音楽ナタリー PowerPush - 大原櫻子

ソロへの感謝の気持ち込めた「サンキュー。」

感謝の気持ちがあるなら、ちゃんと伝えたほうがいい

──「サンキュー。」での歌声には明るさやキュートさがありつつも、すごく凛としている印象もあって。楽曲に引き出された部分もあるかとは思うのですが、そこがソロアーティスト大原櫻子としての個性なのかな、と思ったんですよね。

今回は特に声色のことはあまり気にせず、歌詞のことを一番大事に思いながら歌ったんですよ。“サンキュー”という言葉はすごく身近なものではあるけど、それをちゃんと伝えるためには強い意志が必要だと思うんです。なので、そういう意志の強さはしっかり意識しつつ、でも飾らずストレートに。結果的に、すごく私らしい、ありのままの私が出せたかなっていうのは自分でも思いますね。

──先ほど、ソロとしてCDを出せることに対しては感謝の気持ちしかないとおっしゃっていた大原さんですから、“サンキュー”という言葉への思いは必然的に強まるはずですよね。

大原櫻子

まさにそうですね。MUSH&CO.としてデビューしてから約1年なんですけど、その間にはファンの皆さん、スタッフの皆さん、家族や友達などたくさんの人たちに支えていただいたので、レコーディングのときにもそういった方々の顔は頭の中に浮かんでいましたね。みんなに“サンキュー”という気持ちで。

──大原さんは日常的に感謝を伝えるのが得意ですか?

あー、けっこう言うほうだとは思うんですけど、身近な人にはあまり言えないかもしれないですね。照れちゃうから(笑)。でも感謝の気持ちがあるならば、それはちゃんと伝えていったほうがいいなって、この曲を歌って改めて思いました。伝えなきゃわかんないですもんね。

──“ありがとう”ではなく“サンキュー”ならもうちょっとライトに伝えられますしね。

そうですよね。“ありがとう”だと、言われたほうもかしこまっちゃうと思うし。ただ、気軽に言えるけどそこには自分の本心がしっかり込められているんだよっていうのをこの曲ではちゃんと伝えたいなって思いましたね。

──うん。この曲で歌われているのは、チャラい感じの“サンキュー”ではない。

そうそう。絶対にチャラっとはさせたくないなって思ってましたから。“サンキュー”って言うのも照れちゃうという人は、思いを伝えたい人にこのCDを渡したり、カラオケで歌ったりするのもアリだと思いますよ。

聴き手に何かを伝えられるシンガーでいたい

──2番のAメロには「名も無き言葉に負けそうになるんだ」というラインがありますよね。時代性を反映した歌詞だなあと、強く印象に残りました。

この曲は時代とか世代に関係なく、長く聴き続けてもらえる内容だと思うんですけど、唯一、その歌詞のところは現代に訴えかけてる部分でもあって。私もそこにはすごく引っかかりました。実際Twitterとかの“名も無き”書き込みで悩んでる友達もいたりしたので、そういう子たちに語りかける感じで歌うように意識しましたね。

──ご自身はそういう言葉に感情を揺さぶられることはないですか?

ネットの書き込みを見る機会があまりないんですけど、基本的には何を言われてもけっこう笑い飛ばせちゃうところがあるんですよ。そりゃ私のこと嫌いな人もいるでしょ!みたいな(笑)。そのへんはすごくポジティブなので。

──ネガティブなことを言われたとしても、むしろ“サンキュー”みたいな。

あははは(笑)。むしろサンキュー! カッコいいですよね、そう言えたら(笑)。

──「とびきりのパワー君に送るよ」というラインもすごくよかったです。それこそが大原さんが歌う使命なのかなって。

大原櫻子

そうですね。私の歌が誰かのパワーになったらいいなって思いながら常に歌っているところはありますね。で、それを聴いてくれた人が違う人にパワーを送ってつながっていってくれたらいいなとも思うし。毎日、たくさんの音楽が世の中には生まれていて、そこにはいろんなタイプの曲があると思うんです。その中で私は聴いてくれた人に何かを伝えられるシンガーでいたいんですよね。そのためにはやっぱり歌詞を大事にしなきゃいけないと思うんです。それが大原櫻子としてやっていくべきことなのかなって今はすごく思いますね。

──自らの言葉で思いを伝えたいという思いもありますか?

自分で作詞をするっていうことですか? あー、それにはもっともっと勉強しないといけないと思いますし、そもそもシンガーとして他の方が書いてくださったものをじっくり考えながら歌うのが好きなんですよ。自分からは絶対に出てこない言葉に新たな発見をすることも多いですからね。それがすごく楽しくて。だから慌てることなく、今はこのスタンスで活動していきたいなって思っています。

1stソロシングル「サンキュー。」2014年11月26日発売 / Victor Entertainment
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / VIZL-718 / Amazon.co.jp
通常盤 [CD] 1080円 / VICL-36954 / Amazon.co.jp
3939限定盤 [CD] 390円 / VICL-36998 / ※3939枚限定
初回限定盤 / 通常盤 CD収録曲
  1. サンキュー。
  2. オレンジのハッピーハロウィン
  3. 頑張ったっていいんじゃない(Acoustic Live ver.)with 制服女子歌い隊
  4. サンキュー。(Instrumental)
  5. オレンジのハッピーハロウィン(Instrumental)
初回限定盤 DVD収録内容
  • サンキュー。(Music Video)
3939限定盤 CD収録曲
  1. サンキュー。
大原櫻子(オオハラサクラコ)

大原櫻子映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」に登場した3人組バンドMUSH&Co.のボーカルとして、2013年12月に劇中から飛び出し現実世界でデビューシングル「明日も」をリリース。2014年3月から3カ月間、ニッポン放送「大原櫻子のオールナイトニッポン0」でレギュラーパーソナリティを務めたほか、5月にテレビ朝日系「ミュージックステーション」に出演して話題を呼んだ。6月25日に大原櫻子(from MUSH&Co.)として映画のスピンオフシングル「頑張ったっていいんじゃない」を発表。7月期のフジテレビ系ドラマ「水球ヤンキース」でヒロインを務めるなど女優としても活躍の場を広げる中、11月26日にソロ名義のシングル「サンキュー。」をリリース。