ナタリー PowerPush - Shibori
熱いハートと新鮮なミルクを届けたい! 牛乳の妖精が放つリアルメッセージ
大人には俺という存在は見えていない
──PVで披露しているダンスはオリジナルですか? とても強烈な個性を感じました。
これもさっきの話に通じるけど、もちろん俺自身から出てきたものであって、誰かのダンスを模倣しているつもりはないよ。今回の「デリバリー」って曲は、物流、届けるということがテーマだから、体を使ってその「流れ」を表現してみた形。説明しちゃうとつまらないかもしれないけどね。
──PVには深夜の国道を牛乳配送車で走るシーンもありました。
ああいうシチュエーションのときにやっぱ浮かぶよね。何がってリリックが。今回の曲は全体に落ち着いたトーンになってるけど、夜のハイウェイを思い浮かべて作ったんで、俺のメランコリックな部分が出ちゃったのかもしんないね。もちろんそうでない可能性も否定できないけど、それを言いだすときりがないからね。これってインターネッツに載るんだよね? だったら俺としてもある程度断言する覚悟を決めないといけないしね。何を言ってるかよくわからないかもしれないけど、そこはうまくまとめといてもらいたい、ってのが正直な心境だね。
──いつも何気なく飲んでいる牛乳が、どのような過程を経て僕らの手元に届いているのかがよくわかる、社会科見学の要素も含んだ映像に仕上がっていますね。
本当はそれこそスーパーだけじゃなくて、家庭とかレストランなんかに牛乳が届いて飲まれるまでを追えれば良かったんだけど、まあそれは次の機会にだな。だけど撮影に関しては牧場だけでなくていろいろなところが協力してくれて。映像として映っていない場所も含めて、牛乳1本届けるのにもこれだけのことがあるんだぜ、ってのが伝われば本望。そしてこれは何も牛乳に限ったことじゃないってのも……わかるよね? どんなものであれ、あなたの手元に届くものに、どれだけの人の思いが乗っかっているのか、想像を膨らませてほしい。
──スーパーで出会った男の子とアイコンタクトだけで通じ合うシーンには、思わず涙してしまいました。
PVをよく観てもらえるとわかると思うけど、不思議なことに大人は誰も俺のほうを見ないんだ。どんなファンキーな動きをしていてもね。つまり大人には俺という存在は見えていないわけ。これも解説すると野暮ったいけど、まあ、今回のPVの中の俺は「牛乳の妖精」なんだよね。
──Shiboriさんの牛乳への愛が、こうして全国に伝わっていくわけですね。
俺というよりも全国の酪農家の愛が、だね。引力、すなわち愛! ってわけだ。まあ何言ってるかわかんなかったら「ジョジョ」でも読み返してみてくれよ。
──この曲でShiboriさんがもっとも伝えたいメッセージは?
繰り返しになるけど、牛乳が人々の手に届くまでに、どれだけの思いが込められているか。もっとシンプルにいえば「届けたい」という気持ちについてラップしているつもり。
ラッパーは牛糞の匂いさせてナンボ
──しかし、こういう大自然に囲まれた場所はやはり気持ちがいいですね。都会の喧噪を忘れて素敵なひとときを過ごせました。
まさに。多くの現代人が忘れている何かがここにはあるよね。自然の中に座ってぼーっと考えごとしてるだけで、1日過ぎたりしますよ。最近俺がハマっている妄想テーマは「もしShiboriがジブリ映画に出てくるとしたらどんな感じか」っていうテーマ。ジブリに知り合いいませんか? いたら紹介してください。名前も似てますしね。
──ヒップホップは都市の音楽だと思っていましたけど、Shiboriさんの活動を見ていると、そんなことはないんだなと。
そういう考えは、音楽をファッションに近いものとして捉えてる人には多いかもしんないね。本来都市とか田舎とか、関係ない。オシャレ度とか悪さアピールに必死すぎて、そもそもの音楽がふにゃふにゃになってる自称ミュージシャンさんも多いけど、正直かっこ悪すぎて見ていられないね。ま、はっきり言いますよあたしは。あたしだけは。
──Shiboriさんのヒップホップスタイルに憧れて、レペゼン牧場を唱える若いフォロワーも出てくるかもしれませんね。
俺もこれだけマジにやってる以上、牛乳が偉大な飲みものだっていうことをもっともっと多くのヤツらに伝えたい。まずはそれが第一。その上で、俺という男に共感してくれる人が増えたならそんなうれしいことはないよ。こうなりゃゆくゆくは「ラッパーは牛糞の匂いさせてナンボ」ぐらいのムーブメンツになったらいいね。
──それでは最後に、Shiboriさんからファンへ向けてひとことお願いします。
前回の「酪農」に対して大きな反響と声援、ありがとうございます。とりあえず今回の新曲「デリバリー」もぜひチェックしてほしい。近いうちにライブとかもしたいね。北海道の牧場でオールナイト、とかでね。
を合言葉に昨年結成されたチーム、MILK JAPAN。
そんなMILK JAPANが放送している、ミルクラッパーShiboriを生んだ奇跡のテレビ番組が、ミルク チャポンです。
ミルク チャポンは、アート、音楽、ドキュメンタリーなどさまざまなミルクエンタテインメントをお届けする、牛乳による、牛乳だけの、まったく新しい超早朝子ども番組。
6月17日からは3週連続で、昨年大ヒットしたミルクラッパーShiboriの新曲PVをオンエアします。
早起きがニガテなあなたは今すぐ録画予約をセットしよう!
Shibori(しぼり)
ミルクと牛に関することしかラップしない世界で唯一人の「ミルクラッパー」。
世界中のヒップホッパーに絶大な影響力を誇る伝説的存在。ニューヨーク州サウスブロンクス出身。小学生のころに牛乳と出会い、以降、牛と酪農へのリスペクトの思いを強くする。
その後、日本各地の牧場を巡って酪農事情の最先端を視察、「おれという存在の全てを賭けて牛乳を表現したい」との言葉を残し、ミルクラッパーへの道を志す。
主な活動の場を牧場に限定しゲリラ的に自身のラップを発信してきたが、2010年"牛乳が日本を元気にする。"「MILK JAPAN」運動のことを知り、電撃的参加を表明。同年10月のシングル「酪農」で業界を騒然とさせた。2011年6月に待望の新曲「デリバリー」を発表。