初音ミクをフィーチャーするのは必然だった

──今回リリースされるアルバム「RAINBOW SNOW～オーロラにえがいたLove Letter～」は、オリジナル曲とカバー曲が半々の構成になっていますね。

どれをとっても王族BANDの音になってるのが面白いと思いますね、けっこうゴリゴリした感じで。カバー曲に関してはニコニコで有名な曲ばかりだし、自分たちも好きな曲ばっかりなんでやらせていただけてうれしいです。今回のレコーディングはほとんど別々に録ったので、オリジナル曲も含めて、より個性が出ているような気がします。それぞれのメンバーが自分の良さをアピールしようとしてる（笑）。なかなかズンと来る仕上がりだと思いますね。

──すべての曲に初音ミクをフィーチャーしているのも大きな話題です。

ボーカルがいないバンドなんで、そこにミクを乗せるっていうのはわりと必然的だったところもありますね。ミクの曲ってどうしてもエレクトロなサウンドになることが多いんで、僕らのようにバンドサウンドでやるっていうのは新しいと思うんですよ。ほとんど生の音だけですからね。そこで起きる違和感が逆に面白い。

──生のグルーヴに初音ミクの声を乗せる難しさはありそうですが。

難しいですね。ピッチは正確なんですけど、やっぱり、あんまり、うまくないですからね、ミクちゃんは（笑）。声がケロっちゃったりするし。でも、そこにアイドルっぽさがあって、応援したくなっちゃうみたいな。こんだけのむさくるしい音の中によく入ってくれたなって思います。どっちかっていうとミクちゃんのほうが姫っぽいし（笑）。

──「ミクのクリスマス・イヴ」という曲もあったりして。これすごく良い曲だと思いました。

これはもうミクありきで作ったんですけど、王族の新しい感じも出ている曲だと思います。今までは突っ走ってる曲しかなかったんで。これをきっかけに、もっといろんなことをやっていけたらいいですね。

ボーカリストを入れるなら王族っぽい華やかな人

──正式メンバーとしてボーカリストを入れたりする予定はないんですか？

単純にボーカルが見つからないんですよ。やっぱり日本においてのロックやポップスっていう部分では歌ありきなんで、欲しい気持ちはあるんですけど。まあ、ボーカルがコロコロ変わったりすると聴いてる人はとまどっちゃうかなと思う部分もありますけどね。

──王族BANDにふさわしいボーカリスト像ってあります？

このメンツだとどんな曲をやってもゴリゴリなロックになっちゃうんで、それに合うだけのパワーを持った人がいいですね。かつ、王族っていうくくりの中に入っても違和感がないような……やっぱりみすぼらしい貧民みたいな人が入っても、ねえ（笑）。僕たちがみすぼらしくないかどうかは置いとくとして。

──バンドのコンセプトとしてっていうことですよね。

ですね。華やかさがある感じの。妃とか王妃とかがいいのかな。あと、皇太子とか陛下とか？（笑）

──今までは女性ボーカルをフィーチャーしてることが多かったと思うんですけど、男性ボーカルでもOKなんですか？

そこはこだわってはないです。男のボーカルでもやってみたい。女の子だと見た目的に自分とバッティングしちゃうところもありますしね（笑）。まあ、あくまで王族なんで、そこに絡めて面白いことができればいいです。

バンドらしく合宿とかしてみたい

──この先、バンドとして企んでいることはありますか？

ドンと強いシングルを出してみたいですね、一発。3人で時間を作って、3人で練って1つの曲を出すっていうこともやってみたいです。バンドらしく、合宿とかしてみたい（笑）。あとはアニメ大好きっ子なんで、アニメのタイアップとかもいいな。夢ですねえ。

──現状すごく近い場所にあるような気はしますけど、その夢は。

どうなんでしょうね。がんばります（笑）。

──CDリリースをきっかけに、新しいリスナーがどんどん増えるとまた面白い展開になっていきそうですよね。

自分の動画を見てベースを始めたっていう人もいるみたいなんで、そういうのはすごくうれしいんですよね。これからきっと僕らみたいな手法で世の中に出てくる人も増えてくるとは思うんですよ。知らない人から見ると、わりと新しいカルチャーなのかなって思うんで、いろんな人に聴いてみてほしいですね。