ナタリー PowerPush - 中島美嘉
孤独な星のように輝く 2年ぶり6thアルバム「STAR」
エレクトロテイストのアップチューン「Over Load」、オーセンティックなバラードナンバー「ALWAYS」、そしてノスタルジックなメロディが印象的な「一番綺麗な私を」。これらヒットシングルが満載されたニューアルバムに中島美嘉は「STAR」というタイトルを与えた。デビュー曲「STARS」から始まり、「ORION」「流れ星」など、“星(STAR)”にまつわる楽曲を数多く歌ってきた彼女(その左手首には星のタトゥが刻まれている)。デビュー10年目を迎えた中島美嘉にとって、本作はとても大きな意味を持つことになるはずだ。
取材・文/森朋之
ここまできたら続けていけるんだろうなって
──まずは前作「VOICE」(2008年11月リリース)からの約2年間について訊きたいのですが。この2年間、中島さんにとっていちばん大きな出来事というと?
「VOICE」のツアーが大きかったかな。まず、コンディションが良かったんですよ。ツアーの時期に自分のテンションをうまく合わせることができたんですよね。それ以前からレッスンもしてたし、身体を鍛えたりもしてたんですけど、それがうまく合致するかどうかはわからないじゃないですか。でも、あのツアーはやればやるだけ成果も感じられて。あの頃が一番輝いてた気がする(笑)。
──デビュー以来の積み重ねがあってこそ、だと思いますけどね。
そうだといいんですけど。でも、あのツアーをやり遂げたことで「次もきっといいだろうな」って思えるようになったんですよね。新しい曲を制作するときも、ライブをイメージすることが増えたし。やっと楽しめるようになってきたのかな。
──今回の「STAR」からも中島さんの充実ぶりが感じられて。このタイトルは中島さんを象徴する言葉だと思いますが、どなたの発案なんですか?
これはプロデューサーと「『STAR』はどう?」って。「いいね」って話したただけです(笑)。
──でも、ピッタリですよね。
そうですね。ここ数年、こういうインタビューの場所なんかで「スターであることの自覚」っていう話をさせてもらって。自分が大スターだとか言ってるわけじゃなくて、こういう仕事をしていることを自覚するようになった、ってことなんだけど。それをウチのプロデューサーが聞いていて「デビュー10年のいいタイミングだし、この言葉をタイトルにしてもいいんじゃないか」って。まさかこんなに続くとは思ってなかったですけどね。ホントに大げさじゃなく「明日はどうなるかわからない」って思いながら生きてきたので。でも、ここまできたら続けていけるんだろうなって。自信っていうほどじゃないけど、もう他の仕事はできないでしょう?
──そうですね。しかもライブも楽しめるようになってきたし。
気持ちをラクに持てるようになったというか、気負わないでやれるようになってきたのかもね。もちろん気合は入ってるんだけど、フッと力を抜くことも覚えて。前はすごく緊張してましたからね、何をするにも。
最後に責任を取るのは自分なんです
──「LONELY STAR」の歌詞の内容にもつながってるかもしれないですね、その話。当然、孤独を感じる瞬間もあったと思うし……。
ありますよ、それは。こういう仕事をしている人はみんなそうだと思う、それを言えるかどうかは別にして。もちろんね、周りの人にはすごく支えられてるんですよ。曲を作る段階では才能のある人たちに助けてもらってるし、スタッフも信頼できる人ばかりだし。でも、最後に責任を取るのは自分なんですよ。バンドのメンバーと一緒にいても、ステージで歌うときは“ひとり”だから。そういう意味では孤独ですよね。
──でも、この曲では孤独を前向きに捉えてる感覚もあって。
うん、楽しんでますね。もともと孤独ってことに対してイヤだとか寂しいとか思わない性格なので(笑)。誰か他の人のせいにするくらいなら、自分でやったほうがいいし。逃げたくなることもあるんだけどね、たまには。「もう書きたくない」とか「(ステージに)出たくない」とか。時間は止められないからやるしかないんだけど。そういうときの緊張とか怖さっていうのは……。
──なるほど。中島さんはデビュー当時から、責任をちゃんと背負ってるイメージがありますよね。例えばビジュアルやメイクも最後は自分で決めるでしょ?
やりたいことが明確にあるから。「こうやりたいんだけどどうかな?」っていう相談はしますけどね、もちろん。いきなり坊主頭にするとか、そういう問題児ではないので(笑)。
──(笑)でも、ああだこうだ言われることもあるでしょう? 「前のほうが良かった」とか。
そういうことは気にしない(笑)。関係ない人の意見より、近くにいる人の反応が気になりますね。自分が信頼してる人が「いいね」って言ってくれれば、それは自信につながるし。
CD収録曲
- ALWAYS
- 一番綺麗な私を
- BABY BABY BABY
- Over Load
- GAME
- SMILEY
- CANDY GIRL
- LONELY STAR
- NO ANSWER
- SPIRAL
- Memory (feat.DAISHI DANCE)
- 16
- 流れ星
- SONG FOR A WISH
初回版DVD収録曲
- ALWAYS
- 一番綺麗な私を
- Over Load
- GAME
- CANDY GIRL
- 流れ星
中島美嘉(なかしまみか)
1983年鹿児島生まれ。2001年にドラマ「傷だらけのラブソング」のヒロインに抜擢され、シングル「STARS」でデビュー。2002年リリースの1stアルバム「TRUE」がミリオンセラーを記録し、一躍トップスターの仲間入りを果たす。その後も「雪の華」「愛してる」「桜色舞うころ」などヒット曲を連発。女優としても活躍し、2005年公開の映画「NANA」では主役のナナ役を熱演したほか、2010年には映画「バイオハザードIV アフターライフ」やドラマ「うぬぼれ刑事」での好演も話題に。日本を代表する歌姫としてアジア圏での人気も高く、ファッションリーダーとしても確かな支持を獲得している。