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「閃光ライオット2011」グランプリ17歳のデビュー作「You topia」

ニコニコ動画への「ニコラップ」投稿をきっかけに曲作りを始め、わずか9カ月後に10代限定のロックフェス「閃光ライオット2011」でグランプリを獲得した新世代ラッパー、PAGE。彼のデビューシングル「You topia」は、思春期特有のデリケートな心模様を10代らしからぬ巧みなラップスキルで切り取ったみずみずしい1枚。MUROやSHINCO(スチャダラパー)のリミックス参加も話題を集めている。

愛媛県松山市在住で、今年6月に17歳になったばかり。前述のフェスから約10カ月でデビューを果たした彼は、今、何を感じ、何を思うのか。デビューまでの経緯や本作の制作背景を追いながら、繊細さと大胆さを兼ね備える彼の創造性の源をひもといてみた。

取材・文 / 猪又孝 撮影 / 平沼久奈

ラップができるカッコいい30歳になりたい

──東京にはこれまでに何回くらい来てるんですか?

インタビュー写真

何回ですかね。10回くらいじゃないですか。

──東京の街はどうですか?

……窮屈。

──住む場所じゃないかも、みたいな?

どうですかね。住んでみたいっていう気持ちもあるんですけど……。

──怖そうなイメージがあったり?

怖そうっていうか、人の動きとかがすごい早いし、すごい窮屈だし……。

──まだしばらくは地元でいいかなって感じ?

んー、半分半分くらいです(笑)。

──ところで、音楽には小さい頃から慣れ親しんでいたんですか?

小6くらいのときです、初めて意識的に聴いたのは。

──最初に「おっ」と思ったアーティストは?

ケツメイシなんですよ。そのときに「また君に会える」っていう曲がいろんなところですごいかかってたんです。で、ちゃんと聴いてみたいなと思ってYouTubeで観てみたんですよ。そしたらRYOさんがカッコ良すぎて。見た目、おっさんなんですけど、「ラップしてるおっさん、ここまでカッコいいか」と思って。ずっとRYOさんみたいなラップができるカッコいい30歳になりたいなって思ってたんです。

──30歳と年齢まで決めてるのが面白いですね。

そう、30歳になりたいと思ってたんですよ。中2くらいまで、カッコいいおっさんに早くなりたいなって、ずっと思ってたんです。

「これならできるな」で買って、作って、上げた

──その後は、どんなものを聴くようになったんですか?

いや、もう、ずっとケツメイシばっか聴いてたんですよ。元々音楽はあんまり聴いてなかったんで、ケツメイシしか知らないっていう感じで。それで、中2くらいのときからRIP SLYME、KICK THE CAN CREWあたりを聴くようになったんです。で、次はキングギドラ、RHYMESTER、MICROPHONE PAGERみたいな。そうやってヒップホップをどんどん探っていった感じですね。

──少し古いアーティストはどうやって知ったの?

ヒップホップが好きな友達がひとりいたんです。そいつは兄ちゃんがめっちゃヒップホップが好きで教えてもらってて。RIPやKICKは、その友達からCD借りて聴いたんです。あとは自分でTSUTAYA行って適当に借りて、調べて、みたいな。

──洋楽は聴いてたんですか?

洋楽は聴かなかったです。僕は結構、リリックを聴くのが好きなんで……。

──英語だと距離があるなと。

はい。

──その後、中学3年生のときに機材を購入したんですよね。

中3の冬です。ずっとラップをやりたいと思ってたんですけど、やり方がわからなかったんですね。けど、中3の夏とか秋くらいにネットラップがあるっていうことを知って、「これならできるな」「機材買おう」と思ったんです。で、買って、作って、ニコ動に上げたって感じです。

──「買って、作って、上げた」って、やけに流れが早いけど(笑)、曲は最初から難なく作れた?

なんとなくですけど、歌詞はずっと書いてたんですよ。で、トラックに合わせてメロディありの歌詞を書き出したのは中3の秋とか、音楽をやり始めるちょっと前ぐらいからやってて。それでか、まあ、機材買って作ってっていうのはすぐできて。

──その頃は、作品をアップロードすることが一番の楽しみだったりしたんですか?

インタビュー写真

そうですね。僕的にはすぐ上げたいなっていうのがあって。録って即行上げて、レスポンスとかコメントが来て、「楽しいー」っていう。コメントが来たときに「これ、やばい」「もう1回上げなきゃと思って、即行作って3日後くらいに上げたのが、今回の「You topia」のオリジナルバージョンなんですよ。そのとき、受験があったんですけど、勉強は一切せず曲を作ってましたね。

──リリックはすぐ書けるタイプなんですか?

その頃はささっと書いてたんですよ。普通に1日でできてたんです、3~4時間くらいで。けど、最近はあんまり書けないですね。

──え? 今からデビューですよ(笑)。

結構こだわりが出てきたんです。自分の昔の曲を聴いて、歌詞を見ても、「こんなこと絶対言わないわ、今」とか思うから。

──昔は思ったことを勢い任せで書いてたけど、今はまず自己審査が入る、みたいな。

そうです。「かなりダサいこと言ってるな」とか「意味わかんないな、ここ」とか、そういうチェックをちゃんとする。

メジャーデビューシングル「You topia」 / 2012年7月18日発売 / 1223円 / Ki/oon Music / KSCL-2069

CD収録曲
  1. You topia
  2. マナツニミタユメ
  3. Monochrome MURO REMIXX
  4. You topia SWG REMIX
PAGE(ぺいじ)

プロフィール写真

1995年生まれ、愛媛県松山市出身のラッパー。小学6年生のときに観たケツメイシのライブDVDに感銘を受け、音楽に目覚める。2008年からリリックを書き始め、2011年1月にマイクとインターフェイスを購入し宅録を開始。直後からニコニコ動画に「ニコラップ」と呼ばれるジャンルのラップを投稿し始める。同時期に10代限定のロックフェスティバル「閃光ライオット2011」に応募し、予選を勝ち上がる。同年9月に東京・日比谷野外大音楽堂で開催された決勝戦で見事グランプリを獲得(当時の名義はPAIGE)。「閃光ライオット」での一連のステージを現在のディレクターに見初められ、2012年7月にKi/oon Musicよりメジャーデビューシングル「You topia」をリリースした。