音楽ナタリー PowerPush - QOOLAND

幕末から現代まで 日常歌った最新作

QOOLANDがミニアルバム「街と大都市」をリリースした。今作は発売と同時にほとんどの店舗で品切れとなった1004枚限定シングルの表題曲「片道4,100円」をはじめ、日常的なできごとにフォーカスした全7曲入りの充実作。今回ナタリーでは、精力的な活動状況やサウンドアプローチの変化を探りつつ、「反吐と悪口」「志士雄」といった意味深なタイトルの新曲が生まれた背景などをメンバー4人に語ってもらった。

取材・文 / 田中和宏 撮影 / 小坂茂雄

今作はちょっと暗めにまとめたかった

──今年4タイトル目となるミニアルバム「街と大都市」が完成しました。まずは今作の制作背景から聞かせてください。

QOOLAND

平井拓郎(Vo, G) アルバムを作ろうと思って曲作りをするというよりは、入れたい曲が徐々に出揃っていく感じでした。大阪に十三って町があるんですけど、今年の3月6日に大きな火事があって横丁の飲食店街が燃えたことがあったんですよ。で、3月20日に十三で現場を見て「街灯の街」という曲を作ったんです。すでに「フレンドシップさようなら」「ブギーサウンド」っていう日常生活に関係する歌や、シングル「片道4,100円」は上京したときの心境を歌った曲があったので、“街”やそこに住む人の暮らしにフォーカスしたアルバムを作ろうかなって思ったんですね。

──シリアスな雰囲気の楽曲でまとまってる印象を受けたんですが、方向性は定めてたんですか?

菅ひであき(B, Cho) プリプロの段階で「今作はちょっと暗めにまとめたい」って拓郎が話してたんです。それまでの音源では「明るくポップないい奴ら」みたいな感じでまとまってるきらいがあったんで。でも今回はもっととがりたいってことを言ってて。で、仕上がったのがこれでしたね。

平井 暗いアプローチが多いのは、あまりにもハートフルだとちょっと怖いんでやっぱりバランスを取るためにも必要かなと。

──ハートフルだと怖い?

タカギ皓平(Dr) 自分が自分じゃなくなるみたいな(笑)。

平井 なんか、青空の下で歌ってるようなさわやかなバンドじゃないと思ってるんで(笑)。

The DARARS解散から丸3年

──「街と大都市」というタイトルですが、「街」が東京以外の都市で、「大都市」が東京ということでしょうか?

平井拓郎(Vo, G)

平井 ですね。日本には世界的に有名な都市がたくさんあるし、行く先々で日本ってすごい国だと改めて思ったんです。でも地方にある街の温かさって東京には感じないですし、僕たちの地元じゃないからかもしれませんが、東京には独特の戦場感を感じるんですよね。そんな対比がタイトルに込められてます。

──バンドで戦うために上京してきたからこそ、東京にそういったイメージを持つのかもしれませんね。

平井 そうですね。自分たちにとって節目の作品でもあるので、The DARARS(QOOLANDの前身バンド)が解散した日にあたる10月1日を発売日に選びました。

タカギ 僕は拓郎と同郷で、一緒にThe DARARSで上京してきたんです。大学生のときも一緒にバンドやってたんですけど、そのときは十三で練習してたりとか、拓郎の家も十三にあったりして。ちょっと前のことだったりとかも含めて「街と大都市」を聴くといろいろと思い返す出来事があって、非常に思い入れのある内容になってますね。

──ジャケットは「片道4,100円」に引き続き、ニコ・ニコルソンさんの描き下ろしイラストですね。

平井 ニコさんと前回の対談(参照:QOOLAND「片道4,100円」平井拓郎×ニコ・ニコルソン対談)のあと、一緒にコーヒー飲みにいったんですけど、そのときにいろいろ話をして今回のジャケットも手がけていただくことになりました。歌詞カードもマンガになってて分厚いです。重量感すごいあるんで手に取った感じもなんかいいかなって。マンガは「片道4,100円」のジャケットに描かれてる女の子が街を歩いていくって内容で、絵の雰囲気も素敵なので楽曲と一緒に楽しんでいただきたいです。

怒りがたまると曲ができる

──川崎さんと菅さんは今作を完成させてみて感じたことはありますか?

川崎純(G) 今年に入ってこれが4作目になるんですね。成長できてるなっていうところを録りながらも思いましたし、完成した音源を聴いても改めて成長できてよかったなって感じです。

左から菅ひであき(B, Cho)、タカギ皓平(Dr)。

 メッセージ性の強い曲が多く入ってるなと。「街と大都市」ってタイトルもたまたま拓郎とラジオ収録の帰り道に車で「こんなんどう?」って話をして決まったんですけど、いい感じにハマった。プレイもとがってて、うまく怒りを表現できたアルバムだと思います。

川崎 楽しいレコーディングでしたけどね(笑)。

タカギ 彼(平井)は怒りをある程度ためると曲ができるんですよ。

平井 マイナスのエネルギーはなるべくいいほうに変えていったほうがいいんじゃないかなと思って、正直な気持ちを書いてます。

ミニアルバム「街と大都市」/ 2014年10月1日発売 / 1728円 / BLUE ALBUM / QFCS-1009
ミニアルバム「街と大都市」
収録曲
  1. 反吐と悪口
  2. 区民
  3. 片道4,100円
  4. 街灯の街
  5. フレンドシップさようなら
  6. ブギーサウンド
  7. 志士雄
QOOLAND(クーランド)

2011年9月結成。平井拓郎(Vo, G)、菅ひであき(B, Cho)、タカギ皓平(Dr)、川崎純(G)からなる4人組ロックバンド。平井と川崎によるタッピング奏法を駆使したギターサウンドや、マンガ、アニメなどのフィクション作品、日常生活をモチーフにした歌詞を特徴とする。2013年5月に初の全国流通盤となるフルアルバム「それでも弾こうテレキャスター」を自主レーベル・下高井戸レコードからリリース。同年アマチュアバンドコンテスト「RO69JACK 2013」で優勝し、8月に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」への出演を果たす。精力的なライブ活動を続け、2013年は115本のライブを敢行した。2014年2月に6曲入りCD「教室、千切る.ep」を発売し、3月に大阪と東京で初のワンマンライブを実施。4月にミニアルバム「毎日弾こうテレキャスターagain」を発表した。8月に1004枚限定シングル「片道4,100円」を、10月に最新ミニアルバム「街と大都市」をリリースし、12月に行う東京・UNITでのワンマンライブをもって、4月末より行ってきたレコ発ツアーのファイナルを迎える。