CDデビューを強く目指していたわけではない

──ネット上でスタートしたバンドですが、CDデビューは最初から目指していたんでしょうか？

実際、そんなに強く目指してたわけではないと思うんですよ。CDって今はけっこう誰でも手軽に作れちゃうし。ただ、ニコニコ動画でしか見られなかった、聴けなかったものをCDという形にして出すのは面白いと思います。それで喜んでくれる人がいたらいいなって。

──CDデビューすることで、ネット環境がなかったり、パソコンを持っていない人でさえも耳にする可能性が出てくるわけですよね。

あ、そうですよね。でもそういう人たちは、自分たちのことってよくわかんないですよね、きっと（笑）。

──確かに出自はわからないでしょうね。ネットと積極的にかかわっていないそういうリスナーに対しては、バンドとしてどういうアピールをしようと思っていますか？

んー、そこはあんま考えてないなあ（笑）。今回のCDの場合はボーカルが初音ミクなんで、わりとネットユーザー向けだとは思うんですけど、でも僕らは元々バンドマンなんで、やっぱり今まで自分たちがやってきたものがそのまま出るっていうか、そういうものになってるとは思うんですよ。

──はい。リスナーを限定しない、いわゆるJ-POPとして機能していると思います。

だから僕らをきっかけに、ニコニコ動画とかネット文化とかに入ってきてくれる人たちがいたらうれしいなとは思います。ネットには面白いヤツがいるんだな、みたいな。たくさんの人たちに聴いてほしいっていう気持ちはもちろんありますしね。

曲の整合性はあんまり考えたことがない（笑）

──制作に関しては、どのように進めているんですか？

3人で合わせたりっていうのはもちろんあるんですけど、今はメンバーが全員集まらなくてもネット越しに全部やりとりできちゃうんですよ。それがネット文化の面白いところで。まったく会わずに1曲できちゃうみたいな。そういう方法でやったりもしてます。

──実際に会って曲を作るのと、会わずにネット上で曲を作るのでは、生まれるものに違いはあります？

実際に会ったほうがもちろん、お互いの盛り上がりみたいなものは出ますよね。「あ、こう来たか」「じゃ、こうやるよ」みたいなものがあるんで、そういうのは会ってやったほうがいいんですけどね。でもなかなかそうもいかないんです。住んでるとこも違うし、みんな生活パターンがバラバラなんで。

──じゃ会わないで作る良さっていうのは？

ラクですよね。ひたすらに（笑）。あと考える時間が十分にとれるっていうのはひとつの利点ではありますね。リアルタイムじゃないぶん、時間の制約もあんまりないですし。個々のワンマンプレイで、それぞれが曲に色付けしていくっていうのが、僕らなりのやり方なのかなとは思ってます。そういうやり方は新しいとも思うし。

──1曲としてのバランスとか整合性みたいな部分はどうするんですか？

整合性？ あんまりとったことないなあ（笑）。それぞれが好き勝手やって、むしろそのグチャっとした感じが王族BANDらしいんじゃないかな。「俺の演奏を聴けよ」みたいなのを3人それぞれぶつけてるのが王族BANDなんじゃないかなって。

──そもそも個人で演奏動画をアップしていた人たちの集まりですもんね。バンドというスタイルになっても、そこは変わらないと。

確かにそうですね。今、はじめて自分で気づきました（笑）。まあでも、自分や海賊くんなんかは、歌モノのバンドをやっていたことがあるので、好き勝手やるっていっても、あくまでも歌を聴かせつつみたいなところはバンドとして大事にしてます。歌の合間においしいことをやってやろうみたいな。