ナタリー PowerPush - Superfly

話題沸騰10thシングルは新曲4曲+カバー15曲の豪華盤

きっかけはキャロル・キングの「It's Too Late」

──カバー集に収録されているのは、これまでシングルのカップリングに収録されてきたものがメインですね。1stシングル「ハロー・ハロー」でHUMBLE PIEの「Hot'N'Nasty」をカバーしたときから、今回の企画があったように思えたりしますが。

最初は、アルバムの一番最後にカバーを入れようと思っていたんですけど、「やるならシングルの3曲目に入れたら?」と誰かが提案してくれて、それが面白くて続けてきた企画だったんです。いつかカバー集みたいな形で、別なアイテムとしてリリースしようとは思っていたんですけど、シングルもけっこうタイトに切っていたので、レコーディングしなきゃとか曲選ばなきゃとか、最初のほうは楽しみながらやれたものが、いつのまにか「やらなきゃ」って感じになってきていて。そういう気持ちでやるものじゃないなあと思ったので、このアルバムを出すことでカバー企画にひと区切り付けようと思ったんです。

──自分が生まれる前の、60~70年代の曲を歌おうと思ったのは?

純粋に、こういう時代の楽曲たちに触れたのは18歳ぐらいだったんです。すごく美しいメロディがたくさんあって、名曲が多いなと思いました。いい曲に触れたら歌いたいと思ってしまうので、ただそう感じた曲を、歌ってきただけですね。

──こうした曲に触れるきっかけはあったんですか?

元メンバーの、今は曲を作ってくれている多保(孝一)くんが、マニアなんですね。すごく詳しくて、いろいろ教えてくれて、MDにいろんな曲を録音してプレゼントしてくれてたんです。それを教科書みたいに聴いて。すると自分のお気に入りのジャンルとか固まってくるじゃないですか。そしたら、そのジャンルに絞って聴くとかして。

──最初に出会った曲は何でした?

最初に反応したのは、キャロル・キングですね。「It's Too Late」がMDに入っていて、なんていい曲だろうと思って、アルバムを聴いて。最初に聴いた日本盤のライナーノーツの最初の2行とか今も覚えてますね(笑)。

いい曲は歌っているとため息が出る

ライブ写真

──その当時から、カバーはたくさん歌っていたんですか?

バンドのメンバーが固まらなくて、メンバーが見つかったらオリジナルをやるという感じだったので、あまりカバーをやる暇がなかったんです。だから外で歌った記憶がなくて、おうちの中で1人で歌っていました。だからこんなにカバーをやるとは思っていませんでした。

──今回のカバー集の選曲には何かポイントがありますか?

いつか歌いたいなと思っていた曲がたくさんあったので、それを1個1個歌った感じです。とにかく、いい曲だと思う曲を贅沢に歌わせてもらいました。こんなに名曲ばかり歌っていいの? と思いながら(笑)。いい曲は歌っていると、ため息が出ますね。

──歌うときは何を思っているんでしょう?

あまり考えずに、私が歌っても「素敵だね」と思ってもらえるように歌えればいいなと。でも、原曲そっくりになってしまったら、Superflyがやる意味がないので、私の声にフィットするアレンジを探したり、歌い回しを探したりはしました。だから、あまり原曲を聴かないようにしていました。

──歌詞は英語ですから大変だったのでは?

発音が一番大変(笑)。英語は全然しゃべれないので、難しいことを考えず、聴こえるように感じるように歌おうと。

──最初にHUMBLE PIEを歌ったときと、最新のカーラ・ボノフなどを歌ったときとでは、カバーへの気持ちの変化はありましたか?

最初の頃は、カバー自体あまりやってなかったので、ものすごく張り切ってましたね(笑)。歌もすごく練習して、発音とかも細かくチェックして。アレンジもカバー曲への敬意を込めて完コピにしてたんですけど、私の声に合わないアレンジもあるので、そういう曲に出会っていくうちに、(完コピにこだわらず)もうちょっと楽しもうと思うようになりました。FREEの「My Brother Jake」とか、あまりにも渋いのでサビを変えてもらったりとか。普段のオリジナル曲ではそういうことがあまりできないので、楽しかったです。

「Wildflower & Cover Songs: Complete Best 'TRACK 3'」 / 2010年9月1日発売 / Warner Music Japan

  • 初回限定盤 [CD3枚組] / 2900円(税込) / WPCL-10855~57 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 [CD2枚組] / 2800円(税込) / WPCL-10858~59 / Amazon.co.jpへ
DISC 1 収録曲
  1. Wildflower
  2. タマシイレボリューション
  3. Free Planet
  4. Roll Over The Rainbow
DISC 2 収録曲
  1. Fooled Around and Fell In Love
  2. Natural Woman
  3. Hot 'N' Nasty
  4. (Please Not) One More Time
  5. Rhiannon
  6. Honky Tonk Women [Live]
  7. Bad, Bad Leroy Brown [Live]
  8. Heart Of Gold [Live]
  9. Desperado [Live]
  10. My Brother Jake
  11. Rock And Roll Hoochie Koo
  12. Late For The Sky
  13. Piece Of My Heart [Live]
  14. Bitch
  15. The Water is Wide
DISC 3(初回限定盤のみ)収録曲
  1. Fooled Around and Fell In Love ~acoustic ver.~
Superfly(すーぱーふらい)

Superfly

2004年に愛媛県の大学サークルで出会った越智志帆(Vo)と多保孝一(G)によって結成。越智のパワフルかつソウルフルな歌声、60年代、70年代の洋楽を彷彿とさせるブルージーなサウンドが注目を集め、地元で噂の存在に。2007年4月にシングル「ハロー・ハロー」で鮮烈なデビューを飾る。3rdシングルではオーストラリアのバンド・JETと競演するなど新人とは思えぬ存在感を見せつけた。その後、多保がコンポーザーとしての活動に注力すべく表舞台から退き、Superflyは越智のソロユニットに。2008年5月に発表した1stアルバム「Superfly」はチャート1位を獲得。2009年8月にはニューヨークで行われたライブイベント「Heroes of Woodstock」にゲスト参加し、パワフルなパフォーマンスで現地オーディエンスを圧倒した。同年9月にリリースした2ndアルバム「Box Emotions」がチャートで再び1位を記録し、実力派アーティストとしての地位を確立させる。