすべてやりきれたなと。この経験を次に生かせればという感じですね。

──今回、MVが作られたのは777☆SISTERSの新曲「ハルカゼ~You were here~」です。いわゆる卒業をテーマにしたミディアムバラードですけど、その仕上がりが本当に素晴らしくて。具体的な制作はどのように進行していったんでしょうか?

茂木伸太郎

アニメに関しては2年以上前からからいろいろな方と話し合いの場を設けていたんですけど、いわゆる商業的なリクープラインなどを考えるのではなく、「ナナシスとはこういうものです」と伝えられる“ドラマ”をやろうと僕は決めていて。それをMVでやることにしたのは、今回のCDの初回限定盤に入っている設定資料集の“企画覚書き”を作った時点だったんです。

──そこには2015年6月17日という日付と共に、「合唱曲」「バラード」「卒業ソング」といった楽曲イメージも具体的に書かれていますよね。

はい。あの時点で楽曲のイメージも、それに付く映像に関してもなんとなくのイメージはありました。で、当初はコンペで曲を選ぼうと思っていたのですが、コンペで集まってくる楽曲というのは基本的には外に向けて書かれたものなので、ナナシスの本質を描こうと決めていた今回に関してはちょっと合わない気がしたというか。なので本当に申し訳なかったのですが、自分で曲を書く時間をくださいと制作陣に話をして、まず5曲くらい書きました。

──なるほど。ちなみに今回はSATSUKI-UPDATE名義ですね。

はは(笑)。より自分の内面からスッと出てきたものはサツキにしています。ただ、今回最初に書いた曲らっていうのは僕自身の気持ちを吐露しすぎたところがあったんで、ちょっと距離感として自分の中で全然納得がいかなかったんですよ。そこで、純粋にただ誰かの背中を押す曲にするということだけを考えて作っていった結果、僕のエゴがどんどん消えて、それがゼロまでなくなったときにこの「ハルカゼ~You were here~」ができたんですよね。

──「誰かの背中を押す」ということこそがナナシスのテーマであり、本質ですもんね。

そうなんです。で、曲ができたうえでそこに乗る物語やアニメの映像のイメージをさらに付け足していった感じでした。なので今回のアニメに関しては、この曲ありき、この曲ができたからこそ世界観がより固まったところはあったと思います。僕自身、この曲がすごく好きですね。

「ほかにアレンジのしようがない」

──企画覚書きではサウンドの方向性として生ピアノと生カルテットの起用も示唆されています。今回のアレンジは岡ナオキさんが手がけていますが、そこでのイメージはしっかり踏襲されていますね。

そのままのイメージで作っていただけました。僕から岡さんに対しては、ほぼ何も伝えてないんですけどね。僕のデモを聴いていただき、物語を軽くお伝えしただけだったんですけど、「歌詞とメロディを聴いた時点でアレンジの方向性には一切迷わなかった」って言ってました。「ほかにアレンジのしようがない」って。オケのレコーディングのときも、ストリングスの細かいフレーズの機微などを岡さんが演奏者の方々に指示してくださっていて。とにかく信頼しているので、そこでも僕は何も口出しせず、カレー食ったりしてるだけでしたね(笑)。ほんとにスムーズな作業でしたよ。

──これまでの777☆SISTERSの楽曲はアッパーなダンスチューンが多かったので、こういった生楽器をぜいたくに使ったバラードには斬新な印象もありました。

ナナシスにはいろいろないいところ、尖っているところがあると僕は思っていて。例えば絵がキレイ、音楽がいい、キャラがかわいいだけじゃなくカッコいい、とか。なので、「ナナシスとはこういうものだ」というイメージは受け手によって全然違うし、「EDMじゃなきゃナナシスじゃない」っていう人がいることもわかってるんですよね。ただ僕は、ナナシスは人間を描くストーリーだと思っているので、いろいろなことがどのように変化していってもいいんです。それは音楽に関しても然り。だから今回、ナナシスの本質を表現するために777☆SISTERSに与えられた曲が、すべて生楽器のサウンドになったっていうのは至極当然のことでもあるんですよね。

Tokyo 7th シスターズ
「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」
2017年4月19日発売 / Victor Entertainment
Tokyo 7th シスターズ「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」初回限定メモリアルボックス

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4860円 / VIZL-1158

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CD収録曲
  1. ハルカゼ~You were here~ / 777☆SISTERS
  2. ハルカゼ~You were here~ -OFF VOCAL-
Blu-ray収録内容
  • t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~
茂木伸太郎(モテギシンタロウ)
茂木伸太郎
株式会社Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督兼総合音楽プロデューサーとして同作品のビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作に携わっている。
Tokyo 7th シスターズ(トウキョウセブンスシスターズ)
2014年2月にサービスインしたスマートフォン向けのアイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム。“アイドル氷河期の西暦2034年”を舞台にアイドルを育成&プロデュースしていく。ゲーム中にはメインユニット・777☆SISTERSをはじめ多くのアイドルグループやユニットが登場する。